「巡回訪問」は誰のため? その2 | 会計事務所応援 ブログ

「巡回訪問」は誰のため? その2

みなさん、こんにちは。

 

(前回からの続き)

そもそも巡回訪問は、
会計事務所にとってメリットばかりなのでしょうか。

昔のように、相応の顧問報酬がいただけて、
会計事務所経験者や就職希望者など
いつでも人材が確保できた時代なら、
その是非について考える必要すら
なかったのかもしれません。


ところが、時代の移り変わりとともに、
訪問を前提としたサービスそのものが
足かせになるケースも
想定していかなければならなくなりました。

例えば

■コストに影響
 お客様一件あたりの移動時間を1.5時間、
 毎月訪問する対象先が15件だとすれば、
 一カ月の移動にかける時間は22.5時間。
 ひと月で約3日間は移動時間に費やしている計算になります。
  あわせて、電車やバス、ガソリン代や駐車場代も
 決して馬鹿はなりません。

■人繰りに影響
 上記のスタイルをやめて、

 月に3日分の時間的余裕が生まれたら、
 今よりも一件でも二件でも担当を任せられます。

 また、担当者一人での現場業務となれば、
 経験者の採用、もし未経験者なら
 相応の時間をかけて経験を積ませなければ任せられません。
 人材採用が極めて難しくなるなか、
 人繰りに影響が出るのは確実だと思います。   

■顧客満足度は個人スキル頼みに
 事務所とお客様とが一対一の人間関係で
 継続していくことを考慮すると、
 「税理士先生→一般職員」「ベテラン職員→経験の浅い職員」
 といった担当変更があった際にトラブルが発生しやすくなります。


これらは結果として、

ベテランばかりに負荷がかかる一方
新人はいつまでたっても育たない悪循環を起こします。

職場の平均年齢は上がる一方で、若者は定着しないという
典型的な構造を作り上げてしまうのです。

もちろん、巡回訪問だけがこれらの
原因というわけではありませんが、

「帳簿作成」の分業化が業界で定着しつつあるなかで、

「顧客対応」についても、
すべてを一人でこなす従来の業務フローが、
 

人材難の昨今、かえって効率を悪くしている、

サービス品質を低下させることもあると
認識しておく必要があるのではないでしょうか。

だからといって、

税理士先生と職員さんといったように
複数でお客様回りをしていたら、
採算を合わせることは
より困難になるのは間違いありません。

そこで、お客様にご来所いただく、
あるいはWeb会議システム等を使って
どこからでもアクセスできる
日常的なコミュニケーション手段を確立する。

こういったシフトが
これからの会計事務所の生産性を維持する、
サービス品質を維持するための
大事な選択肢となると私は思うのです。


当然のことながら、
これまでずっと訪問を前提として
サービス提供してきたお客様に
来所やWeb会議へのシフトをお願いすることは容易ではありません。

時間も手間もかけなければ難しいでしょう。

それでも、すぐに準備に入ったほうが良いと私は思います。

あるいは、新規のご契約であれば、
こういった話をすることに無理は生じません。

長い目でみれば、ここから始めても

変革に向けた大きな一歩となります。

そういう意味では、
現在のコロナ禍をビジネスモデル変更の
チャンスととらえらえて行動しているかどうかで、

今後の事務所運営には
時間とともに差がひらいていくのではないかと
私は考えています。

訪問の頻度を、

報酬体系に反映するのも一つの手法です。
 

「そんなの、ただの理想論だろう!」という先生は、

 

まず一件、検証してみてはいかがでしょうか。

 


にほんブログ村   税理士 ブログランキングへ   F2ブログランキング
良かったら、毎日1回クリックしてください。