鴉のクー。 | 交差、てん

交差、てん

精神障害者手帳1級です。犬が大好きです。音楽、勉強、たまに絵を描いています。仕事は、動物関係です。アラフォー男性です。

小学生の頃、帰り道、


駐車場に、不自然なビニール袋がポツンと放置されていた。

近付くと、モゴモゴと動いている。


気になって袋を破くと、真っ赤な血が流れてきた。




中にいたのは。




1羽の鴉だった。


彼は血を流しクチバシを針金で巻かれ、羽根をむしられていた。


荒く息をしており、もう長くもたない。と思った。


友人「…どうする?」

僕「…助けよう」


持ち帰り、近所の人に助けを求め、看病した。


名前は「クー」と名付けた。


針金を外し、血を拭き包帯を巻き、

木に紐を付けて足に繋いだ。


クーは怯えていた。


震える姿が、とても悲しかった。

ご飯も食べなかった。


人間が、彼を傷付けた。


それが、申し訳なくて。凄く悲しかった。


毎日クーの元へ通い続けた。


やがて掌に乗せたご飯を食べてくれるようになり、

腕に乗って懐いた。

なんて可愛いことか。


包帯が取れた頃、別れの日が来た。


空へ放すとき、

何故か、向こう側の家の屋根の上に、

30羽は超えるだろう鴉達が、

ギャアギャアと、けたたましく鳴いていた。


迎えに来た仲間達と一緒になったクーは、

遠くの空へ、飛び立って行った。