むかしむかし、あるところに、1人の女の子がいました。
村のみなは、くちぐちにいいました。
『なんてうつくしい子なんだ。おまえはりゅうぐう城のぶたいに立つべきだ』
りゅうぐう城でまいばんおこなわれる、うたげ。
そのぶたいに立つことは、めいよあることでした。
……………………………
ある日、女の子はりゅうぐう城へいきました。
『もしもし。わたしをぶたいに立たせてくださいませんか?』
うつくしい女の子は、きびしいしんさにごうかくし、りゅうぐう城のぶたいにたちました。
お客さまはいいました。
『とうふのような白いはだをしておる。
まるで海のむこうにいるという、はあふ、のようだ。
うつくしい…』
女の子はたちまち、にんきものになりました。
女の子はお客さまをたいせつにしました。
女の子がお客さまへあてた手紙も、ひょうばんになりました。
『なんていい子なんだ。もっとおうえんしよう』
女の子は、せかいじゅうの美少女があつまるぶたいで、いつしか1ばんにんきになりました。
……………………………
ある日のこと。
王さまのもとに、海のむこうから商人たちがやってきました。
商人たちは口をそろえて、いいました。
『王さま。あの女の子をわたしにうってくださいませんか?
あの女の子は、わたしたちのせかいで、たくさんの、まねえ、をうんでくれるでしょう』
商人たちはざいほうをつんで、王さまにおねがいしました。
『わたしにうってください』
『わたしこそ、女の子をりっぱにそだててみせます』
……………………………
しかし、女の子にはわるいくせがありました。
女の子はちいさなことで、すぐにすねてしまうのです。
女の子がすねるたびに、けらいたちはそのおせわをしなければなりません。
女の子は、けらいにぞんざいなたいどをとることもありました。
王さまのけらいたちは、そんな女の子のことがキライでした。
『王さま。あの子は、さいあく、です』
……………………………
王さまは、けらいのことばをおもいだして、商人たちにいいました。
『あの女の子はやめておきなされ。
あの子は、さいあく、じゃ』
商人たちはいいました。
『では、わたしたちはどうすれば…』
王さまはいいました。
『かわりに、このカワイイ子はどうじゃ?
この子は、おすすめ、じゃ』
……………………………
カワイイ子は、商人につれられ、どこかとおくへいってしまいました。
カワイイ子がどこでなにをしているのか、女の子はしりません。
きっと、べつのせかいで、まねえ、をうんでいるのでしょう。
女の子はいまも、りゅうぐう城のぶたいで、お客さまのかんせいをあびているそうです。
めでたしめでたし。
(おわり)
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