制裁強化と国際連携の圧力で全被害者を救出しよう1ー救う会全国協議会ニュースより | 日本会議長崎のブログ

日本会議長崎のブログ

防人の地、長崎から誇りある国づくりを!

今週土曜日の12日、午後2時から、長崎市のNBCビデオホールで開催される「拉致問題早期解決に向けた講演会」の講師、西岡力救う会全国協議会会長の新しい発言が紹介されています。


当日は、参加無料です。


ぜひ直接お聞きいただきますよう、ご参加をお願い致します。


★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2016.03.07)

制裁強化と国際連携の圧力で全被害者を救出しよう1


平成28年3月3日、友愛会館において、東京連続集会89が開催された。今回は、冒頭、たまたま当日議決された国連安保理の北朝鮮に対する制裁決議について西岡力救う会会長、島田洋一副会長が解説した。


続いて、訪米した古屋圭司元拉致問題担当大臣と島田会長から、北朝鮮による拉致疑惑が濃厚なデヴィド・スネドン氏に関する米議会の動きについて報告がなされた。


米国では現在、スネドン氏に関する決議案が上下両院に提起されており、これがもし議決され、さらにスネドン氏が拉致被害者として米政府に認定されれば、米国での拉致問題への関心はさらに高まり、北朝鮮に対し、強く拉致問題解決を求めるようになると思われる。


続いて、西岡力会長から、家族会・救う会共同の今年の運動方針案について説明がなされた。家族会・救う会等は、4月9日(土)、文京シビック大ホールで、「最終決戦は続いている 制裁強化と国際連携の圧力で全被害者を救出しよう国民大集会」を予定している。


最後に、在京家族から近況報告がなされた。


■制裁強化と国際連携の圧力で全被害者を救出しよう


西岡


日本時間でほんじつ未明、国連安保理事会が北朝鮮に対する制裁決議をしました。今回、核実験とミサイル発射実験が行われたことを受けて安保理事会が制裁を決めたわけですが、我々の関心事は、制裁の理由に「拉致問題を含む人権侵害問題」が明記されるかどうかでした。


北朝鮮が最初に核実験をしたのは2006年で、ちょうど第一次安倍政権の時です。この時、北朝鮮に対する最初の決議が採択されました。決議文の主文の前に、前文に「人道上の懸念」という言葉が入りました。


2006年は今と状況が似ていました。日本は非常任理事国で、安保理事会に入っていました。議長は月ごとに輪番でやるのですが、たまたま日本は議長国でした。


当初日本などが作った原案には、「拉致問題を初めとする人道上の懸念」という表現があったのですが、私が聞いているところでは、中国の反対で「拉致問題を初めとする」という表現が落ちた。しかし、日本の大島大使が、非難決議が採択された直後の議長ステートメントとして、この「人道上の懸念」の中には当然拉致問題も含まれます、と言った。それは議事録に残っているということです。


2006年でもそこまでの議論がされています。2006年と今との違いは、国連の安保理でも北朝鮮の人権が議題になったということです。国連には、安全保障理事会の他に、人権理事会があります。主としてジュネーブで活動しています。


この人権理事会で、北朝鮮人権調査委員会ができて、400ページもの報告書が出て、そこでは、「人道に対する罪が北朝鮮に行われている」とあります。人道に対する罪に関しては、通常であれば内政不干渉で、ある主権国家がやっていることに外国が干渉できないのですが、「人道に対する罪」が行われている場合は、国際法上保護する責任があり、武力介入も許されるというのが最近の国際法の解釈です。


それに基づいて、旧ユーゴスラビアの内戦の時、EUは爆撃をしました。これと同じような表現を人権理事会が使い、それを受けて国連総会は、昨年と一昨年の2回に渡り決議をし、北朝鮮国民に対する人権侵害とともに外国人を不当に拉致していることも明記し、安保理事会がこのことを取り上げるべきだとしています。


そして安保理事会は、責任者を国際刑事裁判所に訴追することも議論すべきだとしています。そして、北朝鮮人権理事会での調査報告書と国連総会決議は、実は安倍外交の作品だと言ってもいいものです。


第二次安倍政権になってから、かなり積極的に日本が外交努力をしました。もちろん日本だけではできないことですが、日本の努力の結果もあって実現しました。


◆2006年に比べ国連安保理が北朝鮮人権問題をより深刻に議論


人権理事会の調査報告書に、日本人拉致について書き込まれることについては、拉致問題対策本部も、足しげく調査委員会に通って色々な議論をしていたことを聞いていますが、かなりのことが書き込まれている。


つまり、2006年に比べて国連、特に安保理事会で人権問題がより深刻に議論されている状況があって、今回制裁決議が機論されたということです。


去年の12月に国連総会は、安保理事会は人権侵害の責任者を国際刑事裁判所に訴追する議論をすべきだという議論をして、安保理事会で一度その会議が開かれたのですが、国連総会決議に反対した国が、中国とロシアで、この2か国は、国連安保理事会で拒否権を持っているので、訴追への道のりはまだ簡単ではないのですが、2006年に比べて、拉致を含む人権問題の深刻さについての、国際社会、特に国連での理解はかなり深まっています。


安保理事会は人権問題を取り上げろという総会決議が二度なされた中で、今回安保理事会が北朝鮮に対する制裁決議をしたということですから、どういう表現になっているのか大変関心がありました。


家族会・救う会は、北朝鮮が核実験をした直後に声明を出し、「核問題も重要だが拉致問題を置き去りにすべきではない」という主張をした後、日本政府に対して、「独自制裁をするための理由に拉致を明記すべきだ」ということと、「国連の安保理の制裁理由に『拉致問題を含む人権問題』も理由に明記されるように外交努力をしてほしい」と要請しました。


北朝鮮の核実験に対して、自民党の拉致対策本部、そして核実験対策本部が声明を出しましたが、その中にも、制裁理由に拉致問題を含めることが書き込まれていました。また、ミサイル発射実験の後の衆議院の決議にも、日本政府が安保理決議に「拉致問題を含む人権問題」が制裁理由に書き込まれるよう努力せよ、ということが明記されました。


これは後程いらっしゃる古屋先生等の努力で明記されたことで、外務省もニューヨークでそのような外交をしているということを伝えてくださいました。


それで大変関心を持っていましたが、結論から言いますと、2006年の表現そのままでした。「拉致を初めとする」という言葉は入りませんでした。国際社会と言うのはなかなか簡単ではない。あれだけ人権問題が深刻だという議論がされているにも関わらず、入らなかった。


その理由についてはまだ分かりません。しかし、拒否権を持っている2か国が国連総会決議にも反対したということがありました。そもそも1月に核実験が行われた直後に、北朝鮮に対し追加制裁をする議論を始めると安保理が決めたのに、3月まで制裁が決まらなかった。これは中国が、最後の段階ではロシアが様々なことを言ったことは分かっています。


マスコミの報道では、人権問題についてどのような議論があったかは一切明らかになっていないので分かりません。残念ではありますが、我々の基本的立場からすると、2006年にも当時の安保理議長国である日本が言った通り、ここで言われている「人道上の懸念」の中には拉致問題が当然含まれている。


国連安保理は厳しい制裁決議をしたが、その理由に拉致問題に対する懸念も含まれている。北朝鮮に対して、「あなたたちは核実験をした、ミサイル実験をしたことだけ国際社会に非難されているのではなく、多数の外国人を不当に拉致し、今も抑留していること、国内ですさまじい人権侵害をしていることも国際社会から非難されて、制裁を受けている」ということを是非伝えたいと思います。


かつて南アフリカがアパルトヘイトをしていた時、国際社会は制裁をしました。これは他国を侵略したからではなく、核開発を秘密裏にしていたことが明らかになったからでもない。後で開発していたことがあきらかになりましたが……。その時の理由は、すさまじい人権侵害をしていることで、国際社会は南アフリカの
ダイアモンドを買わないという制裁をしています。


北朝鮮人だけでなく北朝鮮にいる外国人も人権侵害を受けているとの認識を、国際社会はほぼ一致させているのに、なぜ手を出さないのか。悔しい思いをしています。


以上について島田さんはどう見ていますか。


島田


中国はよく、拉致問題は日朝二国間の問題でしょう。二国間の問題をこういう多国間の枠組みの文書に入れるのは問題だ、というような言い方をしてくると聞きます。


その場合、中国人にも拉致被害者がいるじゃないかということを日本側は公に言うべきだし、後で古屋元大臣から報告があると思いますが、アメリカ人にも拉致疑惑が濃厚な人がいる。そういう認識がアメリカで広がると、アメリカからもそのような声が上がってくるかもしれません。


従って、もうちょっと強く責めないと中国の抵抗は破れないかなと思いました。


西岡


ちなみに、「北朝鮮国内の人権侵害については、北朝鮮の人々が受けている深刻な苦難に対し深い懸念を表明し」とあり、「北朝鮮市民の多くのニーズが満たされていない中で北朝鮮の武器売却が、核弾頭ミサイル売却に利用され、収入を生み出してきたことに対して懸念を表明する」ということで、北朝鮮の住民
と政府を分けて、ひどい人権侵害が行われていると明記されたことは一歩前進と思っています。


しかし、国連人権理事会は「すさまじい人権侵害の被害者は北朝鮮の住民だけではなく、拉致されている諸外国も含まれる」という部分については、もう少し踏み込んでほしかったなあと内心っています。


◆北朝鮮に制裁をしても一般市民を傷つけない


次に安保理が決議した制裁の具体的な内容についてですが、私はこれが実行されればかなり北朝鮮にとってダメージになるのではないかと思っています。


そもそも北朝鮮の経済は大きく分けで二重構造、実は四重構造くらいになっているのですが、社会主義ですから本来は計画経済で、民間部門と政府部門がなく、一つしかないはずですが、実は計画経済の外に軍事経済と、党の秘密資金経済があります。


この2つはだいたい一緒のもので、合せて統治資金などと言うのですが、計画経済の外に外貨を持っていて、それで核・ミサイル開発をしたり、ぜいたく品を輸入しています。


それを管轄しているのが党の39号室ですが、そこの外貨源を断つことが北朝鮮にとって一番のダメージです。だから日本の制裁は効くと私は繰り返し言ってきました。


北朝鮮の貿易を見ると、毎年10億ドル以上の赤字です。普通は毎年赤字だと、大規模な借款をしない限り、アフリカのサハラ以南の国のように最貧国になって、首都に行っても電気が暗いはずなのに、核・ミサイル開発は続いている。ベンツが走っている。平壌には物がある。それも外国から輸入したものがある。


外国は現金を払わないと物を出しません。特に1970年代、北朝鮮は韓国と対話をした後、韓国より経済が遅れていることを察知して、大規模なプラント移入をしました。その代金を未だに払っていません。


日本の当時の通産省は貿易保険を適用して、保険金を出しました。つまり、日本政府は北朝鮮を破産国家扱いしています。ヨローッパに対してもそうです。だからその後、北朝鮮がベンツを買ったりする時は、現金を払わないと売らないんです。信用取引が成り立たない。


それなのにベンツがあれだけたくさんあるのはなぜか。二重経済になっているからです。統治資金を持っていた。実はその最大の収入源は日本からの送金だった。


1990年代初め、多額のお金が日本から行っていた。それは、第一次安倍政権の厳格な法執行の方針もあって。ほぼ止まっています。その39号室の統治資金、秘密資金が、海外の銀行の秘密口座にあります。


10年前くらいアメリカのCIAがスイスの銀行などを調べた数字によると、43億ドルあったそうです。それを涸渇させることができれば北朝鮮は困る。


一般庶民は今どうやって食べているかというと、計画経済ではなく、党経済でもなく、闇市で食べています。1990年代半ば以降、配給がほぼ止まり、一般庶民は自分の才覚で食べています。計画経済でもらう月給では、食べていけないので、出勤して、はんこだけ押して闇活動をするとか、出勤しないですむために賄賂を払うなどして商売をしています。


従って、党に対する収入をなくすことは一般市民を傷つけないのです。だから現金を断つことが大事です。


これまで日本から多額の金が行っていましたが、これは厳格な法執行でほぼ止めました。その後、韓国が太陽政策で、李明博政権の推計によると、金大中・盧武鉉の10年間に70億ドルくらいの金と物が行った。それ以外に民間から30億ドル。併せて100億ドルくらい行ったと言われています。これは今回かなり
止まりました。


◆中国が石炭輸入を止めれば制裁の効果は大きくなるが


北朝鮮は開城(ケソン)工団(工業団地)から年間1億ドルくらいの現金を得ていたのですが、韓国がこれを止めた。これは大きいことです。


国連制裁では、石炭とレアメタルの輸出を止めています。現金を断つということでこれも大きなことです。北朝鮮の鉱物資源の輸出は鉄鉱石を含め年間10億ドルくらいになります。


実は石炭の輸出を巡って北朝鮮の軍と張成沢でかつて争ったのです。張成沢が軍が持っていた利権を党行政部に持っていったんです。それに軍が反発して、あの張成沢処刑事件が起きたのです。つまり石炭の輸出利権は、政変が起きるほどの大きな利権なんです。


しかし、石炭は中国が買ってこそ利権です。今回、国際社会は北朝鮮の石炭を買わないことが決まった。これが本当に実行されれば、あと北朝鮮に残っている外貨源は武器輸出と海外にいる6万人くらいの労働者で、奴隷労働から搾取しています。


今回、この奴隷労働を禁止できなかったことは穴が開いていると思います。しかし、10億ドルにも値する石炭が止まると大きなダメージだと思います。但し、後で島田さんが指摘すると思いますが、いくつかの穴が開いています。


中国が色々注文をつけたと思われますが、中国は本当に石炭をまったく買わないのかということについて疑問の余地があります。


もう一つジェット燃料ですが、北朝鮮は中国から重油を得ていますが、重油ではジェット燃料は作れない。自分たちの力ではジェット燃料は作れないので、タンクローリーで中国から輸入していました。そして軍が戦闘機などを運用しているわけですが、その輸出を止めるということは北朝鮮軍にとってかなり大きなダ
メージになると思います。


ただ、イランなどがどう動くか。北朝鮮は必至で制裁破りをするでしょうから、様々なことを見なければなりませんが、第一に外貨がかなり減るということは統治資金が枯渇するということで、それは政権の存亡に関してかなりダメージを与えるだろうと思われます。


だからこそ彼らは別のことをやって制裁逃れをしようとするとは思いますが、中国が書かれている通りのことをするかどうか見なければなりませんが、方法としては悪くないと思っています。


 それについて島田さんお願いします。


                                                         (2につづく)


★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆