Clinical characteristics and severity of primary ciliary dyskinesia caused by large homozygous deletion including exons 1–4 of DRC1: A multicenter retrospective cohort study 2026年オンライン版
https://www.sciencedirect.com/journal/respiratory-investigation/vol/64/issue/2
AIによる抄録の和訳:
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**背景**
日本における線毛機能不全症候群(PCD)患者の約半数は、DRC1遺伝子のエクソン1–4を含む大きなホモ接合性欠失を有している。しかし、DRC1変異(=病的バリアント)を有するPCD患者の臨床像は十分に明らかにされていない。
**方法**
日本全国12施設において、多施設後ろ向きコホート研究を実施した。DRC1変異を有する患者を対象とし、その臨床的特徴、疾患重症度、および画像所見を、電子顕微鏡検査で外側ダイニン腕(ODA)欠損を有する患者群と比較した。
**結果**
DRC1変異を有する43名と、ODA欠損を有する21名(そのうち18名はDNAH5変異が検出されている)を解析対象とした。PCD診断時の年齢中央値は、DRC1変異群で27歳(IQR:17–41)、ODA欠損群で26歳(IQR:8–31)であった。PICADARスコアの中央値は、DRC1変異群でODA欠損群より有意に低かった(4 vs. 8、p < 0.001)。画像検査上の重症度および気管支拡張症の病変分布に両群間で差異は認められなかったが、粘液栓形成スコア(細気管支炎/tree-in-bud像)の中央値は、DRC1変異群で有意に高かった(5、IQR:4–6 vs. 3、IQR:2–4、p = 0.044)。DRC1変異群では、FEV1のzスコアは年齢と負の相関を示し(r = −0.37、p = 0.028)、修正版Reiffスコアは年齢と正の相関を示した(r = 0.47、p = 0.010)。
**結論**
これらの患者ではPICADARスコアの感度は低かったものの、DRC1関連PCDの臨床的および画像的特徴の多くは、比較的典型的なPCDの所見であった。加齢とともに悪化する可能性があることから、早期診断と適切な介入が重要と考えられる。
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【解説】日本で特徴的なDRC1変異によるPCDと特にDNAH5によるODA欠損を伴うPCDとの間で臨床的特徴に差があるかどうかを多施設、多数例について後ろ向きに検討した初めての報告です。
このDRC1変異群では内臓逆位が全くみられないので、この病気を疑うことが難しい現状が最初に述べられています(=PICADARスコアが低値)。しかし内臓逆位以外には、どちらの群でも症状や画像所見に大きな差が認められないことが報告されました。微細な粘液栓に関係すると考えられるスコアが高いということは、胸部CT画像で特徴的な粒状の病変が広い範囲に散らばっていることを意味していて、こういった所見は従来、びまん性汎細気管支炎に特徴的と言われてきたのですが、それはPCDでも見られることに注意が必要です。PCDでは若年発症が重要と思われます。
症状が比較的重く、医療機関を継続受診している方々が報告の主な対象となりますので、同じバリアントを持っていても、もっと軽症で医療機関を受診していない方々がどれだけおられるかはまだわからない状況です。また稀少疾患なので、今回の報告でも詳細な比較解析ができていないところが限界であると書かれています。
電子顕微鏡検査で異常が目立たないから軽症で済むとは言えないようです。加齢により、気管支拡張、呼吸機能の低下がどう進むのかは、今後の長期的な調査で明らかになっていくと思われます。それを食い止めるような新規治療法や日々のケアの方法に新しい国内外の報告が見られれば、また紹介いたします。