いよいよイコラブ初の武道館2daysが迫ってきました。

コロナ禍で私は行けませんが、成功を心よりお祈りします。

 

さて、日刊大衆のサイト「EXオンライン」で最近2回にわたり「アイドルセンター論 =LOVE髙松瞳編」がアップされました。

 

 

川崎龍也というライターの方の文章で、休養を経てセンターに復帰した髙松瞳をフィーチャーしたそれ自体はよい記事なのですが、前後編と長い割には当たり障りのない内容で、独自の取材や視点があまり見られないのは残念でした。

 

瞳をイコラブの「絶対的センター」と位置づけて書いているのですが、そもそも「絶対的センター」という発想は前田敦子と結びつく初期AKBの概念で、いまやAKBにさえ絶対的センターなど存在しないことを考えるなら、どうもピンとこないのです(指原Pを元AKBと書いているのも異和感がありました。彼女の11年間のアイドル人生のうち7年間はHKT所属、それも劇場支配人としてプロデューサー的立場でもあったからです)。

 

もちろん瞳という存在はかけがえのないもので、彼女がいるといないではグループの輝きが違うことは、復帰後に誰もが実感したところでしょう。だからといって私は瞳を絶対的センターと考えたことはなく、イコラブにそういう存在が必要とも思っていません。

AKBグループについてはそれなりの知識があるので、イコラブのデビュー時からイコラブがAKBとは異なる(むしろ反対の)システムを取ろうとしていることは感じていました。

 

そこで、今回はこのアイドルセンター論に触発されて、かねがね考えていた、イコラブにおけるセンター、前列(フロントメン)、後列の意味といったことを、AKBと比較しながら考えてみたいと思います。

 

AKBグループは「16」(48はその3倍)という人数・数字がすべての基本で、劇場公演もシングル表題曲選抜も選抜総選挙(かつてはゴールデンタイムにフジテレビが中継)にしても、すべて16を単位にしています。アイドルグループは6〜8人ぐらいなら一目で全員がわかり、ひとりひとりを覚えるのも比較的簡単ですが、16人となると一度で全員の顔がわからない上にTV収録では後列端のメンバーはあまり写りません。(AKB選抜は姉妹グループメンバーも入るので時に18〜21人、多いときは30人以上(たしか「希望的リフレイン」は32人、「ラブラドール・レトリバー」は36人)にもなり、とても一目で全員の判別がつきません)

 

そこでセンターがグループの顔として重要になると同時に、競争原理を過剰に導入するAKBシステムでは「序列」がメンバー自身にもファンにもつねに意識され、序列トップ(全国に300人はいるAKBGメンバーのNo.1)の王座=センターとして特別な存在となるわけです(AKBGでは劇場公演とシングル表題選抜のセンターがあり役割や意味が異なります)。またメンバーはポジション番号から自分が序列何番目なのかすぐにわかるのです。総選挙やじゃんけん大会などでは、身長や全体の見栄えなどに関係なく、ただ順位(序列)順にポジションが決められ、ポジション=序列が強調されますが、そもそもそういうシステムの方が特殊で異例なのかもしれません。

そういうグループを応援していた人は、ポジションを見ると誰々は序列何番目といった見方をしがちですが、イコラブにはあまり当てはまらない気がしていました。

 

もちろんセンター<髙松瞳>がいて、その両脇(現在だと、みりにゃ<大谷映美里>、なたん<斎藤なぎさ>)がフロントメンとしてグループの顔になるのは確かで、なたんは歌割も多いですが、イコラブはメンバーひとりひとりの歌割が多く、センター位置の入れ替わりや前列後列の入れ替わりも頻繁にあります。

 

(青春"サブリミナル"冒頭部での1/2/4/5のフォーメーション)

(前列と後列がかなり入れ替わった6/6のフォーメーション)

 

メンバーは自分の歌割を歌う時に前列に出てくることが多いですが、さなつん<諸橋沙夏>の場合、後列にいて印象的な歌割を歌うことがあります(もっと極端なのは≠MEのももきゅん<櫻井もも>で、ほぼ後列にいながら大サビ前のもっとも重要な歌割をよく歌い上げます)。

 

イコラブはAKBシステムとは当初から違っていたものの、(瞳がセンターと知らない人には衣織がセンターに見えた)「手遅れcaution」(3rdシングル)以降より明確になり、ソロ歌割を歌っている人が(中央にいなくても)センターに見えるようなフォーメーションになっている気がしていました。昨日の夕刊フジで瞳自身が「ソロパートではみんなが主役になれるところも強み」という言い方をしています。

 

イコラブでも1/2/4/5(4列,「青春"サブリミナル"」ほか)とか3/4/5(3列,「=LOVE」など)というピラミッド型フォーメーションが取られることはよくありますが、それは序列というよりフォーメーションの一つでしかないのです。

むしろいかに均等化するかを考えているのではないかと感じていたところ、「青春"サブリミナル"」MVでは極力全員を均等に扱おうとする意図(全員のアップの多さ、円形に並んだフロートなど)が明らかで、また「しゅきぴ」MV打ち合わせで指原Pがひとりひとりのアップを最低2回入れるように要請する(実際はそれよりずっと多かった)などを見て、確信に変わりました。

(同じ12人のIZ*ONEもセンターの比重が軽く、全員が均等に並び、動いている印象を受けます。)

 

私が思うに、選抜制ではないイコラブにおけるセンターとは、その曲のヴォーカルのメインになる人、パフォーマンスや歌唱の軸となる人であって、髙松瞳が当初からセンターにふさわしかったのは、おそらく「その場所」にもっともフラットに立て、全体の要として安定していられるメンバーだったからなのです。

勿論それは経験者にしかわからない重責であることに間違いないです(「BRODY」2月号でのひぃなぎ<瞳&なぎさ>対談でもそういう話が出ていました)。

その場所は誰かが立たねばならない場所であり、瞳はそこに立つべき人だったのですが、それとすべての注目・責任を一人に集中させ、担わせるような「絶対的センター」とは違うと思うのです。

 

たとえば、後列の端にいることが多いしょこ<瀧脇笙古>が楽しそうに明るい笑顔で踊っている姿は、序列主義のAKB系グループならそれだけで人気が出る(応援したくなる)のかもしれません(イコラブでもそういうファンは少なくないでしょうが)。

後列メンバーの単推しファンは他グループでは悔しい思いをすることが多いわけですが、イコラブではそこまでそういう声(もっとグッズや握手券を買って序列を上げようとするなど)を聞かないのは、全員それなりの見せ場や活躍の場があるからでしょうし、歌割の比率でいえば(ジーコさんの歌割解析による)舞香と樹愛羅の間ぐらいのさなつんがしっかり印象を残すように配慮されているといった点は、どのグループでも見られることではないように思います。

 

もちろんメンバー個々の個性が際立っていないと、そうした演出や配慮も効果を上げないわけですが、いまやイコラブは12色の声とダンスで組み上げられるグループになっているといえるのではないでしょうか(最近、TikTokで「青サブ」の同じ箇所を全員が一人ずつ踊るダンス動画があり、それを一つの画面にしたものも目にしましたが、同じ振付けなのにそれぞれの個性や踊り方があることがよくわかりました)。

 

以上、長くなってしまいましたが、もともと「イコラブにおける後列の意味」として書こうと思っていたことで、イコラブではフロントメンと後列の差は相対的に小さく、それがMVや振付でも意識され、ポジション入れ替わりも多く、新曲ごとにそういう面が押し出されているというのが私の印象です。

 

(参考・追記)「フロント」という言葉について、リーダーの山本杏奈はこのように語っています(「Poison Girl」で自身がフロントにいることに関して)。「イコラブの場合、フロントという言葉はないというか、あまり言ってきてないので。イコラブの楽曲って、皆がいて完成するから。(中略)いろんな曲でその子にあった場所とかパフォーマンスがあると思うから。」(2021/12/13 SHOWROOMにて)

 

こちらの当ブログ記事(2022/1/19)もご参照ください。

 

2022/1/30のニッカンスポーツにこういう関連記事が掲載されました。ご参考までに。私は瞳に全てを集中しないことこそが、イコラブとアイドル髙松瞳をより長く継続できる条件だと思っています。

 

(22/4/28追記)指原莉乃プロデューサー自身が第3のグループ、ニアジョイ(≒JOY、ニアリーイコールジョイ)のオーディションに合格したメンバーに対して、イコノイグループにおけるセンターについてこう説明しています。

「ノイミーもイコラブも(メンバーに)センターを目指してほしいグループじゃない。

個々で一番をとってほしいグループじゃなくて、グループで頑張ってほしいグループだから、みんなはライバルじゃないです。もしかしたらセンターになりたい子もいるかもしれない、歌割りが多い少ないがあるかもしれない。だけど、みんなでトップを目指して頑張ってほしい」(Documentary of ≒JOY/ep.0「新星たち」)

 

(22/8追記)その後、11thシングル「あの子コンプレックス」では佐々木舞香が表題曲初センター(MV公開前日、公式youtubeで髙松瞳からのお知らせあり)、12th「Be Selfish」では野口衣織が表題曲初センターを務めた。

 

(参考)22/5/11の当ブログ記事