夏が来たな。

暑っ苦しくて、べたべたで、メイクは崩れるし、なにかとどこかと匂いがきつい。

無意識に涼しい場所を求めて動いている気がするし、求めた先が冷えきっていないと気分が悪い。


"夏って嫌だな"


そう感じる。


湿気のこもった深夜上野の街を歩いた時流れた音楽。

「見えない自由が欲しくて 
   見えない銃を撃ちまくる 
   本当の声を聞かせておくれよ」

居酒屋から流れるTHE BLUE HEARTSは胸を暑くさせた。

中学生時代、音楽の授業。

真っ黒に焼けたサッカー部の先生が担当してくれた授業。

真剣な眼差しで生徒を見ながら、白い歯を見せながらピアノを叩き鳴らす。

授業の最初に、必ずブルーハーツを歌わさせられた。

印刷された歌詞を指さしながら、歌詞の意味を話し始める。

"音楽の授業で合唱する曲じゃねぇだろ…"

そんな事も思ったけれど、歌詞に心を動かされた私は、あの時習った曲をいくらでも口ずさめる。

今思えば英才教育だ。
現代の音楽の歴史において、
知っておくべき偉大な作品だ。

サブスクでTHE BLUE HEARTSはきけない。

だけど調べたら、2023年に芸人さんたちがカバーしたアルバムがあがっていた。

ロンドンブーツ1号2号、春日俊彰(オードリー)、おぎやはぎ…etc...
小さい頃からテレビの画面にいつもいた芸人さんたちと連想したのは、実家のリビング。

そう、いつだってテレビの周りには家族がいた。

うっとおしいとも感じたし、いつか息苦しくも感じたあのリビングが、今では恋しい。

今となってはお決まりになったお笑い芸人のアーティスト活動。YouTube活動。

多方面に羽ばたくお笑い芸人の芸術の中でも、
ふと全力でやりだす音楽はかっこいい。 

昔母上が買ってきたヘキサゴンファミリーのアルバムにも、今でも好きな曲がたくさんある。




職場の締め作業中、

「夏曲といえば?」

そんな話で盛り上がった。


ORANGERANGEを爆音で流しながら、
席に座っている新人の男の子に声をかける。

「○○くん、この曲わかる?」

知らないんだと…まじか…

「これはこれは?」♪EZ DO DANCE

Oh..............OMG。

「さすがにこれは…」♪睡蓮花
「流石に分かります!!」

ふぅ。やっと知ってる曲がきた。

ジェネギャ(ジェネレーションギャップ)が過ぎる。こわいな。

……といえど、私らにとっても、生まれる前の曲。
どこで聞いたのだろうか。

そう。結局テレビなんだ。

金曜夜、5日間の学校を終えて一息ついて座り込むと、テレビではMステが流れていた。
今のベストヒッツやらランキングやらあの頃の曲が流れる。

「そんなのより嵐が見たい」
「ここで尺取るなよ。」
「あのバンドが見たい」
「演奏まで引っ張りすぎだろ」

そんなことを思っていたけれど、今思うとそんな文句の裏では、無意識に日本の音楽がインプットされていた。
それが気づけば人生の、季節のBGMになっていた。


私は音楽が好きだけど、詳しくは無いし知識はない。
私はその場の環境で無意識下に流れ込んでくる音楽が好きだ。
人生のBGMとして、あの頃が浮かぶから。


夏というのは、部活の大会、友達との旅行、好きな人とのお祭り、などなどイベントがよく起こる。

"暑さ"という共通の敵が記憶力にブーストをかける。

暑いから嫌だった。
暑いけど楽しかった。
暑いからここに行ってみたら発見があった。
暑いけど幸せだった。

暑いとなにもかも嫌になるから、全ての感覚が鋭くなる。

私の五感の記憶を呼び覚ますのは、夏の暑さであり、音楽なのかもしれない。

そして夏と共に流れたテレビ番組が、音楽が、私のあの頃を刺激する。

夏って、なんかいいかもしれない。

夏って、最高だ!!!


暑いより、熱いが好きだ。

2026年、熱い夏。かかってこい。