北朝鮮最新情勢と救出戦略-東京連続集会92報告  その1ー救う会全国協議会ニュースより | 日本会議長崎のブログ

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★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2016.08.01)
北朝鮮最新情勢と救出戦略-東京連続集会92報告


今回は、自由北韓放送の金聖●(キム・ソンミン)代表から、最新北朝鮮情勢を聞き、西岡力救う会会長が救出戦略を語りました。家族会から飯塚繁雄代表、横田滋・早紀江前代表夫妻、増元照明さんが参加しました。

通訳=西岡会長。

●=王へんに文、以下同じ。

救う会ホームページに動画掲載中。

西岡力(救う会会長)

みなさんこんばんは。まず金聖?さんが持ってきてくださった映像を見ていただきます。これは2013年の映像で、北朝鮮の警察である人民保安省の格闘術の選手たちが中国に行って模範演技を見せた時のものです。金正恩時代の軍の一側面が見られます(略)。

今日もまた金聖●さんに来てもらいました。北朝鮮の現状を話してほしいと頼みました。金正恩政権が維持されているのは、個人独裁システムがあるからだということです。まずは話を聞きます。またそれをどう利用して拉致解決に結びつけるかという議論をしていきたいと思います。

◆人民を脅し、世界を驚かせてきた北朝鮮

金聖●(自由北朝鮮放送代表)

またお会いできて嬉しいです。めぐみさんのご両親、家族会の飯塚代表、家族のみなさんに今日もいいニュースを持ってくることができなかったことをお詫びしたいと思います。しかし、「希望を失わないでください」という言葉を付け加えたいと思っています。

先ほど西岡先生がおっしゃいましたが、今日は北朝鮮の独裁システムについて皆さんと共に考えたいと思っています。先ほど意味せした場面は、2013年、中国の福建省で行われた場面です。金正日人民保安大学、これは警察要員の大学ですが、そこの撃術というんですが、格闘術の模範演技を見せている場面です。

実は同じような映像が今回の物を含め韓国に3つあります。1つ目は金日成時代の映像、2つ目は金正日時代の映像、そして今日お見せしたのは金正恩時代の映像です。人々を驚かせ、恐れさせるような場面がありました。ある場面では今日の映像が一番すごかったし、ある場面では過去の映像の方がもっとすごかった、というような印象があります。

人が変わり、時代が変わったので変化はあります。しかし、枠組みは全く同じです。煉瓦を壊し、ガラス瓶を壊し、また額で釘を打つという場面は同一です。これはいわゆる「主体撃術」、「主体打撃術」という名前で、北朝鮮の軍全体が訓練を受けている動作です。

全く同じ事例であるとは言えないかもしれませんが、今日の北朝鮮の姿と比較してみたいです。金日成の軍隊でやっていたことを、金正日の軍隊でもやり、今日は金正恩の軍隊でもやっている。特別に変わったことがなく、世代と世代をつないで恐怖心を造成していく北朝鮮軍の姿です。

そうであるならば、北朝鮮の軍はみんなあのような殺人兵器になっているんでょうか。それは違います。泥棒もいますし、脱営兵もいます。栄養失調の患者もいます。しかし、全体的に見ると、世の中に向かって恐怖の雰囲気を造成しており、世の中を脅しているのです。

そして絶対許せない敵(かたき)である日本、アメリカ、韓国に向けて、戦争をすることができる力量を持っているのかというとそうではありません。歩兵は今も67式小銃を持っており、また砲兵の大多数は1950年の戦争の時に使用した76ミリ平射砲や82ミリ迫撃砲を持っています。空軍も同じです。

しかし、世の人々が印象づけられている朝鮮軍は、今回名称を新しくした戦略軍(元ロケット軍)であったり、6000門もある長射程の砲であったり、潜水艦発射弾道ミサイル、そして長距離弾道ミサイルと核兵器に集中しています。

まともに戦争をすることができない軍人と装備を持っている北朝鮮ではありますが、戦略的な選択をうまくやった結果だと見ています。100万人を超える軍隊を持っているが、実質的に戦争をすることができない軍人だと判断した金日成と金正日が、早い時期から核・ミサイルを開発したからです。

数多くの軍人たちを栄養失調に追い込んでおり、軍に対する国家的な供給さえもまともにすることができない北朝鮮の当局ですが、かなり前から秘密にそして集中的に核・ミサイルを開発してきたために、今日核・ミサイルをもって世の中を驚かせているのです。

◆政治学習と生活総和で人民統制

300万人以上の住民を飢え死にさせ、今でも多くの住民が飢えており、世界で最も深刻な貧困に直面している北朝鮮ですが、その北朝鮮が核・ミサイルという国家戦略を遂行することができた根本要因は何だったのか。それを考えたいです。

1番目も2番目も北朝鮮という独裁国家に存在しているシステムです。そのシステムの中で今日の北朝鮮が存在していることを説明しようと思います。そのシステムは大きく分けて2つに区分できます。

第一が宣伝システムです。もう一つが監視と統制システムです。宣伝はいろいろなものがありますが、核心は首領の偉大性の宣伝と、そのようにして作られた偉大な首領に従えば必ず勝利するという、いわゆる「革命的信念」を持つようにするということです。そのために北朝鮮では、1950年代に始り、70年代初めに完成された、そして今も徹底的に履行されている各種の宣伝扇動手段を持っています。

最も代表的な事例としては、万一明日、北朝鮮のすべての工業所や企業所、学校、軍部隊まで、同時に行われている朝の「読報」時間です。これは「労働新聞」を30分みんなで読むという時間です。そして党の政策の学習時間、あるいは毎週土曜日に行われる生活総和です。

生活総和について少し説明します。生活総和とは、小学生から死の直前の老人まで、北朝鮮のすべての人々が毎週土曜日午前10時に、自分が所属する政治組織に集まり、この1週間自分が政治的に間違ったことをしていないか、そして同じ組織員がしていないかを自己批判し、相互批判する時間です。

金正日が20代半ば頃、芸術家たちを見ていて、芸術家たちは生活態度がなっていないと言って、まず芸術家たちを対象に導入した制度ですが、1972年に、北朝鮮の全国民を対象に実施されるようになり、今も実施されているのです。

政治学習について言えば、北朝鮮の軍人たちは兵役の10年の間、毎日朝の一番目の時間に一時間、政治学習をします。その政治学習のために政治将校が配置されています。

◆拉致被害者も毎週自己批判、相互批判をさせられる

このような政治学習や生活総和に真面目に参加しない人や、理由もなく欠席する人を掌握、統制するシステムも稼働しています。それが私たちがよく知っている労働党組織指導部です。

党組織指導部は、その対象が張成沢であろうと人民武力部長であろうと、ただの職業人であろうと、各個人に対する生活評定書を作成しています。このような生活評定書に基づいて幹部に登用したり、幹部から落としたりする役割を担当しています。

また、問題があるかどうかを調べて、問題があった場合には、人民保安部(一般警察)や国家安全保衛部(政治警察)に、住民も幹部も、捕まえろということができる権限を持っています。

西岡

拉致被害者もこのような対象になりますかと、私が質問したら、「当然そうなります」とのことでした。

金聖●

私はジェンキンスさんの手記を読んだり、それ以外の外国人で、北朝鮮で暮らして出てきた人の手記を読んでみると、北朝鮮人よりも北朝鮮化されているということを感じる時があります。それは今言ったような政治学習や生活総和という自己批判や相互批判のシステムが外国人により厳格に適用されるからだと思います。その結果として、知らないうちに北朝鮮人よりももっと北朝鮮化され
るということです。

このようなシステムは学校でも行われ、住居周辺の人で作られる人民班でも行われ、職場でも軍隊の中でも行われています。社会の法と秩序を守るという警察も、考えてみれば、このような相対的な国家秩序に服従しており、スパイを捕まえるという保衛部も、結局このシステムに服従しています。

◆個人独裁システムが稼働している

そしてこのようなシステムは、社会主義の完全勝利という大義名分のもとで、首領に対する忠誠に集中しています。そして首領が亡くなることを前提として、首領の後継者に集中しているために、金日成が死んでもすぐ金正日に集中され、金正日が亡くなった今は金正恩に服従するように動いている最中です。

まともな後継者としての修業を積んでいないまま、27歳で政権を継承した金正恩が国家を引っ張っていく首領になる資格があると信じる人は誰もいませんでした。首領はもちろんのこと、人間としても完成度が落ちると人々は考えていました。しかし、金正恩は最高司令官になり、今回党大会を通じて党の委員長になり、最高人民会議を通じて国務委員長になりました。

理由はなんでしょうか。それはまさに、首領を頂点とする独裁システムが稼働しているからです。金正恩が未熟だと言って、「俺が助けてやる」と思った人間は、殺されなければなりませんでした。これがまさに張成沢のケースです。核・ミサイルを先頭にした金正恩の政策に、問題があると問題提起をした人間も死ななければなりません。それが総参謀長李永吉(リ・ヨンギル)のケースです。

金正恩を、「ちょっと若い」と言って尊敬心をなくし、会議で居眠りをした人間がいたら彼も殺されなければなりません。それがまさに人民武力部長だった玄永哲(ヒョン・ヨンチョル)のケースです。

これは誰かが狂って、その狂気によって行われたものではありません。個人の忠誠心によって行われているものではありません。この独裁システムにひっかかってしまえば、今北朝鮮で第二人者だと言われている崔龍海(チェ・リョンヘ)や黄炳瑞(ファン・ビョンソ)もみんな殺されなければなりません。

ただ首領のための独裁システム。そのために外部の情報は遮断され、嘘の情報とニュース、そして歴史が捏造され、それらは今回北朝鮮の教育制度が12年制になったことで新しく発行された教科書でも、それらの原則が貫かれています。

◆北朝鮮の現体制が崩壊しなければ拉致問題も解決できない

この4月から、北朝鮮では12年制の義務教育が始まり、そのために教科書が全部新しくなりました。それで我々は新しくなった教科書をすべて入手しようとして、100冊以上を北朝鮮の内部から入手しました。これを読んでみますと、30年前、40年前とほとんど変わっていないということが分かります。特に、アメリカ帝国主義、日本帝国主義に関することなどは一字も変わっていないということが確認できました。

日本帝国主義も同じ。帝国主義の本質は全く変わっていない。侵略的、略奪的ではない帝国主義があるとすれば、それは帝国主義ではない、と。そしてその教科書の第2節には、「我々の敵たちとは必ず結末を見なければならない」と書いてあります。

もう一つ例を挙げるならば、「米日帝国主義は百数十年に達する長い期間、我々人民に数えきれない不幸と苦痛を強要し、私たちの民族の歴史に永遠に消すことのできない罪悪を残した」と。北朝鮮ではこのように教科書の表紙や教育の方法は変えるんですが、内容は変えません。

また今回の党大会で、労働党の規約が改定されたというニュースがあったので、我々はまた内部からその全文を入手して、過去の規約と比べてみました。ほとんど内容は変わっていない。首領に対する忠誠心、革命精神等まったく同じです。ただ、変わったところが一つだけありました。それは核開発と経済開発を併進する、併進路線が書き込まれたことです。

このような独裁システム、即ち宣伝扇動システムと統制システムが壊れない限り、北朝鮮の現体制は崩壊しないと思います。そして金正恩も、過去に金正日がしたように、日本人拉致問題について部分的に認める可能性はあると私は見ますが、その可能性はそれほど大きくない。小さいと見ています。

従って北朝鮮の現体制が崩壊しなければ日本人拉致問題も解決することができないというのが、私が今日強調したいことです。

(2につづく)

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