男の子が学校でウンコを我慢してしまう背景には、個室に入った子への「からかい」があるから、だという。

 トイレをテーマにした記事や書籍、教育関係の公文書、ブログなどを読むと、この傾向は日本のあちこちにあるようだ。

 そのからかいにも、「幅」がある。

 

 1、個室から出てきた子を冷やかす

 2、個室に入っている最中に、個室の扉の上や下の隙間からのぞいて冷やかす

 3、個室に入っている最中に、物を投げ入れたり、掃除用のホースを使って水をかけたりする

 

 そして、いずれの場合も、個室を利用してからしばらくの間は「ウンコマン」などのあだ名をつけられることが多いーー。

 

 2は「覗き」で犯罪だ。これを大人の男性が、女子トイレで行ったら即、逮捕である。

 3に至っては「覗き」よりはましだが、からかいというよりはいじめに近い。仲がとても良い間柄なら「下品なおふざけ」だが、そうでなければ、いじめにしか映らない。

 1は、2,3よりはましだが、おとなしい子供であれば、怖いだろうし、感受性の高い子ならば恥ずかしいだろう。

 そして、個室に入った当事者ではなくても、こうしてバカにされ、いじられる様子を見た子供たちは、自分が個室に入ると同じような目に遭ってしまう、と考える。小学校低学年であっても、それくらいの予想はつく。

 だから、学校ではウンコを我慢する。我慢しきれず、個室に入る勇気を持てなかった子が、お漏らしという、かわいそうな目に遭ってしまう。

 トイレに入るという、ごく当たり前の日常の行動が、これほどまでに妨害され、バカにされるとなれば、不登校になる子がいてもおかしくはない。

 

 私も小学1年生の時に、「2」の被害に遭った。

 用を足していたら、上と下から覗かれたのである。

 逃げようのない場所で、無防備な姿をしている時だから、どうしようもない。

 動揺しながら個室を出た後は、クラスの一部の男子生徒から、からかわれた。

 当然、その後は、個室に入ることをためらうようになった。

 (この思い出は、いずれ回を改めて書こうと思っている)

 

 以上は、男子トイレの中での出来事。女性側がどうなのか、わからないが、こんな騒ぎは起きていなかったように思う。

 もとより女子トイレはすべてが個室だから、入る前に大か小かの区別はつかない。

 性別的にも、トイレの形状的にも、こうした「いじめ」「からかい」が起きにくいといえる。

 

 そこで、男子トイレも小便器をなくしてすべて個室にすればいいのではないか、という意見が出てくる。

 それを実行した自治体や学校も、わずかながら、ある。

 

 (続く)