「(突然)変異(mutation)」は塩基配列の永続的な変化と定義され、「多型(polymorphism)」は頻度が1%を超える配列の変化と定義されています。このふたつの用語は、国際的に広く使われてきましたが、「突然変異」というのはおしなべて病的な変化で、「(遺伝子)多型」というのはみな良性の変化であるというような誤解を生み、しばしば混乱を招いてきました。
そこで、特に米国では、塩基配列の変化が検出された時点ではおかしな色をつけず、中立的な「バリアント/多様体(variant)」ということばを使って、そのバリアントが (i)病的なのか、(ii)ほぼ病的なのか、(iii)意義不明なのか、(iv)ほぼ良性なのか、 (v)良性なのかという点については、多くの客観的判断基準を設けた上で、その組み合わせによって5段階評価をして、「病原性のあるバリアント (pathogenic variants)」が見出されたなどと表記するようになりました。2015年のことです。

 

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25741868/

 

日本でもこれに倣い、遺伝子の塩基配列の違いを表す際、ほかにあまり良い訳語がなかったので、直接、variantを「バリアント」と表記することが多くなり、今に至っています。