ときに“合議制”は足かせになることも
みなさん、こんにちは。
かつてはトップダウン体制が当たり前だった
会計事務所業界も、
所長先生の高齢化や人手不足など、
様々な事情が重なり、
先生お一人がすべてを決め、
その決定に従って職員が動くという流れは
過去のものとなりつつあります。
その代わりに台頭してきたのが、
経営の意思決定を“合議制”で行う組織体制。
規模によって
役職者以上の合議制もあれば、
スタッフ全員という事務所もあります。
「全員賛成が前提なら、
意思決定をいち早く行動に移せる」
「経営方針に直接携わらせることで、
個々人の成長につながる」
「独断がもたらす
誤った意思決定を回避する安全弁」
そんな耳障りの良いフレーズを、
これまでに何度となく
聞いてきた気もするのですが、
私たちが所長先生から相談をいただく内容のなかで、
もしかしたら一番の悩みどころといえば
この“合議制”なのかもしれません。
もっと言ってしまえば、
“合議制”がもたらす強力なブレーキ効果のせいで、
「所長先生が現状を打開するための
新しい試みをどれだけ提案したところで、
結局何も受け入れられない」という
諦めにも近い現実です。
これは本当に由々しき事態ではないかと、
私は思います。
例えば、所内に退職者が相次いだり、
一時期に顧客が急増、急減するような、
分かりやすい緊急事態が起きれば、
誰にでも「このままではマズい」と感じることができますが、
経験や責任の重さ、
事務所へのロイヤルティの違いによって
所長先生と同じような肌感覚で
ものごとを判断できるかどうかは
人によってどうしても差が出ます。
事務所の規模が大きく、
運営も極めて安定しているの環境あればともかく、
そうもいかない大多数の事務所では、
迫って来る危機を少しでも早く感じ取り、
思い切った対策を打たなければ、
存続にかかわるような事態にもなりかねません。
多数意見に流された結果、
「ひとまず検討で...」
「今後の課題として...」
といった結論ばかり出していては
命取りになるのです。
合議のテーブルに座るメンバーは、
単に頭数を揃えればいい
というわけではありません。
最終的に事務所を生かすも殺すも
経営者の采配にかかっています。
“合議制”そのものが足かせとなって、
結局経営者の意見が何も通らない組織に、
果たして未来はあるのでしょうか。
いまどき独裁者的な経営者は、
現場からの賛同を得られませんが、
それ以上に、危機的状況下で、
何も大きな決断ができないまま
業績を停滞させてしまう経営者のほうが、
はるかに問題ではないかと私は思います。
決して合議制そのものが
悪だといっているのではありません。
ただし、“実施しない”決定ばかりで、
“実施する”決定がほとんどない合議制は、
意味をなさないということです。
合議制が足かせとなって、
無難で面白味のない発想ばかりに終始してしまう
先生が増え続けている昨今、
何とか本来の自信や閃きを取り戻して欲しいと
願っているのは私だけでしょうか。
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