茨城県つくば市では、2001年9月の市議会で、ある市議が、児童生徒が大便を我慢しているという問題を指摘している。

 調査をしたのは、市民環境会議で、小学5,6年生と中学2年の男女計4745人。加えて教員全員(641人)。

 

「これほど貴重な調査というのはないと思います。これをしっかりと生かしていくということが必要だと思う」としたうえで、分析結果を紹介している。

 

 【トイレの使い方と様式について、小学校5年生、6年生 1,649人、大便をしたことがないで我慢している人が女子より男子の方が多い、用便のため早退する、途中下校、登校途中トイレを借りる、友人宅なんかがあるということ、それから小学校の場合、大便を流さないの理由に、水の音で大便をしたことが友達にわかるのをおそれて流さないという状況も出ているということです。

女子の場合だと、保健室に行って用便をするとか、トイレに行きたくなったので早退したとかということも出ている。それから、中学校の2年生の男子、大便用に入るのに3割の生徒が勇気が要ると答えています。】

 

 【それから、若干ですけれども、いじめが……いじめというよりは、トイレに入るとからかわれるということで行くのをためらってしまう。これは、学校で大便をした子についても、もちろんしない子はそうなんですけれども、した子についても、やはりすごい勇気が要るということを、私も数字を自分なりに見て思いました。

 小学校だと、男子の4割、女子だと34%、これは大便をした子、しない子も含めての総数ですけれども、学校のトイレで大便することにすごく抵抗を感じているんですよね。これは中学校も同じです。

 

 ここで他の議会の答弁では触れられていなかった事案が二つある。一つは女子も一定程度、我慢しているというアンケート結果。男子とトイレの構造が違う(もともとすべて個室)ので、男子とはまた別の理由で我慢するのだろう。これについては追って、別の回で考えたい。

 

 もう一つは「流さない」こと。これは、見覚えがある人もいるだろう。トイレから悪臭が流れ、元をたどると、ウンコが流れていない、というきつい状況を。こっそり個室に入り、運よく誰にも見つからず用を足せても、水を流したら個室使用が音でばれてしまう、だから流さないーーと、こう書き起こすと確かに理屈は通っている。理屈は通っているが、よいことではもちろんない。においもあるし、衛生的にも良くない。それが分かっていても流さない。個室に入る恐怖の度合いが分かろうというものだ。

 

 この質問をした市議は、氏名の印象からすると女性であるようだ。女性ではなかなか理解できない、男子児童・生徒の苦しみをおもんぱかってくれている。この訴えに、つくば市がこたえたかどうかは、この答弁だけではわからない。が、こうして苦しむ「弱者」の身になって考えてくれる人(しかも有権者ではない子供の立場を考えてくれる人)こそ、住民を代表する議員にふさわしいと思う。