北朝鮮最新情勢と救出への展望-東京連続集会報告2ー救う会全国協議会ニュースより | 日本会議長崎のブログ

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★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2016.05.18)

北朝鮮最新情勢と救出への展望-東京連続集会報告2


◆報告書はいらない、全員一括帰国を


そして去年3月の家族会・救う会の合同会議で我々は運動方針を決めました。もう調査結果の報告書を求めるのはやめる。それを求めると北朝鮮の思うつぼになって、死亡の証拠が出てくるかもしれない。


問題は金正恩氏が被害者を返すという決断をすることだ。決断すれば帰ってこられるんだ。生存情報がある。北朝鮮は死亡の証明はできていない。だから報告書よりも帰国だ、と。それも認定の有無に関わらず全員の一括帰国だ。前回のように5人だけというのはだめだ。全員の一括帰国だ、と運動方針を決めました。飯塚代表などが繰返し、それを伝えました。


北朝鮮は、去年の4月に1回仕掛けてきました。4月2日に、「このままでは政府間対話ができなくなっている」と。これは外交ルートを通じて正式な通報がありました。北京の大使館経由です。「このままでは」というのは何かというと、彼らは二つ挙げました。


一つは、朝鮮総連の議長と副議長の自宅を家宅捜索したこと。これは議長の次男がマツタケの不正輸入をした事案です。彼らはこれを「主権侵害」と言いました。拉致こそ主権侵害だと思いますが。


総連の議長と副議長は北朝鮮の国会議員だ。国会議員の家は外交特権がある、と。そんなことないんですよ。日本は田中角栄さんのように総理大臣だって逮捕されるんですから、誰であろうと、刑事的に裁判所が令状を出せば家宅捜査されるんです。


でもそう言いました。彼らの主張にも一理はあるんです。1990年の5月だと思いますが、警視庁は当時の朝鮮総連の副議長安商宅氏の自宅の家宅捜索令状を取った。


しかし直前で中止になった。警視庁の人間は、「産経新聞」と「月刊文芸春秋」の記者に、「金丸事務所に止められた」と言ったことがありましたから、彼らは自分たちは特権を持っていると。それこそ在日特権で許されないと思いますが、持っていると思っていたんです。


しかし、そんなことはない。日本は法治国家ですから、裁判所の令状があれば家宅捜索されるんです。でもそれで安倍政権をゆさぶってきた。


もう一つは、「拉致を国連に持ち込んだ」と。まさに国連が今、一つの勝負の場所になっています。これは第二次安倍政権ができた直後に、安倍政権の外交努力もあって、政府としては日本政府が一番努力したと思いますが、ジュネーブの国連人権理事会が北朝鮮人権調査委員会を作った。調査して報告書を出した。


◆岸田外相も「被害者を帰国させよ」と要求


その報告書には、「北朝鮮が行っている人権侵害は人道に対する罪だ」、「ナチス・ドイツやカンボジアのポル・ポトがやったことと同じだ」と。そして「国際社会は保護する責任がある」と書いた。


「保護する責任」という国際法上の概念は、今の第二次大戦後の国際法では内政不干渉が原則ですけれども、あまりにもひどい内政上の人権侵害があった場合は外国が武力干渉してもいい。ということです。旧ユーゴで「民族浄化」と言われる大虐殺が行われた時は、NATOが爆撃をしました。


まさに「保護する責任」で軍事行動をとったんです。それは国際法上違反とはなりませんでした。国連の北朝鮮人権調査委員会は、それと同じくらいひどいと言ったわけです。もちろん拉致だけじゃなく、北朝鮮内部で起きていることと両方含めてです。そして、責任者を国際刑事裁判所に訴追すべきだというのが出
ました。


金正恩氏はこれまで何回も国連総会で北朝鮮に関する決議案が通りましたが、無視しました。しかし、「責任者を国際刑事裁判所に訴追すべきだ」とされた後は急に慌てました。そして北朝鮮も人権委員会という組織を作って分厚い白書を作りました。「北朝鮮に人権問題はない。あるのはアメリカと韓国だ」というものです。そして「脱北者は嘘つきだ」と言い、様々な例を挙げました。


拉致については、金正日が認めたこともあって『嘘だ』とは言えなかった。「拉致は日本と二国で話し合っている。国際化すべきではない」と。それなのに拉致を国連に持ち込んだ安倍政権はけしからん、と。


そういうことで去年4月2日に、「このままでは政府間対話ができなくなっている」と言いました。4月3日に安倍総理は家族会と会って、私は何を言うかなと思っていたんですが、「北朝鮮が拉致問題を解決しなければ彼らは未来を描くことが困難だと認識させなければいけない」と、報道もいるなかで言いました。


「対話はできない」と言ったら、「未来はない」と言い返した。そしてその後、まだ山谷大臣の時代でしたが、国連のニューヨークの本部に行って、その近くで国際セミナーをしました。


現在の加藤拉致問題担当大臣は、今月、アメリカのワシントンとニューヨークの国連本部で日本政府主催の国際人権セミナーをしました。


今回のセミナーでは、ワシントンでもニューヨークでも、日本の政府代表が言ったわけではありませんが、日本政府主催のセミナーで、ワシントンのセミナーでは韓国の李政勲(イ・ジョンフン)人権大使が、ニューヨークのセミナーではマルズキ・ダルスマン国連北朝鮮人権特別報告官が、「人権侵害がひどい。責任者
を訴追する問題を真剣に検討すべきだ」という、北朝鮮が一番嫌がることを言いました。加藤大臣がいる前で。


そんなことをしていたら対話をしないぞと言われた後も、安倍政権は続けているわけです。大変な緊張関係です。


日本政府も去年の8月くらいから、岸田外務大臣がASEANの拡大外相会議で北朝鮮の外務大臣と会った時に、「被害者を帰国させよ」と要求しました。報告書だけではなく、「帰国」ということが外務大臣の口からも出て、その後繰り返し「帰国実現」ということが言われるようになりました。足並みが我々と揃い
ました。


◆日本は北朝鮮が一番嫌がる対応をしてきた


そして年が明けた。そしたら核実験があり、相次ぐミサイル発射の挑発があり、労働党の大会がありました。そういう中で国連では、核問題が主要な議題になり、また軍事緊張が主要な議題になって、安保理事会で制裁議論になりました。


2月に安倍政権は、国連の安保理事会の制裁の決定の前に独自制裁を決めました。韓国が同じ日の数時間前に、開城公団の操業停止を決めましたが、韓国の独自制裁決定はその後でした。だから日本が一番早く独自制裁を決定しました。


その中に、特別調査委員会ができた時に解除していた3つの制裁を元に戻しただけでなく、かなり厳しい制裁が発動されました。その内一つが、今日私が「産経新聞」の「正論」に書きました核・ミサイル技術者の北朝鮮を渡航先として再入国禁止が含まれています。


この話は後でしますが、朝鮮総連に対する厳しい対応と拉致の国際化をやめろと北朝鮮は言ったのですが、紆余曲折はありましたが方向としては続いています。総連本部の建物に彼らが居座っていることは悩ましいですし、本当にどうなっているのかと思いますが、しかし今までやらなかった核・ミサイル技術者の北朝鮮を渡航先として再入国禁止、5人ですが、そういうことがありました。


そして我々は核実験、ミサイル発射の時に、声明を出して、また政府に要請をして、当然厳しい制裁をすべきだ。その制裁の理由に拉致問題も入れてほしい、と。本来なら拉致問題だけで、特別調査委員会ができて1月で1年半になるのに、誰も帰ってきていないことを制裁の対象にすべきだという緊急集会を開催しました。


最終的に2月の安倍政権の制裁には、理由として拉致が明記されました。そして国連の安保理事会の制裁でも、拉致を明記するようにと強く求めました。自民党の対策本部の声明もそういうことになりましたし、国会の衆議院、参議院の決議にもそのことが入りました。


外務省もニューヨークで、今日本が非常任理事国ですから、かなり頑張ったようです。表現は我々からすると十分ではありませんが、「人道的問題への配慮」という文言が入り、日本の大使だけでなく、アメリカの大使も、「これは拉致問題を意味する」ということを安保理事会で話しています。


拉致を含む人権問題も理由になって、国際社会が制裁を強めた。日本もかなり制裁を強めた。北朝鮮が嫌がる国連に拉致問題を持ち込むことと、朝鮮総連に厳しい取り締まりをすることをしているという状況です。


しかし、一方で日本政府は、「対話の扉は閉じない」と。では北朝鮮はどうか。2月に安倍政権が制裁を発表した直後に、特別調査委員長の委員長談話というのを出しました。徐大河(ソ・デハ)という男です。


しかしその談話は全文が公開されていません。「朝鮮中央通信」が、「談話が出た」と報道しました。その内容は、「安倍政権の制裁はけしからん。それに対して、「共和国(北朝鮮の自称)は、特別調査委員会を解体し、再調査を中止する」と述べました。しかし、対日対話をやめるとは言わない。去年の4月には
「対話ができなくなっている」でした。


特別調査委員会を解体することに何の意味もないんです。拉致被害者について調査する必要はないんですから。もう1年半以上やってきたわけですから、意味がないんです。北朝鮮からしても、次のタイミングで何か日本に言ってくる時、「今年2月で調査委員会が解体したけれど、それまでの間に調査したものはこれだ」と言えるようになっているわけです。対話を閉ざすとは言ってないんですから。


ただ問題は、何を出してくるか、です。つまり、去年からの北朝鮮の動きを見ていると、日本に接近したい、日本から取りたいものがある。しかし、できれば拉致被害者を返さないで取りたいということだったんだと思います。


だから、去年からの戦いは、「それはできない」、「被害者を返さなければ日本から何も取れないんだ」ということを金正恩氏に分からせる戦いだったわけです。


被害者の「遺骨」なんか出してきたら、逆の意味で最悪になりますよ。これで問題解結したことにはならなくて、日朝関係は最悪になり、西岡なんかは軍事制裁だと叫んでいる、ということを一定程度分からせることができたかもしれない。


まだ分かりません。日本は北朝鮮が嫌だと言ってきた総連に対する対応をしました。そして拉致の国際化もして、安保理の制裁でも「人道問題」を書き込ませました。世界の制裁をリードして、一番厳しい制裁を今でもしています。


◆核ミサイル技術の北への流出を許すな


配布資料の中の今日の「産経新聞」の私のコラムですが、拉致問題の問題ではなくても、日本の国立大学の実験所で研究している技術が北朝鮮の核・ミサイル開発に使われていたら、これはだめでしょうということです。


朝鮮総連の傘下に、在日本朝鮮人科学技術者協会、略称科協という組織があります。「科学には国境はないが、科学者には国籍がある」というのが彼らのスローガンだそうです。


日本では科学には国境はないから朝鮮総連の人でも、国立大学で教授になれるわけです。そのこと自体に反対しませんが、しかし軍事に転用できる技術が、テロ国家で、NPT(核拡散防止)条約に入っていながらそれを無視して核武装している無法国家に持ち込まれるとしたら、それは大問題ではないかと思います。


このことについて私は1998年から、「問題だ」と言ってきたわけです。そして2009年にも「産経新聞」の同じコラムで、東大の工学部の中に、生産研究所という組織があるのですが、そこの出身の二人のエンジンの専門家が頻繁に訪朝していると書きました。


徐錫洪(ソ・ソクホン)という人は、国際的なエンジンの権威で、東大で博士号を取った人です。その人と同じ生産研究所の後輩の徐判道(ソ・バンド)という人が二人で、北朝鮮に、金剛原動機合弁会社というのを作った。そこに金正日も訪問している。そこでミサイル・モーターを作ったと言っていますが、ミサイルに使うエンジンの開発をしていたと言われています。


そして今回調べて分かったのですが、韓国に亡命した元労働党機械工業部に金秀幸(キム・スヘン)という人がいるのですが、この人は在日朝鮮人です。お父さんが工作員で、一緒に北に帰って、そして工作員になって北京に出ていた。日本語ができますから、機械工業部で日本からミサイルに関わる技術や部品を密輸する工作の責任者でした。


その人によると、この金剛原動機合弁会社は、「エンジン部品と偽装してミサイル部品を日本から密輸しており、日本当局の監視を意識して後輩技術者を自分たちの代わりに訪朝させ、ミサイル開発に関与してきた」と言っています。


この金秀幸氏自身が、「日本からミサイル開発に必要なレーザー溶接機、酸素分離器、液晶ディスプレー、各種センサーなどをこういう方法で密輸しました」と詳しく証言しています。メーカーの名前まで言っています。


その時科協が、「日本国内の生産業者や技術保有者を選定し、香港やシンガポール経由で偽装輸入していた」そうです。


またこの金秀幸氏は、日本人の技術者を北朝鮮に連れていったこともあるそうです。そのやり方は、北京に日本人技術者を呼んで、最初は「中国の会社で技術指導してくれ」ということだったのですが、「実は北朝鮮だ」と。


そしてお金を払い、パスポートには渡航記録が残りませんからと、北京にある北朝鮮の大使館で別の人間のパスポートを渡して、そのパスポートで北に行って帰って来た。中には、空港で嫌がった日本の技術者がいたそうです。「みぞおちをなぐって無理やり飛行機に乗せた」とも言っています。


そして「AERA」という週刊誌の取材によって、金秀幸氏が連れていった技術者の一人は、実際に北朝鮮に行ったことを証言しています。


今問題になっている京大の核の専門家は、現職の准教授ですから問題が大きいと思いますが、その人についてはやっと今回再入国が不許可になりました。


先ほど言った、安倍政権が2月に行った追加制裁の文書を見ていると、「在日外国人核・ミサイル技術者の北朝鮮を渡航先とする再入国の禁止」と書いてありますが、在日朝鮮人とは書いてないのです。


これはどういうことかなあと思っていたんですが、この京大の現職の准教授は韓国籍なんです。元々朝鮮総連系だったのですが、今韓国籍です。実は朝鮮総連の構成員は日本の警察の見方では6万人をちょっと切るそうです。しかし今、朝鮮籍は3万4千人くらいです。つまり2万5、6千人は韓国籍なのに朝鮮総連の構成員です。


そういう人もいることを前提にして、「在日外国人核・ミサイル技術者の北朝鮮を渡航先とする再入国の禁止」となったのです。


◆日本人の渡航も禁止を


しかし、日本人で北朝鮮に行って技術指導をする人もいるのです。コラムに書きましたが、ロケット工学の権威である糸川英夫博士と原子力研究の第一人者である伏見康治博士が北朝鮮に行っている。連れて行ったのは科協の初代会長で朝鮮大学校教授の李時求という男です。この人は再入国に関する制裁の対象に入っていないようです。


まだまだ穴が開いています。私は、すべての在日外国人と日本人の北朝鮮への渡航を止めるべきだと前から言っています。


実は、過去には日本人の渡航が原則禁止だった時があるんです。1990年以前はそうでした。労働党大会は36年振りだと言いますが、36年前の労働党大会に「朝日新聞」の猪狩章という元ソウル特派員が取材に言っています。


行って帰って来て本を書きました。その本のタイトルが「ビザのない旅券」というものでした。当時は日本人のパスポートには、「北朝鮮を除くすべての国と地域に有効」と書いてありました。「Except North Korea」と。


北朝鮮に渡航したい場合は、別途、北朝鮮だけを渡航先とするパスポートを外務省に申請しなければならなかった。今シリアなどに入る時、旅券返還命令を出して、危険な地域に行かせないということをやっていますね。北朝鮮は当初から旅券を出さない地域だったのです。危険だと。それは日本政府ができるわけです。


それで、猪狩章というちょっと左の元ソウル特派員、朴政権に追い出された人ですが、80年に第6回労働党大会の取材に行った時、「日本政府から北朝鮮だけを有効とするパスポートを貰ったけれど、北朝鮮はこんなパスポートにはビザのはんこを押せない」と言って、北京の大使館で別の紙にはんこをもらったそう
です。


北朝鮮に入るのにパスポートにはビザが押してないんだ、それだけ異常な関係なんだと言って「ビザのない旅券」というタイトルにしたんです。36年前はそうだったんです。そこに戻せばいいんです。そうすれば糸川博士も伏見博士も行けなかった筈なんです。彼らは86年とか87年に行っていますから、もしかし
たら特別な渡航先を北朝鮮とするパスポートで行ったかもしれませんが、そういう人を行かせてはいけないんです。


これは拉致とは直接関係なく安全保障の問題だと思うんですが、日本は今防衛費のかなりの部分を使ってMDという、北朝鮮の弾道ミサイルを、海上自衛隊のイージス艦がミサイルを撃って落とすか、地上発射でミサイルを落とす装備をしていますが、かなり高いものです。


一方で、日本の国立大学で税金を使った技術が北に漏れているとしたら、どういうことになるのかと思ってしまいます。


                                        (3につづく)


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