学校の男子トイレの個室に入ることで、からかわれたり、いじめられたりする。そんな事例はどれほどあるのだろうか。

 議事録をたよりに、公文書化されている例を拾っていく。

 

 兵庫県三田市。2006年3月議会で、市議が質問のなかで「からかい」があることを紹介している。

 

 【小学校男子トイレの個室化についてお伺いいたします。(中略)低学年はいいのですが、中高学年になってくると、授業の途中や休憩時間に大便をしに行くと、周りの子どもたちから「うんち臭い」とはやし立てられ、そのことからいじめの対象にされた例もあると聞いています。もちろん、そんなことでいじめをするクラスに問題があるのは当然です。しかし、その子にとっては学校で大便をすることが恐怖となり、不登校になってしまったり、我慢することで体調に変化を来し体調を崩す子どもも少なくないと聞いています。他市の小学校では、男子トイレをすべて女子トイレと同じようにし、小便器をなくし、個室化にし、対処されたと聞いています。】

 

 せっかくの質問だったのだが、市教委の教育総務部長の答えは冷たい。

 

 【現在、教育委員会では三田市内の小中学校においてトイレといじめについての因果関係等実態把握はできていないのが現状であります。むしろ、保健の授業等を通じて健康にとって排尿・排便は欠くことのできない大切な生理現象であることを教えております。また、いじめの要因は多くあり、加害者の非をまず第一に正すことが大切であります。いじめの要因になっているから、直ちに取り除くべきであると考えることは、本来の解決にはならないと考えております。】

 

 因果関係がはっきりしない。

 いじめの要因は多くある。

 

 実につれない回答で、官僚答弁そのものだ。

 市議の訴えを、ほぼ言いがかり、推測の域、程度にしか扱っていない。

 

 因果関係を把握できていないのであれば、せめて「いじめとの因果関係がないか調べ、そのうえで個室化をするかどうか、改めて検討します」くらいの前向きさがあってもいいと思うのだが。。。

 

 もし、この提案が通り、数年後に全個室化が実現していれば、我慢を強いられる子、漏らしてしまう子、不登校になる子は、だいぶ減っただろう。子供たちが心の傷を負わずに済むのなら、多少費用がかかっても、納得する住民は少なくないと思うが。

 

 もっとも、市民が納得するには、子供たち(主に男子児童)のこうした苦しみが広く知られる必要がある。だからこうして、各地で辛い思いをしている子たちがいるのだよ、と伝えているのである。