☆☆この記事のざっくりポイント☆☆

・Kizuna AIの歌うダンスミュージックは至高

・熱中症を引き起こすレベルで大盛り上がりとなった中田ヤスタカ / きゃりーぱみゅぱみゅ

・Perfumeが紡いできた「Future Pop」

・3年振りの「ワンルーム・ディスコ」

・Perfumeが「無限未来」を歌う意味

 

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この記事は同タイトル①の続きです。

①から見て頂いたほうが、よりリアルにオタクのサマソニを追うことが出来ます(誰得)(Kizuna AI、中田ヤスタカ / きゃりーぱみゅぱみゅは①です)。

 

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STARRY, STORY.

大満足の中RAINBOW STAGEを後にし、MARINE STAGEへ向かう。幕張メッセから脱出し、舞い上がったオタクは別の仲間に追いつこうと少しだけ走る。次の瞬間、右足のふくらはぎが逝った(つった)。追い打ちをかけるように左足のふくらはぎも逝った。完全に熱中症のそれだったが、アクエリアスを爆飲みした直後ということもあったし、幸い症状も軽かったのでそのままMARINE STAGEへ向かう。熱中症には負けていられない。これからPerfumeなのだ。

 

いざスタジアムの中に入るとなかなかに圧巻の光景。観客席を見上げることは普通できない体験である。そしてここには、この場所には既にPerfumeがいるのだ。

 

実は10年間PerfumeのファンをしてきてフェスのPerfumeを観るのはこれが初。ワンマンライブでしか観たことのないPerfumeが、さっきまでKizuna AIやきゃりーぱみゅぱみゅやらを観た同じイベントに出るということがいまいち信じられなかった。

 

ここまでばらけていた仲間のオタク達もMARINE STAGEでは大集合。オタク総動員でPerfumeのステージを盛り上げる準備ができた。音響チェックの「Dream Fighter -instrumental-」から全員大合唱。最高に狂ってて幸せな空間だった。

 

「Dream Fighter」も終わり、あとは待つのみ。3月7日の『Perfume 7th Tour 2018「FUTURE POP」振替追加公演』以来、実に5か月ぶりの、短い時間ではあるが『Perfume WORLD』に浸れるひと時が始まった。

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あの頃と意味は違うけど

SEはアルバム『Future Pop』から「Start-Up」。昨年横浜アリーナで何度も観た光景が蘇る。しかし横アリで観たPerfumeと、今マリンスタジアムで観ているPerfumeの佇まいは明らかに違う。Reframeを起点に全国アリーナツアー、4度目のワールドツアーを敢行し、世界最大の野外フェス『コーチェラ』を完遂したPerfumeに、もう怖いものはない。そう言っているかのような堂々とした情緒を身にまとっていた。

 

Future Pop」。昨年リリースした最新アルバム『Future Pop』の表題曲だ。決して歩みを止めることのないPerfumeの生き方そのものが全面に写し出された、2018年のPerfumeを全て語ることができる唯一の楽曲だ。

 

 再現する 未来の全てを 空気が

 

「Future Pop」を冠したイベントがすべて終わった今、初めてこの詩に本当の意味が宿ったように思える。

上に挙げた詩は、そのままの意味を取ると「将来の私達の姿を、今の私たちが再現する」と捉えられる。昨年のツアーでPerfumeは、『過去・現在・未来』というテーマを大事にしながら一つ一つの公演を大切に回り、自分たちの未来について、この曲、この詩に乗せて大切に歌い続けてきた。

 

Perfume 7th Tour 2018「FUTURE POP」

Perfume WORLD TOUR 4th「FUTURE POP」

 

日本、そして世界で歌い重ねてきた「Future Pop」という楽曲の意味は、「Future Pop」の名を冠したイベントを通してのPerfumeの成長(この期に及んでまだ成長という言葉をPerfumeに使わせて頂く)を追ったドキュメンタリーであり、”『現在』のPerfumeが『未来』のPerfumeに少しずつ追いつき、未来のPerfumeとの距離・時間差を次第に縮めていく”行為であったように感じられる。

 

歌い続け、縮めてきた距離がなくなり、現在のPerfumeが「Future Pop」で歌われる『未来』のPerfumeに追いついたとき、それは『未来』を歌った歌ではなく『現在』を歌う「Future Pop」として完成を迎えた。そのタイミングこそが、『The Coachella Valley Music and Arts Festival 2019』だったのだろう。このコーチェラがPerfumeの背中を一気に広げ、その姿はまさに”ちはやぶる”という言葉通りの立ち姿だった。

 

そしてSUMMER SONIC 2019。現在のPerfumeは未来のPerfumeに追いつき、遂に追い越した。『現在』のPerfumeが、「Future Pop」上での『未来』のPerfumeを追い抜いていった。

 

つまり、Perfumeはこの「Future Pop」に出てくる上記の歌詞、「未来の全て」を歌う意味を、既に『過去』のものへしてしまったのだ。『現在』のPerfumeと『未来』のPerfumeが入れ替わった瞬間である。

 

要するに、未来の全てを”再現”ではなく、今のPerfumeが”実演”しているのである。もうPerfumeが「Future Pop」を『未来』のものとして歌うことはない。いや、これこそが、「Future Pop」を『過去』のものとしてしまうことが、「Future Pop」の完成なのかもしれない。

 

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ワンルーム・ディスコ

Perfumeの次のカードは「If you wanna」。それまでの楽曲とは大きく異なるアプローチを行なった作品。ここまではアルバム『Future Pop』の曲順通りのセットリストだ。MARINE STAGEにこれでもかと沈みこませる低音が心地よい。

 

「Pick Me Up… Pick Me Up…」とスタジアムに響く声に大歓声が応える。「Pick Me Up」を繰り出したPerfumeは一気に”攻め”のモードに入る。指の先までしならせる振付には、なぜ腕から指までがこんなにも美しいのかと、毎回自分の手で確認してしまう。Perfumeは人間ではないのか。

 

束の間、衝撃のイントロが幕張の空へ突き抜ける。Perfumeは止まらない。ここで「ワンルーム・ディスコ」がセットリストに入った。2009年リリース、Perfume9枚目のメジャーシングルアルバム『⊿』でも核となり、ライブの定番曲、人気曲として長いことパフォーマンスを続けていた。

「ワンルーム・ディスコ」が最後にフルサイズで披露されたのは2年前、丁度この幕張の地で行われた『Amuse Fes 2017』だ。私が最後に聴いたのはそこから更に1年前、同じ幕張の地、『Perfume 6th Tour 2016「COSMIC EXPLORER」Standing Edition』の3日目であった。

 

初めてPerfumeを観た09年の横浜アリーナ公演から何度もこの楽曲を観てきたし、その度に大好きが増していく楽曲だ。そんな「ワンルーム・ディスコ」を観られない期間が3年間もあったのは初めてのこと。久しぶりの披露にイントロでは大声を上げたが、すぐに目から汗が止まらなくなっていた。

 

当たり前のように観れていた楽曲が久しぶりに披露されることにオタクは弱い。『FPツアー』の「エレクトロ・ワールド」もそうだったが、この「ワンルーム・ディスコ」はそれ以上に思い入れが深い。

 

10年前、横浜アリーナで観たあの光景を、6年前にサンタ衣装を着て目の前で踊っていたあの感動を、3年前にここ幕張の地で初めてスタンディングで体感したその迫力を、本人たちが同じ楽曲で当たり前に魅せてくれる。こんな奇跡的で有り得ない幸せがあるだろうか。

この「ワンルーム・ディスコ」は終始まともに観ることができなかった。

 

「ワンルーム・ディスコ」の衝撃が抜けきらないまま聴き慣れた挨拶とMCが始まる。この日の衣装はイベントグッズに合わせた蛍光イエロー。なかなか奇抜だが、似合ってないという言葉は出てこない。

 

新曲「ナナナナナイロ」が夏の空に心地よく響き渡る。ショートバージョンだと「ナナナナナイロ」の『ナ』ひとつ分くらいしかこの曲の良さが伝わらないのがもどかしい。

 

 そろそろ未来に帰らなきゃ

 

ここでも時間軸に関連した歌詞が出てくる。先述したように、Perfumeは「Future Pop」を過去のものにした。「ナナナナナイロ」では、もっともっと更に未来のPerfumeについて話した曲だと私は感じている。

 

あっという間に「ナナナナナイロ」が終わると、昨年9月からコーチェラのあった今年4月まで、アルバム表題曲「Future Pop」とタッグを組んで運命を共にしたあの曲のイントロが流れ始める。

06年リリースのメジャー3rdシングル「エレクトロ・ワールド」。「ワンルーム・ディスコ」で乱れた情緒もようやく落ち着き、全力で「エレクトロ・ワールド」を楽しむ。

 

 この世界のスイッチ 押したのは誰なの

 

Perfumeと私たちが共にこの世界のスイッチを押し、Perfumeとの距離をほんの数cm、数十cm縮める。やっぱりこれが好き。

 

P.T.A.のコーナーは通常運行。チャットモンチー作曲の「はみがきのうた」で完璧に踊る集団を目の当たりにし、ドン引きするブラピのお姉さん二人組。そりゃそう。

更にSUSHI PIZZAの「マイティDISCO」という誰も知らない楽曲を使ってMARINE STAGEの観客を巻き込む。Perfume、色々やばい。いつものことだけど。

 

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Your Party Maker

「ここからはぐんぐん盛り上がる曲しか用意していません!」とあ〜ちゃんの声掛け、そして曲振りからPerfumeの要素が全て詰まった真骨頂「Party Maker」へ突入する。

 

今ではこの曲がセットリストに入らないと、Perfumeのライブに来た感さえ薄れるようになった。ステージ上のPerfumeへ手をかざし、頭上で大きく円を描く共有体験、そしてバキバキに踊り狂うPerfumeへ『あなた達が一番だ』と縦ノリと自分達の指を使って推す。それの繰り返しと後半につれて高まる感情、それらがのっちソロでクライマックスを迎える。

この構成こそ、『Perfume WORLD』を見事に1曲で表現し、Perfumeへ想いを届ける最高の愛情表現だと私は思う。そんなことを考えながらSUMMER SONIC 2019の「Party Maker」を身体全身に浴びる。この瞬間が、Perfumeのライブでは何よりも気持ちが良い。

 

続いた曲は「FUSION」。Reframe、そしてFPツアーでは演出を重視したパフォーマンスで、このサマソニでもFPツアーと同じ映像を使用。しかしハーフスクリーンや稼働する機構は無いため、「FUSION」の隠されていた振付・魅力がより鮮明に目に映る。このタイミングとフェスでの「FUSION」は誰も予想しなかっただろう。

 

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無限未来

『これが、今の私達です。』

 

最後の曲を前に、あ〜ちゃんはそう言った。

 

Perfumeは今年の2月、あ〜ちゃんの誕生日を以て全員が30歳を迎えた。「ポリリズム」発売当時のPerfumeは10代。そこから長い時間を掛けて、Perfume専用の、Perfumeにしか歩くことの出来ない道を自分達で敷き、走り進み続けてきた。

 

数年前までPerfumeは、基本的に攻め切るセットリストを用意し、ダンスフロアを作り上げていた。それは『Perfume WORLD』を多くの人に楽しんでもらうため。

30歳を迎えたPerfumeは『今、30歳のPerfumeを一番美しく魅せるパフォーマンス』を自ら見つけ、実践し、自分達の武器にし始めている。Perfumeが培ってきた、より良いものを創り出す攻めの姿勢はなにも変わっていない。

 

前回のロッキンの記事でももクロについて触れたが、Perfumeについても全く同じことが言えるはずだ。

19年掛けて、『Perfume』という独自のジャンルを築き上げ、次第に精錬され、己を解放したパフォーマンスを繰り広げられるようになり、照明に頼らない『自分たちを魅せる』ライブが行われるようになった。

 

これが、本人たちも語っていた「ひき算で構成される」なのだろう。

 

『私たちの、そしてみんなの未来は明るい。』

 

ツアーで何度も発言した言葉だ。しかしここまで直接的な言葉を選び、その言葉をこれほど説得力を持って発言できる人が他に居るだろうか。

『未来』のことなんて誰にも分からない。しかしPerfumeは、分からないはずの『未来』を「明るい」と、その場に居る全員に向かってそう言い切るのだ。

自分たちが過ごしたかけがえのない19年間、すなわち『過去』、そして『現在』に誇りを持てなければ、『未来』の自分たちに自分たちが期待しなければ、到底、というより普通の人間が口にできる言葉ではない。

 

未来は明るい。

 

Perfumeは若い世代へ向けて、自分たちの活動の積み重ねを基にした最大限のエールとメッセージを、「無限未来」という歌にのせて、伝えられる範囲すべてに届けようとしているのかもしれない。

 

Perfume セットリスト

01. Start-Up

02. Future Pop

03. If you wanna

04. Pick Me Up

05. ワンルーム・ディスコ

MC

06. ナナナナナイロ (TV size)

07. エレクトロ・ワールド

P.T.A.のコーナー

08. Party Maker

09. FUSION

MC

10. 無限未来

 

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結句

Perfumeのステージが終わった。衝撃、脱帽、多幸感、信じ難い…様々な感情が一気に押し寄せ、放心状態だった。素晴らしいとかそんなもんじゃない。

3月の大阪公演以降の5か月間、これまでに無いほど様々なアーティストのライブを観た。しかし、そこまで観てきた他のアーティストは偽物だったのではないかと思う程(本当に申し訳ない)、Perfumeの格は全く違うものだった。Perfume以外に触れて初めて気付かされるPerfumeの異次元さに打ちのめされていた。

 

その後、明らかに悪化した熱中症を少しずつ回復させつつZEDDを観る。これは頭痛のせいでまともに記憶が残っていないのが心残り。飛んだ記憶はあるので楽しかったはずだ。

 

SUMMER SONIC 2019。

「結局Perfumeなんだな」と、Perfumeに知らしめられた1日だった。

今年のPerfumeはReframe 2019、更に国立競技場のオープニングイベント出演の可能性もある。

年が明ければまずは4大ドームツアー。Perfumeが本気をぶつけ、それまでのPerfumeの集大成を目にすることができる大切なライブだ。

 

SUMMER SONIC 2019の締めなのに、ワンマンライブのような締めになってしまった。

原稿用紙30枚分、長い記事を最後まで読んでくださった方、本当にお疲れさまでした。そしてありがとうございました。Perfumeの大オタクがお送りする、サマソニ感想レポートでした。

 

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推してるアイドルグループ「notall」が9月1日から大パワーアップして6人体制になります。

そのお披露目ライブが、神奈川県の三浦海岸にてnotall主催で行われます。私も行きます。ぜひ。

私の好きな楽曲は「#ハッシュタグはつけられない」と「ペンギン人間」です。

notafes2019.png

(勝手に宣伝)