「製造ライン」は本当に万全か? | 会計事務所応援 ブログ

「製造ライン」は本当に万全か?

みなさん、こんにちは。


業界向けセミナーに頻繁に参加される
税理士先生から聞くのは、


「どこもかしこも、口を開けば“製販分離”だね」

ということ。


「製造」=監査、決算、申告担当


「販売」=顧客拡大(営業)、付加価値サービス提供担当


これらを職能別にして、
それぞれ人を分けることで
品質向上と効率化を図りましょうということだそうです。


さて、それははたして今働いている人を
分けてゆくことを指しているのでしょうか。

それとも、これから
新規に採用する人を指しているのでしょうか。


そういえば、ある税理士先生が
こうおっしゃっていました。


「現職員で製販分離したら、
 ウチは私以外、全員製造部門になってしまう。
 販売だけで生計を立てられるタイプなどいなからねぇ」


要するに販売を目的として入社している
職員がいないから、
新規採用しか方法がないというのです。


では、一般企業の営業経験者を
入社させたとしましょう。


ところが、これがなかなか
思うように機能しないのです。


私が直接関与させていただきました
多くの会計事務所のなかで、
営業経験豊富、
しかし会計事務所経験ゼロの職員を採用して、
うまくいったというケースを、
すぐに思い浮かべられるところは
ほとんどありません。


理由はカンタンです。


下地の無いところに、
『人』だけが入ってくるからです。


聞くところによると、
営業出身者は従来の事務所職員さんと比較すると
高い給与水準でない限り応募すらきません。


当然、既存職員さんから妬みを買い安い状況を作ります。
(成果が出ているときは良いが、
 スランプになったとたんに厳しい意見にさらされる)


また、これまで記帳業務をはじめとして
決算、申告といった会計事務所の仕事をする目的で
入社した人が9割近くを占めるなかで、


全く知識も経験も持たない異色の新入社員に、
一から懇切丁寧に教える所内環境は
なかなか整っていないのが実情です。


そんな逆境でも、
成果を出し続けることができれば、
周囲の目も変わってくるのでしょうが、


もし一定期間のうちに
思った成果が出てこないとすれば、

監査も決算も申告も出来ない人には、
周囲の職員さんも冷たいですし、
そのなかに所長先生が
入ってしまうことも少なくありません。


確かに大手の税理士法人や、
医療系をはじめとした
専門分野の業種に特化した顧問先を
拡大し続ける会計事務所には、
『営業専門担当者』がいることがあります。


しかし、中小零細事務所が、
いきなり営業専門担当者を採用し、
製販分離を押し進めることは、
様々な面で非常にリスキーだと私は見ています。


そこで打開策として、
既存の職員さんのなかから、
その潜在能力を所長先生が見出しし、
伸ばしてゆくことが結局一番の近道だと思うのです。


ところが、仮に「この人が適任!」
という担当者が出てきたとしましょう。


ただ、このままでは問題があります。


①営業として、結果の正否が本人に反映しない


②既存業務に積みあがるので、仕事だけが増える


主にこの2つの点です。


①は、契約インセンティブ等を設定し、
やる気を引き出すのが一番明快だと思います。


また周囲にも不公平感がないように、
各々個人が獲得した顧問先に対して、
同一内容のインセンティブを設定すればよいでしょう。


実は、このことを疎かにした結果、
その事務所を離れ、
独立開業してしまった職員税理士を
私は何人も見てきました。


私がとくに懸念しているのは②です。


顧問先が増えない理由として、
広告手段の不備や、サービスの魅力不足を
挙げる先生が多いのですが、

実は、「後ろが回らないから、新規をとるにとれない」
という状況に悩む会計事務所も多いのです。


例えば、たまたま担当先の社長から、
見込み先が紹介されたとしましょう。

紹介先を契約したとたん、
毎月の仕事が増えます。


1、2件程度ならなんとか
自分自身でこなせるでしょう。


しかし5件、10件となれば 
もうご自身の担当だけでは間に合いません。


もしここで他の担当者に分散することが
出来る体制が出来ていたら、
その事務所は飛躍的に拡大できると思いますが、

実際には、そうなっていないことが多く、


「一次保留」「またの機会に..」と
チャンスロスが次々に重なり、

やがて事務所全体として、
「顧問先が増えない」という事態に
陥ることになるのです。


後ろを振り返らずに、
顧客を獲得出来る体制があれば、

ブレーキがかかることなく顧客拡大活動に
専念できる環境が整ってきます。


結局、「製造ライン」が整備されていないのが
大きな原因の一つになっているのです。


“それは、顧客が増えてから考えること”
とおっしゃる方も多いのですが、
本当にそうでしょうか。


もう一度、製販分離のメリット、デメリットを
しっかり分析してみたうえで
事務所に導入してゆくことを
お勧めしたいと思います。


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