嚢胞性線維症以外の気管支拡張症患者を対象にジペプチジルペプチダーゼ1(DPP1)阻害薬であるブレンソカチブの有効性、安全性、忍容性を評価するグローバル無作為化二重盲検プラセボ対照第3相試験であるASPEN試験について良好な結果を示す主要データが発表されました(2024年5月28日 プレスリリース)。

ASPEN試験では、ブレンソカチブの10 mg、 25 mg両投与量において、プラセボを対照として、主要評価項目である年間増悪率の有意な減少が確認され、事前に規定された複数の副次評価項目についても統計学的に有意であったとのことです。

規制当局の承認が得られれば、2025年半ばに米国でブレンソカチブが発売され、その後2026年前半に欧州と日本で発売される予定です。承認されれば、ブレンソカチブは気管支拡張症患者に対する初めての承認治療薬となり、DPP1阻害薬としても初めて、好中球を介する様々な疾患に応用できる可能性を秘めた新しい作用機序の薬剤となることが期待されます。

https://clinicaltrials.gov/study/NCT04594369

高額な薬になると予想されますので、特に線毛機能不全症候群の気管支拡張の場合、指定難病登録により、医療費の助成が得られればと思います。

さらにいえば、広範囲に壊れた気管支を元に戻す薬は今のところ考えられませんが、日常的に症状の悪化を抑える効果が期待されます。

また線毛機能不全症候群で、幼少期のまだ気管支拡張がほとんど見られないうちに診断されれば、投薬によって過度な好中球炎症による気管支の破壊が抑えられて、成人になってから気管支拡張の進展を抑えることができるのではないかという期待ももたれます。