私がこのブログに参加しようと思いましたのは、何年か前、私が研究者として、カルタゲナー症候群の日本における状況を調べようとググっていた時に
「2017年5月の指定難病ハズレ!・・・持病、検討されているんだけれど 今年もどうやら指定難病には入れなかったみたい。」
という、とある方の、アメブロの衝撃的?タイトルを見つけたことが始まりでした。

私は、10年ほど前からこの病気の研究に携わっています。上のブログを見た上で、長くこの病気と付き合ってこられたその経緯を読ませていただいたことで、私はこの病気が指定難病として認められるまでの状況や新しい医学情報を、論文や学会などで医療関係者に向けて発信するだけでなく、一般の方にお伝えすることも意味があるかもしれないと思い、少しずつ情報提供させていただくことにいたしました。そこで読ませていただくコメントなどを通じて、線毛機能不全症候群ないしカルタゲナー症候群と言われつつ、毎日がんばって過ごされている何人かの存在も知ることができました。そんな中でついに2024年の4月に線毛機能不全症候群は指定難病に認められましたので、とある方もすぐに申請して、「ああ、無事に認定されてよかったな!」ということになれば、私は役目を終えて静かにブログを閉じるつもりでおりました。

・・・ところが、うまくいきません(2024年7月現在)。なぜうまくいかないのかをいろいろ教えていただくと、この制度自体の問題や、希少難病への医療提供体制の難しさなど、すんなりいかないケースというのは何が問題なのか、想像はしていたものの、実際にブログを読ませていただくことが、今後へ向けての大きな学びになっています(実際、医療者側がこういった申請へ向けて最短距離で動いてくれるかどうかは重要なポイントですが、最短距離で行ける道順を不案内な医療者に示すのも私ども研究者の仕事の一つと思っています。それがなかなか全国まで届いていないことを申し訳なく思っています)。

一方、同じ病気の方が集まる患者団体がありますと、制度上の不備や不具合は、直接、国に訴えかけて改善を求めることも可能であったりしますが、まだこの病気にそういうものはないようです。医療従事者が学会などを通じて国にお願いすることもありますが、その際にも病気で実際に悩む方々の忌憚のないご意見を直接、お聞きできる機会というのは滅多にないと思いますので、病気の方のブログは同じ病気の方々の横のつながりを深めるだけでなく、その病気のもろもろに関わる医者や研究者にとっても、実は大事な気づきとなる貴重な場が提供されていると思っています。そのことに日々感謝しています。

6月初めに気管支拡張症に対する新規治療法開発の情報をブログに載せた時に多くの方がアクセスされて驚きました。気管支拡張症は決してneglected disease(とずっと医学界では言われてきたのですが・・)であってはいけないと思いました。医療資源には限りがありますので、全ての方が満足されるだけ行き渡らないのですが、一部の方だけがネグレクトされるのは理不尽ですので、そうならないようにと思います。気管支拡張症に関しては、特に欧州で注目されていて、新しい薬の開発が進んでいます。再生医療で肺を元のいい状態に戻すことができなくても、ひどい咳や多量の痰、喀血などが抑えられれば、ずいぶん気持ちも楽だろうと思います。前にも書きましたが、そういう新薬は、いずれも高価な薬になって登場すると予想されますので、国によるさまざまな医療費援助の制度は今後、とても大切になってくると思われます。ぜひ、機会を逸することなく、利用していただければと思います。