かつては、学校のトイレといえば、ほとんどが和式だった。

 私が通った公立の小中学校、私立高校はすべて和式。大学も古い校舎は和式のままで、新しい校舎は和洋併設だった。

 

 学校のトイレ研究会のサイトに、文科省やTOTOのデータが紹介されている。

 

 

 文科省によると、2023年9月現在で、公立学校のトイレは、68%が洋式で、32%が和式。

 TOTOがまとめたトイレの「建築用途別」では、学校は98%が洋式となっている。

 詳しい説明はないが、おそらく、新たに設置もしくは改修する際、その98%は洋式化工事である、ということだろう。

 

 自宅が和式、という家庭はいま、ほとんどないだろう。

 初めての経験がいろいろある小学1年生で、必ずお世話になるトイレまで初体験の和式・・というのはけっこう、心理的負担ではないかと思う。

 

 私は、小学生の時、2つの点で、和式が苦手だった。

 一つは、単に、使い慣れていないから。

 男性の場合、小便器と個室がある。小便器については、さほど苦労しなかった。

 立って用を足すので、むしろ個室の洋式より、手間がかからない。

 問題は個室の方で、しゃがんで用を足すことに慣れていない。

 女性は、大小どちらでも、しゃがむことになる。男性の方が「慣れ」では後れを取る(と思われる)。

 

 もう一つは、しゃがむこと自体に、恐怖と恥ずかしさがあったから。

 以前ふれたけれど、そしてのちほど詳しくふれるけれど、私が通った学校では、個室に入った子をからかう風潮があった。

 私も1年生の時に、しゃがんでいる時に上から覗かれ、からかわれた。

 

 そんな「制裁」の対象になるのが怖くて、恥ずかしくて、個室に入るのを我慢するようになった。

 だから、和式にしゃがむときは、どうしても我慢できない、やむを得ない状況に追い込まれた時だった。

 そして非常に緊張していた(いつ覗かれるかわからないから)。

 

 和式=緊張、恐怖、恥、だったのである。

 

 そういう経験があるので、学校のトイレで和式を見るたびに、嫌な記憶が蘇る。

 

 今の子供達がそんな心境になっていないことを祈るが、本来はリラックスして利用出来た方がいいトイレを、戸惑いながら使わざるを得ないのは、あまりよいことではない。 

 

 文科省は2025年度までに、学校のトイレはの95%を洋式にするとの目標を掲げている(なぜ100%ではないのかが不思議だが)。とても喜ばしいこと。費用はかかるが、衛生面も、子供の精神衛生上も、洋式の方がずっと適切なのだから。