この記事は商法について一通りテキストを読んだ人を対象としています。

私は商法は、あざらしの動画を3回見ました。

 

過去問を解いていて、「こういう事例には登記は必要ですか?」と問いかけるものが多いと思います。いつも曖昧な知識にもやもやしながら回答するので、根拠をもって解答できるように、今日は勉強していきます。

商業登記+α

商法では次のように規定されています。

商法 第9条(登記の効力)

  1. この編の規定により登記すべき事項は、【登記】の【】でなければ、これをもって善意の第三者に対抗することができない。登記の後であっても、第三者が正当な事由によってその登記があることを知らなかったときは、同様とする。 
  2. 故意又は過失によって不実の事項を登記した者は、その事項が不実であることをもって善意の第三者に対抗することができない。

 

それでは、商法で「必要」と規定されているのは次の場合のみです(行政書士試験に出題されそうな範囲に限定しています)。以下の事項を覚えましょう。

 

☆登記が必要な事項(★は第三者対抗要件)

  • 未成年者が営業するとき★(5条
  • 後見人が被後見人のために営業するとき★(6条
  • 商号の譲渡★(15条
    (営業するだけなら登記なしでも可能)
  • 支配人を選任したとき/代理権消滅のとき(22条
    善意の第三者には対抗できない

 

つまり、他の事例で「登記」と出た時は、ひっかけ問題だと思えば良いのです。

 

問題演習

P866:2-3

未成年者は、商法上の商人として営業を営むためには、登記をしなければならない。

 

解答・解説(表示するには[クリック]して下さい)

【正解】〇

【解説】上の表または商法第5条を参照

第5条(未成年者登記)

未成年者が前条の営業を行うときは、その【登記】をしなければならない。

 

P868:3-4

不正の目的をもって他人の営業と誤認させる商号を使用する者がある場合に、これによって利益を害されるおそれがある商人は、自らの商号について登記がなくても、その使用の差止めを請求することができる。

解答・解説(表示するには[クリック]して下さい)

【正解】〇 
【解説】商法第12条第1項、会社法第8条第1項を参照
 ※上の表に「他人の商号を差止めるとき」がないことに注目してください。

第8条(通則)

この編の規定により登記すべき事項は、当事者の申請により、商業登記法の定めるところに従い、商業登記簿にこれを登記する。

第12条(他の商人と誤認させる名称等の使用の禁止)

  1. 何人も、不正の目的をもって、他の商人であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用してはならない。 
  2. 前項の規定に違反する名称又は商号の使用によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある商人は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。

 

P868:3-8

商業の譲渡は、その登記をするのでなければ、商号譲渡の効力は生じない。

解答・解説(表示するには[クリック]して下さい)

【正解】×

【解説】上の表または商法第15条2項を参照

第15条(商号の譲渡)

  1. 商人の商号は、営業とともにする場合又は営業を廃止する場合に限り、譲渡することができる。 
  2. 前項の規定による商号の譲渡は、【登記】をしなければ、第三者に対抗することができない。

 

p870:4-1

支配人は、商人に代わってその営業に関する一切の裁判上または裁判外の行為をする権限を有し、支配人の代理権に加えた制限は、それを登記した場合に、これをもって善意の第三者に対抗することができる。

解答・解説(表示するには[クリック]して下さい)

【正解】× 

【解説】上の表または商法第21条3項を参照 
 ※登記の有無にかかわらない

第21条(支配人の代理権)

  1. 支配人は、商人に代わってその営業に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。
  2. 支人は、他の使用人を選任し、又は解任することができる。
  3. 支配人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。

 

参考文献:問題部分のみ

『2023年度 出る順行政書士 良問厳選 肢別過去問集』ページ数は問題文の上に表示しています。

 

今日は初めてChat-GPT画伯のイラストを扉絵に採用しました(最近は絵を描く時間がとれません)。誤りなどありましたら、DMにてお知らせ頂けると幸いです。