北朝鮮最新情勢と救出への展望-東京連続集会報告5ー救う会全国協議会ニュースより | 日本会議長崎のブログ

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★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2016.05.20-2)
北朝鮮最新情勢と救出への展望-東京連続集会報告5


【質疑応答】

◆核放棄は絶対にやらない

増元

労働党大会での彼の発言の中で、「遺訓政治を終わらせて」とありましたが。以前、金正日の遺訓の中で、「日本と拉致問題の交渉をするな」と言った可能性があると聞いたという話もあるんですが。一方で、「日本から金をとるために接近しろ」というのもあるそうですが。

西岡

解説でそういうことを言った人があるかもしれませんが、北朝鮮ではそういうことは絶対に言えません。「金日成主義、金正日主義を高く掲げて」ということですから、遺訓政治を終わらせるとは絶対に言えない。

事実上そういうことをやることはありますが、表向きそういう表現をすることはありません。今回の「報告」にもありません。ただ、「事実上金正恩時代になった」と解説する人はいたと思います。

金正日の拉致に関する遺訓は何かというと、まず認めたということは大きなことだと思います。しかし、「5人以外は死んだ」と言ったのも大きい。2つある。ただ、核開発は遺訓レベルではなくて、建国の戦略です。1950年代からやっていることで、金日成時代からやっていることですから、絶対に変わらない。

しかし、拉致についてはペーパーにも書かれないレベルのことですから、現実的に変えることはあり得ると思いますが、それは相当追い込まれなければできないことだと思います。

◆現金では取引しない

問 

仮に全被害者を返すとして、向こうは日本から100億ドルとかの金が入ってくるから返すでしょうが、そんなことできるでしょうか。核問題が解決しないのに、日本から金が流れるのは他の国が許さないでしょう。従って、核問題を解決しないと拉致問題も解決しないのではないでしょうか。

西岡

まず、100億ドルという金を日本が出すことはありえないと思います。ODAという形で経済協力することは、小泉政権の時の平壌宣言で約束しています。ただそれは、国交正常化が前提で、国交正常化は拉致・核・ミサイルの全部を解決するということです。

核問題はアメリカの問題だけではなくて、日本人の安全保障の問題でもありますが、しかし取引のできる余地はある。100億ドルというと国交正常化まで行かなければなりませんが、そうではなく、人道支援は拉致だけを理由に止めていますから、国際社会が核を理由に人道支援を止めていない以上、それはカードとして使える。

それ以外にも、国際的な制裁よりも強いレベルの制裁をしていますから、戦術的には反対でしたが、例えばストックホルム合意の時、3つの制裁を解除したわけです。それは国際制裁よりも強い制裁があったからできたんです。

北朝鮮船舶のすべての入港禁止やすべての貿易を止めるということは、今でも国際制裁ではしていません。その部分については使えるということです。先ほど条件を話し合うと言いましたが、日本にとってできることと、できないことがある。できることはこれだ、と。最終的にだまされたと思ったら帰ってきませんから、できることとできないことはこれだと言うことと、向こうがほしいものとをすりあわせる実質的な交渉が始まらなければ、先に進めない。

核について言うと、もっと難しい。それは国是であり、戦略ですから、政権を倒すところまでいかないと難しいと思います。それが今回の労働党大会の結論です。

拉致についてペーパーに書いていないということは、核よりは交渉の余地があり得るということです。北朝鮮が一体何を要求してくるのか、日本が何を出せるのか、そのすりあわせが必要で、まだその段階までも来ていないのではないか。

2年前のストックホルム合意の時は、そこまで行っていなかったんです。そこまで行かなければ先に進めないんです。

◆「拉致・核・ミサイルの包括的解決」では帰ってこない

増元

私も西岡さんと同じように、100億ドルはまず出せないと思います。今の世界情勢の中で北朝鮮に100億ドル出すようなことはアメリカが許さないでしょう。日本はアメリカに弱いですからね。安倍さんもアメリカの言うことを無視はできないでしょうから。

私自身も、100億ドル出してあの政権を助けることは、絶対にあってはならないと思っています。

核問題が解決しないと拉致問題も解決しないという面もありますが、核問題は何年かかるか分かりません。西岡さんもおっしゃったように、北朝鮮の政権が核を持つことを前提に成立している以上、あの政権を倒さない限り核問題は終わりません。

日本政府は、「拉致・核・ミサイルの包括的解決」と言っていますが、この言葉は変えなければならないのではないでしょうか。まず先に拉致を解決するんだと。「拉致・核・ミサイルの包括的解決」というのは何年かかってもいいような感じじゃないですか。核・ミサイル問題が解決しないから拉致問題も解決しないということになってしまうので、まず拉致を解決させる。そのことを意思表示すべき時だと思います。

一時は施政方針演説でも「核・ミサイル・拉致」でしたが、今は「拉致・核・ミサイル」です。でも、包括的解決ということを多分外務省の文書かなんかを読みながらやっているんでしょうが、もうそういう状況にはないということを分かっていただきたい。

◆核・ミサイル解決は難しい



「何をしているのか分からない」とか「何年かかるか分からない」とおっしゃったことは私も感じます。結局、「拉致・核・ミサイル」が一緒に解決するんじゃないかと思いますが。今国際的な盛り上がりがあり、拉致解決のチャンスだと思いますが、政府は具体的な戦略を持っていると感じますか。

飯塚

「拉致・核・ミサイル」の言葉については以前から「包括的解決」と言われています。我々はそのころから核とミサイルは相当難しいと感じていました。拉致問題は、いますぐ生きている人を返すという問題です。このことがいかに優先されるかということを考えます。

増元さんも言われましたが、日本や韓国が重要課題として取り組んでいることですので、別に拉致を先に解決しても、米国その他の国は怒らないと思うんです。ただそれで何百億ドルのお金を出すとしたら、これは核に持っていかれてしまうという懸念がありますので、どう進めたらいいかは分かりませんが、条件としては拉致を解決した後国交正常化ができて、まともな国と国のつきあいができるようになれば、資金援助も認められるようになると思います。

人質に対する金となれば、それが先走って論議されます。悪者に金を出して人質を返してもらうというと、道義が通るかどうか。私はそうじゃないと思います。

政府が色々な戦略を考えているのは多分そうだと思います。前から私も政府に「きちっと戦略を立てて、工程表を作って計画的にやってほしい」、「やったことについてはいちいちフォローしてほしい」という話をしています。

戦略というのは公開するのがいいかどうかという問題もあります。我々としては、「こういうことをやっています」とか「いつまでに回答する」という話はないんです。待っているだけです。

こういう難しい時期でも北との窓口はあると言われていますから、積極的に毎月なら毎月必ず追及していく、要求していくという積極的な交渉がないと、ただ「ボールは向こうに投げています」とか「打ち返すのを待っています」というのでは解決できません。

時間もありません。制裁をしている状況でも、「早く日本人を返せ」とひっきりなしに言うべきだと思います。そうでないと、「こんなもんでいいのかな」と誤解される面もあるし、日本の世論もだんだん下がってしまう。そういう形には絶対したくない。「強い要請をしている」と言葉では言っていますが、我々には見えませんからそういう感じも受けます。

◆戦略はあるのか

増元

西岡会長がさっきから言っているように、北朝鮮が核を放棄することはありませんし、核・ミサイルを解決するということは、金王朝が瓦解しなければできないことだと思っています。

瓦解の一つの方法として中国が金正男で傀儡政権を作って、改革開放路線にいけるかどうかです。北朝鮮も抵抗するでしょうが。核を放棄するよりも、拉致被害者を返す方が現政権にとって得だということを認識させるだけの政策を日本は考えられないんです。

私が聞いている限りは、政策も何もないと思います。ただ話し合いを続けていって、粘り強く説得をしていくという政策だけです。北朝鮮を追いつめて被害者を取り戻す政策はないと思います。西岡さんの方が政権に近いですから、知っておられるかもしれませんが。

先週拉致問題の特別委員会が開かれましたが、特別委員会を見ていますと、外務大臣に交渉の中身を聞くと、「外交の機微に関わるからお答えできせん」。とにかく答えないんです。何のために委員会をやっているのか分からないという状況が続いています。

一昨年、ストックホルム合意で、外務省が交渉したのは、2002年と2004年に北朝鮮が出してきた文書については、わが国は納得できないから納得できるだけの報告を出せということです。

ということは、先ほど西岡さんがおっしゃったように、「正確な死亡の報告書を出せ」というのと同じ交渉しかしていないんです。拉致被害者を帰国させるための政策、千載一遇のチャンスにそういう交渉ではなくて、正しい報告書を出せという交渉しかできない外務省のやり方ではだめだから別のスキームを考えてと言っています。

一向にストックホルム合意を放棄するでもなく、これは間違いだと言うでもなく、そのままずっと続けているわけです。何の政策も打てないというのが現状なんじゃないでしょうか。

西岡

韓国は金大中政権の時に、金正日に5億ドル現金を渡しました。しかし、関係は悪化しました。その後、盧武鉉政権になって開城公団を始めました。年間10億ドルが北に入ります。これも韓国政府の政策の範囲です。

もちろん核問題は日本の問題ですから、国交正常化交渉の時に、北朝鮮にODAで出すことは不可能ではないと思っていますが、日本が国際連携を強めるということの中には、日本にとって拉致問題がどのくらい重要な問題であるかということを、アメリカや韓国やEU、中国に分からせるということです。

それをした上で、日朝で条件の交渉をする。条件が詰まったら、それはアメリカなどとも相談をして、反対が出ないようにサポートしてもらう。金正恩政権の間にそれをするしかないと思います。

金正恩政権が先に倒れた場合、自衛隊の使用を含めて、どう助けるかということを水面下で検討しておかなければならない。その両にらみが今の戦略だと思います。

                         以上

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