今日はツイッターで見かけた良問、過去問を解きます(昨日に引き続き、簡単な記事になってすみません)。

民法/債権/賃貸の問題演習

過去問(〇×問題)

第三者が賃貸不動産を不法占有している場合、賃借人は、その賃借権が対抗要件を具備しているか否かを問わず、その不法占有者に対して、当該不動産に関する賃借権に基づく妨害排除請求を行うことができる。

 

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【答え】×
【解説】下記条文をご参照ください。

第605条の4【不動産の賃借人による妨害の停止の請求等】

不動産の賃借人は、第605条の2(不動産の賃貸人たる地位の移転)第1項に規定する対抗要件を備えた場合において、次の各号に掲げるときは、それぞれ当該各号に定める請求をすることができる。

  1. その不動産の占有を第三者が妨害しているとき
    その第三者に対する妨害の停止の請求
  2. その不動産を第三者が占有しているとき
    その第三者に対する返還の請求

賃借権に基づく妨害排除請求ができるのは、賃借人がその賃借権の「対抗要件を備えた場合」のみになる

今日は一問一答だけではなく、関連する記述問題も解いて参りましょう。

 

過去問(記述問題)平成14年-問40

次の記述中の[ A ][ B ]に該当する権利を記入しなさい。

甲は、所有者乙から土地を賃借していた。ところが、丙が無断でこの土地の使用を始めた。このような状況で、丙をこの土地から排除するために甲の丙に対して採りうる民法上の手段としては、甲がこの土地の引渡しを受け賃借権につき対抗力を備えている場合には[ A ]に基づく妨害の排除請求が、未だ引渡しを受けず対抗要件も備えていない場合には[ B ]により乙の所有権に基づく妨害排除請求権の行使が考えられる。

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【正解】A:賃借権 または 不動産賃借権 B:債権者代位権

民法 第605条の4(不動産の賃借人による妨害の停止の請求等)

不動産の賃借人は、第605条の2(不動産の賃貸人たる地位の移転)第1項に規定する【対抗要件を備えた】場合において、次の各号に掲げるときは、それぞれ当該各号に定める請求をすることができる。
  1. その不動産の占有を第三者が妨害しているときーーその第三者に対する妨害の停止の請求
  2. その不動産を第三者が占有しているときーーその第三者に対する返還の請求

民法 第605条の2(不動産の賃貸人たる地位の移転)

  1. 前条、借地借家法(平成3年法律第90号)第10条又は第31条その他の法令の規定による賃貸借の対抗要件を備えた場合において、その不動産が譲渡されたときは、その不動産の賃貸人たる地位は、その譲受人に移転する。
  2. 前項の規定にかかわらず、不動産の譲渡人及び譲受人が、賃貸人たる地位を譲渡人に【留保】する旨及びその不動産を譲受人が譲渡人に賃貸する旨の【合意】をしたときは、賃貸人たる地位は、譲受人に移転しない。この場合において、譲渡人と譲受人又はその承継人との間の賃貸借が終了したときは、譲渡人に留保されていた賃貸人たる地位は、譲受人又はその承継人に【移転する】 。
  3. 第1項又は前項後段の規定による賃貸人たる地位の移転は、賃貸物である不動産について所有権の移転の【登記】をしなければ 、賃借人に【対抗することができない】。 
  4. 第1項又は第2項後段の規定により賃貸人たる地位が譲受人又はその承継人に移転したときは、第608条の規定による費用の償還に係る債務及び第622条の2第1項の規定による同項に規定する【敷金の返還】に係る債務は、【譲受人又はその承継人が承継する】。"

 

 

明日からは民法の債権のノートをアップロードします。