欧米では、認知度が上がっていて、線毛機能不全症候群(PCD)は、幼少期に疑われ、診断されるべき病気であることが明確になっています。
幼少期ですと、欧州は(日本も多くの場合)PICADARスコア(2024-07-14を参照)を使い、一方、米国では、①満期産児における原因不明の新生児呼吸不全、②生後6か月以前から始まる、通年、日常的な咳、③生後6か月以前から始まる通年、日常的な鼻閉、④内臓逆位のうち、少なくとも2つ以上を満たす(Leighの基準)を使ってPCDを臨床的に疑うように推奨しています。
しかし、成人になると新生児期のことは両親から聞いていなかったり、覚えてなかったり、小児科医からもときどき見られる症状として気に留められなかったりで、曖昧になることが多いのが実情です。特に欧州のPICADARスコアは内臓逆位に重きを置いているため、内臓逆位を伴わないPCDを診断するのに不向きであることが最近、問題となっています。
そこで成人の場合、たとえば慢性副鼻腔炎と気管支拡張症があって、さらにもうひとつ、①若年発症、②CT画像上、肺中葉優位の気管支拡張と下葉の粒状影、③蝶形骨洞や前頭洞(副鼻腔の一部)の低形成, 無形成、④不妊症, 不妊治療歴あり、⑤両親の近親婚あり、⑥内臓逆位といった特徴が加わると、PCDである可能性が高まりますので、そのための検査をしてみる価値があると言われています(②と③は、医師の判断が必要なのが難点ですが)。
上記の上・下気道症状に⑥内臓逆位が加われば、かなりの確率でPCDの確定診断をつけることができますが、内臓逆位だけで風邪の引き方は一般の人と同じくらいというのであれば、カルタゲナー症候群とは言えず、内臓逆位は別の原因によるものであって、ふだんの生活には支障がないように思われます。
内臓逆位のない場合は、診断がつくとは限らないので難しいところですが、特に若い頃から症状があることは、やはり先天性の素因を疑わせるものですし、ずっとこの病気と付き合っていくにあたり、診断をはっきりさせておく意味はあるのでは、と思います。
遺伝カウンセリングの体制は遺伝学的検査をオーダーする医療機関では備えている必要がありますので、あらかじめ、遺伝学に詳しい医師の説明を受けておかれますと、検査結果が得られたとき、その意味するところがよくわかりますし、検査を受けるか受けないかを判断する目安にもなるだろうと思います。