Perfume 8th Tour 2020 "P Cubed" in Dome 感想レポ目次

  1. 《「私たちの"P Cubed"」》"P Cubed" in Dome LOOKS①・ネタバレ無し
  2. 《Prologue》"P Cubed" in Dome LOOKS②
  3. 《Opera》"P Cubed" in Dome LOOKS③
  4. 《play the GAME》"P Cubed" in Dome LOOKS④
  5. 《このままでいれたら》"P Cubed" in Dome LOOKS⑤
  6. 《”Hurly Burly”という経歴》"P Cubed" in Dome LOOKS⑥ ←今回の記事

 

――――――――――――――――――

 

 

最初のMCで、今回のドームセットリストはアンケートの上位曲を構成したものであることが判明する。なるほど、「Spending all my time」を歌った理由も納得できる。

 

しかし、アンケート結果の真骨頂はここからである。

 

「まだまだいけるでしょ!」の掛け声から四つ打ちが心臓に響く特殊イントロが入り、まさかのドーム披露、「Hurly Burly」がスタートした。

 

 

――――――――――――――――――

 

What's your favorite flavor?

 

2年前、2018年からは考えられない大出世である。

 

「Hurly Burly」は2012年、シングル『Spending all my time』のカップリング曲として収録されたが、表題曲の「Spending all my time」をテレビでやらないとした上で、このシングルのテレビ出演用の役割を与えられた。

 

あ~ちゃん ……フェスは今年の夏の一大イベントです。「Spending all my time」ももちろん歌います。この曲はテレビでは歌わないでライブで歌う曲にしようってことになったんです。

 

──えっ? シングル曲なのにテレビでやらないんですか? それはすごい決断ですね。

 

あ~ちゃん うふふ(笑)。なんか、テレビに出てカメラの前で3人がこの曲で「パン! パン! パン!」って踊ってる感じが、あんまりイメージできなかったんですよね。

 

──僕もそう思って訊こうとしてたんですよ。「歌番組に出るときにどうするつもりなんですか?」って(笑)。

 

あ~ちゃん そうそうそう!(笑) だからテレビでやるのはやめました。「これは会場にいるお客さんと一緒に作り上げていく曲にしよう。たまにはそういう曲もあっていいよね」ってことで。

Perfume「Spending all my time」インタビュー - ナタリー

 

そんな位置付けの曲だったが、直後にワールドツアーが控えていたことで殆どテレビでは歌われなかった。

ついでに上記のインタビューではこんなことを話していたりもする。

 

──内容が内容なだけに、ライブでの盛り上がりを意識した曲なのかなと。ライブで「FAKE IT」みたいな位置付けになりそうだなと思いました。

 

かしゆか ああー、わかるかも。そうなったらいいですよね。こちらからそうリクエストしたわけじゃないんですけど、でもライブには向いてる曲だなと思いますね。

Perfume「Spending all my time」インタビュー - ナタリー

 

そう、「Hurly Burly」は四つ打ちが心地よい、紛れもない王道なライブ曲であり、時によってはライブの”核”となって、「Spending all my time」と共にライブによって育てられていく楽曲、今後のPerfumeのライブで定番曲となるのには、充分すぎるポテンシャルを持っていた。

 

 

 

定番曲となる、はずだった。

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

「Hurly Burly」は、渋谷ヒカリエで開催された800人の抽選イベント『氷結SUMMER NIGHT』で、ホログラフィック・3D映像とのコラボレーションという「FUSION」「STORY」と同じように、前面に演出を押し出したパフォーマンスで、カップリング曲にしては輝かしすぎるデビューを飾る。

 

その後『Ultra Korea』、『SONIC MANIA 2013』、『LIVE at NHK』ではテレビサイズではあるものの、「Magic of Love」から曲を繋いでクラブ仕様に仕立てられた、まさに”Hurly Burly Party”なアレンジで楽曲の地位を不動のものにした。

 

 

 

はずだった。

 

しかしその後、「Hurly Burly」がステージの照明を浴びることは一切なくなってしまった。

 

直後にリリースされたアルバム『LEVEL3』には、同じシングルに収録されていた「Spending all my time」「ポイント」の2曲はアルバム入りしたが「Hurly Burly」は外れてしまう。

 

大きな期待を込めて素晴らしいスタートダッシュを切ったはずの楽曲は、フルサイズの振り付けすら付くことなくお蔵入りしてしまった。

 

 

――――――――――――――――――

 

 

完全に忘れ去られた「Hurly Burly」を、もう一度ライブで観たい!という声は年々大きくなる一方。

2016年には一ファンがTwitterで啓発アカウント(bot)まで開設するほどだった。

 

それでも音沙汰は一切なく、「Hurly Burly」が日の目を見る日はもう無いと、誰もがそう思い、諦めていた。

 

 

 

風向きは急転した。

 

 

 

大事件が発生したのは2018年2月14日。

『P.T.A.発足10周年‼ と5周年‼“Perfumeとあなた”ホールトゥワー』の初日、幕張公演でのことだ。

 

10年ぶりとなったPerfumeオフィシャルファンクラブ「P.T.A.」限定のファンクラブツアーは、千葉・幕張イベントホールを皮切りに全国9会場を回った。

 

ツアーのチケットは、全公演を通してPerfumeでは稀に見る激戦区となり、幕張公演では急遽追加公演を設け、1日に2公演が行われるなど異例の事態となった。

 

肝心の内容はツアー初日まで一切明かされることはなく、期待を胸に膨らまし、争奪戦をくぐり抜けて意気揚々と幕張イベントホール入りしたファンクラブ会員の精鋭に、1曲目から「Take me Take me」をぶつける波乱の展開。

 

聞けば「事前のアンケート結果の10位から1位までランキング順そのままで披露していく」とのことだった。

 

ランキング5位の「STAR TRAIN」が終わり、しみじみとする会場に響く3人の「Number Four!!!」の声。

 

 

 

「Hurly Burly」のイントロだった。

 

 

 

しかも、それまで存在しなかったフルサイズでの初披露。

 

 

 

いまでも、この日この時の衝撃的な光景は記憶に焼き付いている。

 

「Hurly Burly」は、P.T.A.の手によって5年ぶりに大解放されたのだ。

 

 

 

「Hurly Burly」の大躍進は止まらない。

 

翌年にリリースされた、Perfume初のベストアルバム『Perfume The Best "P Cubed"』では、多くのライブ定番曲や人気曲など、全楽曲の半数以上が収録漏れする中、「GLITTER」を差し置いてアルバム入りを果たす。とんでもないことだ。

 

 

 

そして迎えた結成20周年・メジャーデビュー15周年記念のドームツアー。

 

「Hurly Burly」は、遂にドームで披露されてしまったのだ。

 

2年前まで不遇扱いされていた「Hurly Burly」の姿はもうそこにはなかった。

衣装も「Hurly Burly」専用かというほど、振り付けと楽曲にマッチしたカラフルな衣装で、ドームを支配していた。

 

 

 

「Hurly Burly」が、4大ドームツアーのセットリストに入る。”

 

誰がこんな未来を予想できただろう。

 

たかがカップリング曲1曲にも、とんでもない経歴を持つ楽曲がいるのだ。

 

だんだん徐々に(少しずつの)

だんだん来るよ(距離が見えて)

ぜんぜん変わんない(はずはないよ)

そうかな