線毛機能不全症の診断に寄与する電子顕微鏡検査所見は、2020年に欧州のグループがガイドラインの形で整理して、これが現在、専門家の支持を受け(線毛機能不全症候群の診療の手引き p.37)、広く利用されています*。

 

*Shoemark A, Boon M, Brochhausen C, et al: International consensus guideline for reporting transmission electron microscopy results in the diagnosis of primary ciliary dyskinesia (BEAT PCD TEM Criteria). Eur Respir J 2020; 55: 1900725.

 

 

指定難病申請のための臨床個人調査票では、このガイドラインに準拠していて、確定的と考えられる所見とそれと疑われる所見を合わせて8項目、提示しています。

 

線毛の電子顕微鏡検査:異常の場合
□外腕ダイニンの欠損
□外腕ダイニンと内腕ダイニンの欠損
□軸糸構造の乱れと内腕ダイニンの欠損
□中心微小管の欠損
□線毛の数が少なく基底小体の局在化が異常
□内腕ダイニンが存在し軸糸構造が乱れている
□25 ~50 %の外腕ダイニンが欠損
□25 ~50 %の外・内腕ダイニンが欠損

 

写真の条件によっては判読が難しく、この所見を正確に記載することは、実際のところはかなりの経験が必要とされます。そのため、指定難病ではprobableの要件に甘んじているものと思われます。遺伝子検査はそれに比べると、もし明らかな異常が検出されれば常に同じ結果が得られるので、definiteの要件となっているようです(ただし線毛機能不全症候群での保険収載は6月1日以降と考えられます)。