神保町から三越前を経て
上野に到着
上野公園入口では垂れ桜が見頃

とはいえ公園の桜はまたちらほら咲という程度

さて、展示会のはしごという事で
東博の黒田展に

さて観客の状況は?というとそれなりに入っていたが、東博特別展で土曜の午後、しかも春先とはいえ天気が良い日、という上々の状況としては空いていたと言うべきかな
今回黒田の絵をじっくり見て思ったのはデッサンや色使い等、作画という点でこの人はやはり秀才と言うべき人だな、と
好き嫌いは別としてケチのつけようがない
もちろん多少の難はないでもないが、それを言ったら他の欠点だらけの多くの画家はどう評価すればという事になってしまう。
ただ、絵だけではなくアート全般に言える事なのだが
秀才の絵は面白味に欠ける所があるなと
黒田の絵は言ってみれば、柔らかな光を絶えず降り注いでいるような絵
ゆっくり見ている分には申し分ない
けれどやはりアートで心惹かれるのは
普段は闇でも一瞬激しく光り輝く瞬間があるアーティストではないかなと思う、

あと思ったのが
やはり日本人は画家の人生そのものに「ドラマ」を求める傾向があるように思える
手押し車一杯に描いた絵を積んで、世話になった人達に渡そうとしたが
殆ど受け取ってもらえず、一生の内売れた絵は殆どなかったゴッホ
バーで生活の為酔客の似顔絵を描いて無理やり売りつけようとしたモディリアーニ
二人共結局は生前評価されず、貧困の中で悲劇的な死を迎える
そこまで悲惨ではなかったが従来のアカデミックな画壇に反発して
印象派展を開催したが世間には殆ど評価されなかった
モネやルノワールを始めとした印象派の画家達
日本画壇でも強烈な個性を示しながらも晩年は行き詰まり若くして亡くなった青木繁
パリで独特な風景画を描きながらこれも若くして衰弱死した佐伯祐三
日本では絵そのものだけではなく、こういった生き様に強く惹かれるファンが多い

黒田はどうだろうか
近親ではないが、第2代総理大臣黒田清隆がいるように薩摩の名門黒田家の出で本人も華族である子爵家
国費によるパリ留学、東京美術学校(今の藝大)のボスになるなど、こういった悲劇とは無縁の人
もちろんそれは本人の責任ではないし、猥褻とみなされ描いたヌード画の下半身を覆われたり、別室展示にされたりと苦労もあったとは思うが
(もっともこの事件も藩閥での有力者であったからこの程度であったのであり、無力な一般人だったら展示されず門前払いだったろう)
それでもその一生は最初から最後まで恵まれたと言っていいだろう
そういうところもイマイチ熱狂的なファンがいない要因になっているようにも思える。

でもとりあえず、日本の近代絵画にては功績は十分あった人でもあるし
絵そのものは秀作が多い人なので機会あれば見てみるべき人だと思う
ただ、たとえば今回、代表作「湖畔」が厳重なガラスケースに覆われているという
鑑賞者から距離を隔てた展示になっていたが
以前にも触れたように普段展示されている東博隣の黒田記念館は
そういった隔たりが無くそばでじっくり見られるようになっているので
自分としては今回展示の後、黒田記念館で見る方が良いように思える。

平成館を出て、天気も今日は良かったのでまた庭園へ
名物しだれ桜はほぼ満開