蝉――漢字で書くとなかなか趣があります。
夏の風物詩として、鳴き声だけなら許します。ちょっと暑苦しいけど。
夕方のヒグラシの「カナカナカナ・・・」なんて、特に風情があります。
困るのは、その成虫としての束の間の生涯の終わりどき。
やつら、我が家の前にある公園の木からベランダに向かって飛んできて、そこで果てていくのです。
でも、油断はできません。やつらは“かんっぜんに果てかけてます”状態がやたら長い。うっかり処分しようと近づくと、最後の力を振り絞って再び羽をバタバタさせてこちらに向かって飛んで来たりするのです。恐怖です。なにしろ虫にしては重量感たっぷりですから。
仕方がないので、ベランダのなりかけのご遺体たちはしばらく放置状態です。
ゆうべ、取り込んだ洗濯物を畳もうとしていたら、1枚のTシャツからバサバサと動くものが。と、スカートに止る1匹のセミ。我ながら、よく叫び声を上げなかったものです。
あわてて払いのけると、床まで失速飛行。あおむけの状態で静止しました。いや、よく見ると、足を動かしている。時々くるくるとブレイクダンスまで。
居合わせた娘と顔を見合わせて、「どうしよう?」
で、次の瞬間2人が同時に取った行動は
・・・・・・・おもむろにケータイを手に、写メる。そう、とりあえず写メっておくしかないでしょう。
「お母さん、影になってる」「意外に小さくて撮れない」
撮影会終了。さあ、どうしよう?
ベランダと違って、2,3日放置は嫌だし、でも家の中で飛ばれても困るぅ。
蚊取りで弱らせてみては?
とりあえず近くに置いてみる。残酷と言わないでください。やつの復活は本当に恐ろしいのです。可哀そうだけど、ここまで弱っていたら、あとは緩やかに死を受け容れるしかないのです。
私たちだって、迷い込んできた虫たちを逃がせるときはそのまま外へ出しているのです。
で、この段階で2人がとった行動は…
もう1度写メってみる。
かわいそうなので、見ないようにしてそのまま放置。
結局寝る前に娘が紙袋の中に入れてくれました。
壁1枚隔てて寝た彼女は、朝になって、「夜の間もガサガサいってたよ」と教えてくれました。
合掌。
