2.「磁流ライン」について
(1)理論について
当方が研究中の「磁流理論」とその中に出て来る「磁流ライン」については、機会あるごとに各所でお話させていただいているが、類例がなく何をやっているのかお分かりにくいと思うので、まず当面必要事項のみであるが簡単に説明しておきたい。
この理論においては、時空を表す式と神経の働きを表す式(分布定数回路)が相似であること等を根拠に、時空は磁流(エーテル流)の分布定数回路とみる。磁流は神経を流れる電流に相当するものである。この方程式を解くと「磁流の基本経路」と名付けた磁流の特定の形態が出て来る。これは磁流の分布定数回路が一種フラクタルであることに応じて、単位の形態であり、この形態と相似なものが極大から極小まで(宇宙大から原子核のスケールまで)あちこちに実在することが判明している。
地球や金星、火星等もその例外ではなく、‘マントル対流’の分布や地形の分布等が、この「磁流の基本経路」の形態となっていることが分かっている。この経路を地球上に描いたものが「磁流ライン」であり、図1は地球の磁流ラインの分布である(基本モード;波数ゼロの分布である)。海岸線等、地形の趨勢が磁流ライン状にのびていることがお分かりいただけると思う。
磁流のディメンションは運動量であるので、磁流ラインというのは、したがって運動量の分布であり、それによる圧力の分布である。‘マントル対流’がこれによっていることは文献(1)等に述べている。この磁流は山脈や、谷したがって河川などの地形をも作っているのである。
さて、時空が磁流の分布定数回路であるということは、分布定数回路は神経系のことでもあるから、時空間はこの神経系の状態空間のようなものであるということになる。ふつう、神経系の状態空間における解軌道(解曲線)はゆらぎながら回転する渦状のものとして描かれるが、このことは文献(2)等でH.フォワードの念力の実験式を再現する際に、意識の状態は磁流の角運動量とみなしたことと一致する。
神経系の状態空間の研究から、その解軌道の幾何学やアトラクターのトポロジーが意識の状態に対応していることが知られているから、この知見を用いると、この時空間における磁流の解軌道のトポロジーやゆらぎも、この時空の動きを作っている‘神経系’の、意識の状態を表すことが予想される。
以前、磁流の波のひとつである「スカラー波」の実験をしていて、その周波数に応じて体のどの部位に刺激を感じるかが決まっていることを述ベた(3)が、スカラー波を発生するある種のコイルの構造、すなわちゆらぎ数に応じても、同じ周波数でもその刺激を感じる部位が変化することに気付いた(2)。そして、そのゆらぎ数の体の上にマッピングしたものは、意外にも占いとして知られているカバラ数秘術でいうチャクラの分布すなわち秘数の分布と同じであった。このことから数秘術の秘数は磁流のゆらぎ数すなわち波数であることが分かり、ある種の実在であることが判明した。各秘数には性格が割り当てられており、その表現用語は本によって多少異なるものの、傾向は同じであることから、磁流の波数はこういう意識の種類を表すかもしれない。そこで、アイゼンクの性格理論における座標空間に、言葉の一致のみから各波数に対応するとみられる性格表現用語をプロットしてみたところ、すべて当てはまるとともに、波数の分布にある規則性もあるところから、カバラ数秘術の性格表現用語は(本によってはダメなものもあるが)因子分析で測定されたものと同じであり、心理学的に有意であることが(あたるもあたらぬも八卦的占い表現でないことが)分かった。他にもいくつか根拠があるのであるが、磁流の波数と性格という意味の意識の種類は対応しているのである。すなわち、磁流の解軌道のゆらぎが波数によって代表されるとき、各波数に各々特定の意識が対応するということになる。たとえば、波数3は快活さ、無頓着などの意識状態と対応づけられ、波数4は冷静さ、論理性、粘着性などの意識状態と対応づけられるということである。
こうした波数も考慮した磁流ラインは、地図上では、各々それぞれの特定の傾きとなって現れる。ただし、ひとつの磁流ラインの傾きに複数の波数が対応することもある。
また、磁流ラインに付したL,Rの記号は、上記トポロジーのうちカイラリティ(キラリティ)の別を表している。それを構成する地質の差異などによって一慨には言えない面もあるが、Lと付いたものは主に副交感神経側に、Rと付いたものは主に交感神経側に働く磁流であることが、理論と実験の両面から確認されている。
今まで、リーディング等におけるあいまいとした地球意識や、ガイア仮説などにおける生命の考え方はあったが、上記の立場で、地球の意識を全く具体的に扱う道が拓かれたわけである。
(2)各種データとの一致
以上のような立場で研究を進めてみたところ、既に言われているいろいろな方面と、実によく一致することが判明した。
‘マントル対流’や地形等の地球物理学的データとよく相関することは既に述へたが、波数まで考慮するとさらによく一致することが分かった。さらに地球重力や活断層、落雷分布等ともよく一致することが判明している。
そして、そのような磁流ラインは、一方において、ネイティブ・アメリカンの言っている地球上にあるとする聖地の位置とそのチャクラとしての機能、またケイシーなど著名な‘霊能者’の言う地点とその機能ともよく一致することが分かった。つまり、それらの位置における地形から波数を計測してみると、確かに強くその波数の特徴が出ている場所であると同時に、その波数に対応する意識の種類が、彼らの言う機能の種類とよく一致するのであった。そればかりか、人体で言えばどのチャクラにあたるかとの表現も(たとえば「この場所は人体の喉にあたる」といった表現)も、人体について得ていたその波数の部位とよく一致した。
さらに、世界各地の地域性、国民性、日本における地域性、県民性について、文化人類学、風土論、人文地理学、気候学的アプローチ等々で言われていることと比較したところ、よく相関することが分かった。
この他に、ヨーロッパにおけるレイ・ライン、日本の神社・仏閣ライン、キャシーのUFOグリッド、ベッカーとへイゲンスなどの地球12/20面体説、そして中国等における龍脈と龍穴(すなわち風水術と方位学)等とも数値的にもよく一致することも分かった。
これらは全て同じものの別視点かまたはその一部分であることが判明したわけである。
ただし、レイ・ラインや神社・仏閣ラインは物理的実体を捉えているのか、こじつけではないのかという問題もあり、磁流ラインとよく一致するものがあるというのが正しい言い方である。方位についても、もともとあいまいさのあるものであり、魔方陣による方位の、通俗書にある意味付けが、その多くについて波数の表現(意識の種類の表現)と一致するということであって、通俗書にある意味付けには、占い的こじつけもあると思われる。また、ベッカーとへイゲンスの12/20面体説は多面体説に発展したが、これには機械的に拡張しすぎたきらいがある。
(上)波数0(L)
(下)波数0(R)
図1 地球の磁流ラインの分布(基本モード)
3.龍脈と龍穴について
龍脈と龍穴というのは図2のようなものである。龍脈によってもたらされた気のエネルギーは龍穴から噴出するとされる。これは、山脈を作る磁流ラインと川を作る磁流ラインの交点において、気象学でいうソレノイドのようなものが生じて、その結果磁流の渦が発生することと解釈できる。
多くの風水師が一致して典型的な龍穴であるとする皇居について分析してみよう。地球全体に整然と分布する磁流場の中で、この地区がどのような位置づけにあるかをみる。磁流(のエネルギー)は、分布定数回路によって分配される際、まず第0次のモードでやって来て、それが分岐するわけであるが、それらの過程で実際の地形等が形づくられる。その際に波数を生ずる場合もあるが、ここでは波数ゼロの磁流のモードでみよう。国土地理院発行のこの付近の地図をもとに、計算された基本磁流を記入してみると、ちょうど皇居に、6R2×17/24という交感神経側の磁流ラインと1L3×8/24×3/4という副交感側の磁流ラインの交点が来ていることが分かる。これらはどちらも最も基本的なモードの磁流6Rと1Lの第2次の階層に入る程度の磁流である(×l/3,×3/4等はモードの階層を示す)。あちこち調べて来た経験によると‘パワー・スポット’や龍穴といわれる場所では、両方とも第2次の階層の磁流が交点を作ることはそれ程多くなく、どちらかが第3次の階層になることも多いので、確かにこの付近は磁流が勢いよく湧き出していると言えるのである。
図2
図3
分杭峠付近の回りの環境を知るためにも、長野県全体の地形の傾きの特徴をみてみよう。長野県付近の山脈をみると、飛騨山脈、赤石山脈、木曾山脈などが目立つが、前の2つと木曾山脈の一部は、趨勢として波数4,2(L)の山脈であり、八ケ岳を含む山脈も4,2(R)である。天竜川の伊那盆地付近の大半も、長野盆地北部から北北東の千曲川沿いも4,2(L)である。
このように、長野県全体として波数4,2の地形が目立つのであるが、県境や市町村境は山の稜線や川で区切られることが多いので、図4をみるとこの傾向はよく分かると思う。
ところで、文献(6)によると、長野県の県民性は理論好き、理屈っぽい、理性的、教育に熱心ということであるが、波数4の意識の状態は、論理的、知識欲、勤勉といった要素で表現される。波数2も忍耐といった意味があり、よく符合しているように思われる。
実は、後で述べるように、地域的には波数7(知性的)、5(雄弁)の地形もかなり目立ち、これらが相まって言われている県民性がかもしだされていると思う。
次に、文献(8),(9)でも触れられている諏訪と伊那の比較について、磁流ラインでも行ってみよう。
文献(5)によると、
〈諏訪〉
- 気性が荒い
- こすい、はすっこい、ぬけめがない(たとえば農薬やビニールハウス、その他新しい技術を伊那より早く取り入れている)。
- ザックバランである、形式にこだわらない(諏訪では玄関から出入りせず縁側から出入りする。席順も厳格ではない)。
- 内部結束力、組織力がある(自治組織もしっかりしている)。
- 伊那よりも勤勉である。とくに女性がそうだ。
〈伊那〉
- 人間がまるく、のんびりしている。
- まじめでおとなしい。
- 礼儀正しく、きちようめんである(家格を重んじ、結婚のときも家柄や血筋を考慮にいれ、玄関から出入りし、冠婚葬祭のときの席順は厳格にきまっている)。
というように住民には意識されているという。
また、諏訪に属する岡谷市が、かつての製糸工場から転じて精密工業でみごとに成功しているのは、結局諏訪人の性格の「はすっこさ」によるのだと、諏訪と伊那の両方の人々から指摘されたともいう。
さて、図5をみて分かるように、岡谷市から東南にのびる甲州術道沿いの低地は、波数0(R)と波数5,8,4,3(R)によっており、いずれも交感神経に働く磁流ラインである。諏訪湖に注ぐ東南の川群も波数5,8,4,3(R〉が目立つ。
波数5の意識状態というのは、先程の雄弁の他、機敏、器用、活動性、適応力、柔軟性、ずるがしこいなどで表現され、波数8は積極的、大胆、現実的、統率力、支配力、実行力、野心的などで表現されるので、正に上記のかなりの部分は説明しているのではないだろうか。
一方、伊那地方は、伊那盆地全体を通じてほとんどが4,2(L)など副交感神経側に働く磁流ラインとなっており(駒ケ根市の北部から伊那市南部は天竜川が交感神経側となっている)、のんびりしているという感想は当然だと思う。まじめでおとなしいというのは波数2の特性と合う。きちょうめんは波数4とか波数2の特性としてうなづけるし、波数4の中には波数4の特性がある面で陥りやすい形式主義というのもあり、よく符合するように思われる。
(2)分杭峠の磁流ライン分析
分杭峠であるが、文献(7),(8)でご指摘のとおり、確かに中央構造線上であり、糸魚川―静岡構造線など他の断層も程近いところにある。これらや他の活断層等も2.でもふれたとおり磁流ラインによっていることが言えるので、それだけで既にエネルギーの集まっているところであることは分かるのであるが、しかし、その中でなぜ分杭峠かという問題もある。
もちろん、他にも所々にあるこの付近のポイント群のうちの一つを指し示していることは考えられる。
そこでます、分杭峠付近が、地球全体に整然と分布する磁流場の中で、どのような位置づけにあるかみてみよう。磁流(のエネルギー)は、分布定数回路によって分配される際、まず第0次のモードでやって来て、それが分岐するわけであるが、さらにそれらから実際の地形等が形づくられる。その際波数を生ずる場合もあるが、まず波数0の磁流のモードをみようということである。
国土地理院発行のこの付近の2万5千分の1の地図に、分杭峠を通る主要基本磁流(波数0)があるかどうか計算し記入したものが図6である。確かに、分杭峠と記入された地点より少し(1k mくらい)北側に@-6R2×2/4×1/3と@-1L3×0/3×2/3という基本磁流の交点が来ていることが分かる。これらは、皇居の場合と全く同じ磁流ラインの組み合わせであり、どちらも最も基本的なモード6Rと1Lの第2次の階層に入る程度の磁流である(×1/3,×2/3等はモードの階層を示す)。あちこち調べて来た経験によると‘パワー・スポット’と言われる場所では、両方とも第2次の階層の磁流が交点を作ることはそれ程多くなく、どちらかが第3次の階層になることも多いので、この交点付近は強いパワー・スポットの一つとなっている可能性はある。かなり基本的モードの磁流であるので、磁流ラインには幅があり、分杭峠と記入された付近も十分この影響下にあると思う。
地形かち分析すると、分杭峠は峠というくらいで、山の稜線や道の交点になっていて、それらはすべてある波数の磁流ラインに起因するので、それらの交点ということにはなる。 特に、分杭峠の西北の1566mの山と東南の1772.2mの山を結ぶ稜線は、少しくねりながらも全体として@-4L1×17/24等に平行なラインであり、今回の次数までの計算では出て来ないが、もっと高次まで計算すれば必ず通るように描かれる磁流ラインによっており、塩鹿川の上流と栗沢川の上流もこれとほぼ平行となっている。したがって、この付近は副交感神経に働くしかも波数0の場所ということになる。こういうところは自然治癒力を高めたり瞑想等によい場所ということが経験上指摘できる。
さらにそこを国道152号線が交差する形になっているので、分杭峠でのこの国道の傾きが問題である。というのは、もしもこれが3R4×2/24x2/4または@-6R2×2/4×1/3のラインと平行であれば、原則にはまり、高地であることを除けば、あらゆることによい場ということになるからである。一部言われている良性の龍穴にあたる。そして実際、国道はぐるりとカーブしているようであるので、その条件になる所が、部分的に2ケ所はあることが分かる。
この他にも比較的細かいことはいろいろと見受けられるが、おおざっぱに言って、以上のような特徴がみられる。
最後に、文献(7),(8)に関連して、南から分杭峠に至るまでの秋葉街道、国道152号線の波数について述べておく。このルートは中央構造線の続きそのものなので、確かに重要であろう。まず、秋葉街道はゆらぎながらも波数11,3(L)のラインであり、152号線の上村川、青木川沿いは7,3(L)、その北の鹿塩川沿いはまた11,3(L)となっているようだ。波数7は独創的というのもあり、芸術性とも確かに関係しており、また波数11,7は霊的なものとも関係しているので、文献(7),(8)の記述に合うのではないだろうか。
5.おわりに
以上のように、磁流ラインの概念の説明と、特に県民性や龍穴についての磁流ラインによる分析例を紹介した。
他の地方にもいろいろとそれぞれ龍穴的な地点や波数的な特徴はあるのであり、今まで地形による人間の意識への影響(刺激)という言い方をしたが、そうした磁流のネットワーク的配置というのは、実は、地球の意識との連動と、地球上での人間たちの‘役割分担’の具体的な姿であると筆者は思っている(10)。なぜなら、それらは、磁流の分布定数回路という神経系の、フラクタルな、一体の活動としてあるからである。
そこで今後、我々の‘現住所’がどのような意識つまりどんな波数を担っているかを知って、その機能を果たす、あるいは真に‘繁栄する'ことに、この知見は使っていけるのではないかと考えている。
また、こうした立場からの‘まちおこし'なども増えていくと予想されるので、当方の磁流ライン分析は、そうした方向にもお手伝いできないかと思っている。
《文献》
1.佐佐木康二:タキオンと磁流について 「サイ実測研究会会誌」 No.1(1993) サイ実測研究会
2.佐佐木康二:物理から意識へ 「サイ実測研究会会誌」 No.5(1994) サイ実測研究会
3.Koji Sasaki:「サイ科学」 Vol.14 No.1 日本サイ科学会
4.「数理科学」 No.372,No.373(1994) サイエンス社
5.祖父江孝男:県民性 (1971,1994) 中公新書
6.浅香幸雄:日本地図 (1997) 国際地学協会
7.中野尊正:世界地図 (1997) 国際地学協会
8.宮本高行:分杭峠気場発見の経緯(その1) 「サイ実測研究会会誌」 No.11(1996) サイ実測研究会
9.宮本高行:分杭峠気場発見の経緯(その2) 「サイ実測研究会会誌」 No.12(1996) サイ実測研究会
10.“地球経絡”の活動から天変地異を読み取る-エネルギー・ネットワーク磁流の研究-佐佐木康二 「パワースペース」 No.9(1993) p22-23 福昌堂
※この文章は 佐佐木康二:長谷村分杭峠の磁流ラインによる分析 「サイ実測研究会会誌」 No.14(1998) サイ実測研究会 および 佐佐木康二:宮城県における‘龍穴’の物理的分析 「福来心理学研究所会報」 No.23(1998.9) 福来心理学研究所 を、ホームページ用に加除訂正したものです。
(c)2004 NLL物理研究所
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(2023年9月記)