大和市と同じく、大阪府枚方市も、個室に入った男の子がからかわれるのを防ぐため、男子トイレを全個室化に取り組んでいるという。

 枚方市のサイトによると、すでに洋式化を進めており、さらにどんな改良をすべきかをアンケートした。そこで、「からかい」の問題があるとの結果を得て、個室化するという流れのようだ。

 

 ただし、全てのトイレの個室化ではなく、(教育界の専門用語が多くて分かりにくいのだが)各棟のうち1フロアのトイレ(1か所)のみを全個室化する。つまり3階建ての校舎のうち2階のトイレだけを個室化するーーというイメージか。PDFで紹介されているので、そちらをご覧になればビジュアルでわかりやすい。

 

 いつまでに整備するのかは、ざっと見た限り、明記されていない。令和6年度から始める、とは書いてあるのだが。早期に完成することを願いたい。

 

 枚方市の「学校トイレ整備における基本的な考え方」は、こちら。

 

https://www.city.hirakata.osaka.jp/cmsfiles/contents/0000047/47705/202303kanngaekata.pdf

 

https://www.city.hirakata.osaka.jp/cmsfiles/contents/0000047/47705/202303kanngaekata_gaiyou.pdf

(簡略版。こちらの方が見やすい)

 

 さて、そのアンケートには、令和の時代でもやはり、男の子たちは個室に入るとからかわれる、という現象が報告されている。

 

 市内の小中学校の児童・生徒への質問で、「学校で大便がしたくなった場合、ガマンすることがありますか?」という問いには、

 「よくある、ときどきある」が29・5%。我慢する理由は、

 ・学校ではあまりしたくないから

 ・先生に言いにくいから 

 ・恥ずかしいから

 ・授業中だから

 など。授業中には行きにくい、そしてウンコをすること自体が恥ずかしいと考えている子もいる。

 

 一方、教職員へのアンケートでは、トイレを改修(ここでは個室化ではなく洋式化などのことかと思われる)した前と後について聞いている。

 「学校のトイレにおける児童生徒の様子は?」の問いに対し、教職員の38・6%が「トイレにまつわるいたずらやからかいがある」と回答している。トイレが新しくなった後はどうか、との問いに、教職員の9・8%が「からかいが減った」と答えた。

 単純計算で「からかいがある」(38・6%)と「減った」(9・8%)には、まだだいぶ差がある。

 つまり、トイレを新しくする、あるいは洋式化することでも、効果は多少はあるが、根本的な解決は出来ていないともいえる。

 

 別の質問「全個室の洋式トイレがあったらどうか?」では、子供達も、教職員も、ほぼ半数が「とてもよい」「よい」と歓迎している。

 なお、この質問には保護者も答えており、約60%が「とてもよい」「よい」としている。性別は書かれていないので不明だが、仮に男女半々だとすると、個室問題に悩んだ男性は100%近くが「よい」系の回答をしたのではないかと想像する。

 

 この計画を通じて、枚方市は、男子のトイレ問題、つまりウンコをするとからかわれる、それによる健康被害があることを明確に認識して、一部とはいえ個室化を進めている。枚方の小学校にこれから進学する子供たちにとっては、ありがたいことだろう。

 

 なお、枚方市の計画は、LGBTや障碍者への配慮も重視しているが、このページでは男子個室問題をテーマとしているので、あえてふれていない。