映画「ホワイ・ノット」1時間50分全編を見てみたい人は?という問いかけに手をあげたのは、わけのわからないものと一緒にいる時間に喜んで身を投じる私の友人、ヨーコさんだけだった。

だいたい何か作品をつくっている人は、潜在的に「つくりものをきらっている」と思う。どうしたら、「つくりものくさく」ないか、たとえば演劇の人なら、よりリアルで自然なセリフに少しでも近づこうとする・・・(それならば「つくる」のを止めればいいじゃないかと言い返されそうな話ですけど) この映画の女の子の動きは、つくりものではない。 製作者が大切なものをこぼさずに撮りきろうとしたら、こんな映像になるのかもしれない。ちょうど、「サプリメント」として栄養をとろうとしても、たぶんとりこぼしている「とりだせないもの」がまるごとの食物のなかにあるにちがいないように。

「かたちをつくらなければ動けないけれど、かたちを押しつけたら動きが死んでしまう」、これはダンスも同じなのです。もしかしたらサッカーの岡田監督も、同じような発想で「選手の自主性」を待っているのかもしれません。




「落下の王国」に続き植島啓司先生の公開講座で、荒川修作氏の手による「WHY NOT]という映画の抜粋を見る。 荒川修作氏は、身体と外界のかかわりをテーマに多くの作品を発表、世界で活躍しているコンセプチュアル・アーティスト。この映画は1時間50分の間、オランダ人の女の子が部屋の中で、椅子やテーブル、ドアノブなどに触れながらひたすら動き回ったり寝そべったりする様子を追いかける。 

映画のタイトルは、なぜ「WHY NOT」なのか。私は、おそらく誰もが問いかけるだろう「WHY」(なんでこんな映画作ったの?)に対するこたえなのだと思う。なんでこんな映画、作っちゃいけないんだ?美術館で、「なんでこんなところに裸の彫刻があるんだ?」とか、「なんで果物の絵なんだ?」とか言う人はいないだろう?と。(実際、動き回っていたオランダ人の女の子の身体は、美術館においてもおかしくないようなカラダでした。) 常識って本当に、はかない。続く。


男のバレエ、といえばマシューボーンが男性ダンサーの踊る「白鳥の湖」を振付けて人気を博しました。 この夏、関西の男性ダンサー17人が集まって、「新しいもの」に挑戦しようとしています。8月25日(水)西宮芸術文化センター阪急中ホール、公演名は「マスク」。昼の部午後1時開演、夜の部午後6時30分開演です。 第一部は石井潤振付の、男たちの物語。第二部はゲストダンサーを招いての、バレエ・コンサート。第三部は、矢上恵子振付の、迫力のコンテンポラリーダンス。 「踊る男たち」のマスク(仮面)の下を、ぜひご覧いただきたいのです。 

男性バレエダンサーといえばめずらしい存在のようだけれど、吟遊詩人と舞踊手は人類最古の職業だと思っています。ひとのこころのなかにある「踊りたかった」気持ちを引き受けて、彼らは踊っています。

チケットは5月15日発売です。(全席指定、8000円) チケットぴあ 0570-02-9999(Pコード 404-067)
http://pia.jp/t  どうぞお運びくださいませ。