“気合”より“テクノロジー”で乗り切ろう
みなさん、こんにちは。
いまからちょうど16年前。
確定申告期を過ぎた直後でしたが、
税理士H先生が亡くなられました。
51歳という若さでした。
確定申告期に入ってすぐ、
脳梗塞で緊急入院し、
その後一旦症状は落ち着いて、
「いやぁ、木村さん困ったよ。
これから事務所をどうしてばいいか...」
と入院先から携帯電話で
やり取りをしたわずか半日後、
先生は突然旅立ってしまいました。
ビジネスという堅苦しい枠にとらわれず、
フランクに人生相談などにも気軽に乗ってくれる
やさしい頼りになる税理士先生でした。
当時H先生は、事務所の所在する東京都内と
生活拠点のある長野県とを
新幹線で行き来していました。
仕事の丁寧さと人柄の良さからでしょうか、
紹介から紹介というかたちで両拠点に
お客様が次々に増えていきました。
しかしH先生は、
「私はヒトの上に立つのが苦手で、
今後も採用とか教育はまったく考えていないんだよね」
ということで、
お一人事務所として対応できる
お客様数を意識しつつ、
フットワークの軽さとできるだけ
自計化をお願いすることで、
何とか対処されていました。
しかし、ハイペースで増え続ける顧客数、
自計化とはいいつつ実質的に入力代行先が増えていく状況、
そして確定申告期限直前ながら
立て続けに税務調査の予定が入り、
問題が山積みの状況をなんとかおひとりで打開すべく
ハードワークと精神的なプレッシャーで
乗り切ろうとしたことが、
H先生を追い詰めてしまったのだと思います。
もし、それらが
2022年であったとしたら、
溜まりに溜まってしまっていた
入力代行の仕事は在宅スタッフにシフトし、
一件一件訪問していたお客様は、
Web会議やクラウド情報共有化ツール、
たとえば『私書箱』などを使って、
インターネット上でのコミュニケーションの割合を増やし、
H先生は税務調査対応に集中できる環境を、
私なら迷うことなく
提案していたことだと思います。
ところが16年前となると、
そこまでのデジタルインフラを簡単に活用できるだけの
充分な環境自体整備されていませんでした。
大変残念なことです。
しかし、
現在はそれらの手段は十分に整っています。
時間も人も場所も限られている
少人数の税理士先生こそ、
テクノロジーの力を積極的に使って
ご自身の業務環境を賢く
快適に保つべきだと私は思います。
無理に気合で乗り切ろうとして
健康を害してしまったり、
命に関わるようなことになってしまえば
元も子もないのです。
あれから一度もお会いする機会がありませんでしたが、
H先生の自慢だった
当時中学2年生のお嬢さんもいまや30歳。
私も今年で生前のH先生の年齢に追い付きます。
今や、手の届く範囲で
簡単にテクノロジーの恩恵にあずかれるのに、
“知らない”“知っていても取り組まない”ことで、
H先生のような悲しい事例が
世の中から一件も無くなって欲しいと
心から願うばかりです。
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