Perfume 8th Tour 2020 "P Cubed" in Dome 感想レポ目次

  1. 「私たちの"P Cubed"」】"P Cubed" in Dome LOOKS①・ネタバレ無し
  2. 【Prologue】"P Cubed" in Dome LOOKS② ←今回の記事

 

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REQUESTAGE in Dome

 

このドームツアーは、Perfumeでは初のベストアルバムを引っ提げて行なわれる、ということについては何度も触れてきた。

 

「Perfumeはドームでどの曲をやるのか」。

私のTwitterのタイムライン上では期待に溢れていた。

 

セットリストやライブの構成については、メンバー達自身もかなり迷ったそうだ。100曲以上の中から泣く泣く52曲に絞ってベストアルバムをリリースした張本人なのだから、当然ともいえる。

 

そこで、Twitter等で告知された楽曲アンケートで、ファンのリクエストを基にライブをつくり上げていったという。

 

つまり、セットリストの大枠がファンに委ねられたドームツアーだったのだ。

冷静に考えて、ドーム規模で実質のリクエストライブとはなかなか大胆だ。

 

楽曲について、ナゴヤドーム辺りからのMCで「(ランキングの結果が)1~5位は予想通り、6~10位がびっくり。私たちとみんなは、いい意味で裏切り合ってきたんだな」とあ~ちゃんが話していたが、本当にその通りで。

 

定番曲としての立ち位置を築き上げた楽曲達とは対照的に、支持を集めながら中々ライブでは披露されない楽曲も、Perfumeには多く存在する。

2018年のファンクラブツアー幕張公演が未だに”夢のライブ”として語り継がれるのには、これが大きく起因しているからだろう。

 

 

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"P Cubed" feat. Reframe 2019

 

テクノロジーを最大限に活かしながらも、Perfumeの歴史に染められた、決してテクノロジーに囚われない、ファンの満足度の高い公演が実現できたのだ。

 

「EPISODE 0 ~Reframe 2019~」より

 

昨年開かれた『Reframe 2019』で、公演に対して私はこのような考察をした。

 

そして控えていたドームツアーについて、

 

MIKIKO「でもこんなに時間をかけて…それこそ、見せたかった3人を研究し直して、できたことで、やっとなんか…演出の仕方が分かった、やっと分かったみたいな、今回(笑)

 

『Reframe 2019』はそんなドームツアー『Perfume 8th Tour 2020 "P Cubed" in Dome』の盛大な伏線・ウォーミングアップであると言い切れる。あれだけ完成度の高い公演を伏線と言ってしまうのに申し訳無いが、そうとしか考えられない。

 

「EPISODE 0 ~Reframe 2019~」より

 

 

テクノロジーの利用については、大方私の予想通りであった。今回のドームツアーでは、『Reframe 2019』で得られた実績を、ドーム規模に大幅に応用させている

 

 

 

2018年のファンクラブツアー頃までは、これまでに何度かライブで披露したことがある曲を再び披露するに際して、ディスプレイに映し出される映像はそのままだった。

(ex. 「MY COLOR」は『Perfume 4th Tour in DOME「LEVEL3」』から、

「Party Maker」の背景映像は『Perfume 5th Tour 2014「ぐるんぐるん」』から、長らく同じ映像が使われていた。)

 

その映像を更新する際も、楽曲の”印象”を大きく変えることがないものに留まっていた。

(ex. 「edge」の『Perfume Second Tour 2009「直角二等辺三角形TOUR」』『Perfume WORLD TOUR 1st』(2009)、

「STORY」の『LIVE「3:5:6:9」』(2015)→『Perfume 6th Tour 2016「COSMIC EXPLORER」』では、それぞれ大幅な映像や演出の更新は行われず、撮り直しのみ。)

 

 

 

だが、2018年の『Reframe』を経た『Perfume 7th Tour 2018「FUTURE POP」』では、「エレクトロ・ワールド」「FAKE IT」「Party Maker」など、これまでライブの定番曲として君臨してきた楽曲の背景映像を一新。楽曲自体のイメージアップにも繋がった。

 

その背景映像もただ一新するだけでなく、「FUTURE POP」との相性が素晴らしいものだった。

 

これまでの楽曲に対して、「FUTURE POP」の世界感に調和する”再構築”を施工したわけである。

 

 

 

そこから『Reframe 2019』を経て、迎えた今回の『Perfume 8th Tour 2020 "P Cubed" in Dome』

 

 

 

セットリストに入ったすべての楽曲に対して、"P Cubed"に合わせた"再構築"が実施された。

 

その細かい内容については、次回以降に持ち越させて頂く。

 

 

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全ての公演が終了した後、このドームツアーの内容をブログにするにあたって、どのような書き方で、どのような角度で書き進め、考察して行けば良いかが、私も分からなくなっていた。

 

セットリストも、最終的にPerfumeが組んだとはいえ、実質リクエストランキングの上位曲である。

千秋楽が中止されたことも、私の中でのまとまりも付いていなかった大きな理由だった。

 

 

 

このツアーで、何度も3人が言葉にしていた「1曲1曲が、大切な思い出」という言葉。

 

 

 

その言葉に習って、私の『Perfume 8th Tour 2020 "P Cubed” in Dome』の振り返りは、1曲ずつ丁寧に追っていくことにした。

 

しかしそうするとブログの字数制限に加え、自分が後から振り返ったときに読みにくいのは明白。

なので、記事もいくつかに分けて、書き漏らしのないような形をとることにした。

 

 

 

『Perfume 8th Tour 2020 "P Cubed" in Dome』、その公演の全貌と裏テーマを、紐解いていく。

 

 

 

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※以下の内容は、次回以降のブログを読んで頂くにあたって、ぜひ目を通して頂きたい文章です。お時間があればぜひご一読ください。

(以前の記事「EPISODE 0 ~Reframe 2019~」の一部を抜粋・推敲したものです)

 

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Re:Reframe

 

『Reframe 2019』が前回の『Reframe』と異なるのは、テクノロジーが先行していないことである。

 

 

 

前回の『Reframe』の正式名称はThis is NIPPON プレミアムシアター『Perfume × TECHNOLOGY』presents "Reframe"

 

一方今回の公演名は「Reframe 2019」である。

公演名の時点で『Technology』の名は外されていたのだ。

 

そのため、前回の『Reframe』のように演出メインの公演ではなく、ポップな内容も含まれ、所謂『Perfume WORLD』がLINE CUBE SHIBUYAに溢れていた。ガチガチのテクノロジーライブから外れ、温かいライブが届けられた。

 

これを具体的に象徴するのは2曲目の「VOICE」の投入である。

 

 

 

『Perfume 5th Tour 2014「ぐるんぐるん」』広島公演以来5年ぶりの披露。

 

『Reframe 2019』に、このような歌モノな楽曲が含まれた時点で「今回のReframeは前回とは違うな」とすぐに感じた。

 

実際、「FUSION」や「edge」、加えて「Dream Land」もテクノロジーを魅せるのではなく、全員が30代を迎えたPerfumeを、より引き立てる演出を用意していた。

 

これまでテクノロジーと向き合い続けてきたからこそ、Perfumeとテクノロジーの完璧なバランスに辿り着き、テクノロジーが自然に溶け込んでいったのだ。

 

Dream Land」ではそれが非常に分かりやすかったと思う(画像でも多少は伝わるかも)。

紗幕のようなものを利用し、映像の演出が全く目立っていないのだ。

更にオリジナル曲以外でのパフォーマンスも、『Reframe 2019』と呼称するに相応しい、Perfumeのヒストリーを詰め込んだ。

 

Scene 5. Pose - Perspective」では、「コンピューターシティ」「Spending all my time」「Cling Cling」等の代表曲のポージングを次々と繰り出し、それは初東京ドーム公演での「Perfumeの掟」ののっちを彷彿とさせた。

 

更に「Scene 7. Kiseki - Visualization」では「リニアモーターガール」から歴代の曲を細かくミックス・BPMを揃えて断片的に披露していく演目もあった。

 

 

 

「これまでやったきたことに、一つも無駄なことはなかった。」

 

最終日、あ~ちゃんが口にした言葉だ。その想いは全てこの公演、『Reframe 2019』に詰まっていた。

 

これまでやってきたこと。それはもちろん、Perfumeとしてのキャリア・経験、そしてテクノロジーも含まれるだろう。

 

もう一度言う。

 

Perfumeは、テクノロジーと向き合い続けなければ出来ない、テクノロジーを最高の引き立て役としてしまうパフォーマンスを見つけ出した。

それは、長年タッグを組むRhizomatiks Researchと共に、プロジェクションマッピング、半透明スクリーン、AR技術などの数々のテクノロジーを実験し、積み上げてきたからこそ、極めて完成度の高い、テクノロジーが調和した公演が行なえるようになったのだ。

テクノロジーを最初から使わなければよかった、ということでは無い。

 

だから『Reframe 2019』のような、テクノロジーを最大限に活かしながらも、Perfumeの歴史に染められた、決してテクノロジーに囚われない、ファンの満足度の高い公演が実現できたのだ。

テクノロジーを最初から使わなければよかった、ということでは無い。