私の教科書にも、アメーバブログにも見当たらない論点に「争点訴訟」があります。しかし、模擬試験で遭遇することもあるこのトピックについて、私のまとめノートを共有したいと思います。

 

網羅的な情報を得るためなら、企業様のウェブサイトをご参照する方が良いかと思います。以下は「争点訴訟」と検索して上位に表示されたウェブサイトになります(行政書士試験対策の情報サイトは、受験者数に比例してたいへん人気があるようです。公務員試験向けや司法試験向けは上位にありませんでした。条文や判例自体は共通しているので、それらの試験を受ける人にとっては一読すべき情報です)。

 

有名な佐藤先生のYouTube動画もあり、私も視聴しました。

 

上記ウェブサイトには及びませんが、個人のブログっぽく簡単に要点のみを抜粋しリンクをつけてみました。

争点訴訟

>行政事件訴訟法第45条によると、「争点訴訟」とは、【私法上の法律】関係に関する訴訟について、その前提として、【行政庁の処分又は裁決の存否】もしくは【その効力の有無】が争われる訴訟のことをいいます。

 

行政事件訴訟法できていされているのに、行政訴訟ではなく民事訴訟なのですね。

 

準用項目は次の通りです。

行政庁の訴訟参加第23条1項、2項

釈明権の特則第23条の2

職権証拠調べ第24条

訴訟費用の裁判の効力第35条

出訴の通知第39条

 

具体例として次のようなものがあります。

 

•【土地収用】により元土地所有者が起業者に対して【土地返還請求訴訟】を提起し、その前提として【土地収用裁決の効力】を争った 

•納税者が税金の【還付請求訴訟】を提起し、その前提として【課税処分の効力】を争った

•買収された農地の元地主が買請人に対して農地【返還請求訴訟】を提起し、その前提として【農地買収処分の効力】を争った

 

ここにある具体例である土地収用は、他の訴訟の判例で出題されましたね。それは、形式的当事者訴訟です。違いを見ていきましょう。

当事者訴訟では土地収用は補償額に不服がある場合に提起された。それに対して、争訟訴訟では、土地収用裁決自体に不服があり、収用裁決は無効であるため、土地を返還してほしいと主張する場合に提起します。

無効等確認訴訟が提起されたケースでは、収用裁決が無効であるかどうかを確認するのみで、争点訴訟によって土地返還を請求することができる。

具体例では上記違いの他に、キーワードを覚えましょう!

 

問題演習

過去問(〇×問題)

行政事件訴訟法45条の規定する争点訴訟は、同法2条の規定する訴訟類型のいずれにも属しない訴訟であるから、行政事件訴訟ではないが、行政処分の効力を前提問題として争う民事訴訟である。

解答・解説(表示するには[クリック]して下さい)

【正解】〇
【解説】記事をよく読んで

過去問(五択問題)

次のア~オの訴えのうち、抗告訴訟にあたるものの組合せはどれか。

ア.建築基準法に基づき私法人たる指定確認検査機関が行った建築確認拒否処分の取消しを求める申請者の訴え。

イ.土地収用法に基づく都道府県収用委員会による収用裁決において示された補償額の増額を求める土地所有者の訴え。

ウ.土地収用法に基づく都道府県収用委員会による収用裁決の無効を前提とした所有権の確認を求める土地所有者の訴え。

エ.核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律に基づき許可を得ている原子炉施設の運転の差止めを運転者に対して求める周辺住民の訴え。

オ.住民基本台帳法に基づき、行政機関が住民票における氏名の記載を削除することの差止めを求める当該住民の訴え。

  1. ア・イ
  2. ア・オ
  3. イ・ウ
  4. ウ・エ
  5. エ・オ
     
解答・解説(表示するには[クリック]して下さい)

【解答】2

ア 抗告訴訟(取消訴訟)

イ 当事者訴訟

ウ 争点訴訟

エ 民事訴訟

オ 抗告訴訟(差止訴訟)

 

参考文献:フォーサイト様のウェブサイト

 

扉絵はルクセンブルグにあるという欧州最高裁判所です。描いているときの姿勢がわるかったせいか、斜めからのアングルになってしまいました。時間があればより良い絵にしてアップロードしなおしたいところです。