佐々木舞香さんが20歳になりました。おめでとうございます。

 

(衣織さんtwitter 2020/1/21より、メイク中に眠る舞香さん)

 

舞香さんについてはずいぶん前から書こうとしていたのですが、なかなかまとまらず、「まいかのおやつ」という記事でお茶を濁していました。

(舞香は単推しが多いようなので、以下の考察は舞香だけを見続けてきた熱心なファンの方とは自ずと異なることをあらかじめご承知おき下さい)

 

佐々木舞香さんはその整った顔立ちや声から人気が高いのですが、イコラブのなかでもとても理解のむずかしいメンバーの一人と思っています(理解できればしたいと思ったのは突然の休養がきっかけです)。

多くのメンバーがアイドルファン、アイドルヲタで、アイドルに憧れアイドルを全うしようとしているグループのなかで、舞香は最初から「声優志望の佐々木舞香です」と自己紹介し、さまざまな面で他のメンバーとは異なる行動をとってきました。

 

わかりやすいことでいえば、

 

・握手会(個握)の宣伝・告知をしない(個握のX次受付の開始と締切の周知はほぼ全てのメンバーがしますが舞香はしません。しかし舞香は番組告知や握手会の御礼は必ずtweetしますし、握手会の対応はよいし丁寧だそうです)

→(追記)20/6/3、コロナ禍により新曲の握手会が実施できないなか企画されたオンラインサイン会(舞香は6/18)についてはtwitterで珍しく告知しました。

 

・カメコさんの写真を引用しない。これもほぼ全メンバーがライブ後にしますが、舞香はほぼしません(公式か自撮りを使用、自撮りを載せることも滅多にない)。

例外的に、昨年夏の野音「24girls」での浴衣の写真、復帰直後の2018クリスマス公演のなどがあるぐらいでしょうか?

 

・SNS, showroomなどに積極的でなく、tweetの内容も他メンバーとはひと味違う

 

といった「アイドルの基本」ともいえる部分での独特のスタンスがあり、ファンとの距離感やコミュニケーションに対する考え方が(釣りとかファンサービスとかも)他メンバーと違うのは明らかでした。

ファンがとまどうようなそうしたスタンスは、最初はたまたまとか気まぐれかと思いましたが、初期から現在まで一貫していてブレていないと思われます。

 

ステージでは「アイドル」を演じているが、ステージを離れたら素の佐々木舞香、というより「自分の世界」(多分に2次元的な、一種の鏡の中の世界)があってそのなかで生きているという印象を受けます。

ミニスカートはステージでしか身につけない(休養中に私服のミニスカートは全て処分)とか、あれほど前髪にこだわるのは、そうした外面が(内面を守る)「武装」だからでしょうか(その意味では最近MVやステージでデコ出しをするのは、重要な変化を示しているのかもしれません)。よく登場する杏奈のshowroomでも「声」のみのことがよくあります。

 

一方で、メンバー愛が強いのはわかりますし、イコラブを盛り上げるために率先してがんばっているのもわかります。と同時に、誰より一匹狼的な気もしますし、ひとりでの外仕事(レポーター、舞台出演など)も多いと思います(みりにゃの方が多いとは思いますが)。

 

楽曲に対するアプローチは、まず物語を自分なりに作り、役柄(キャラクター)を作り上げて、それを演じる(歌い踊る)というもののようで、みりにゃのアプローチとはまるで違うと思いますし、おそらく沙夏のアプローチとも違うでしょう。

舞香さんの舞台を見れば、きわだった演技力、表現力の持ち主であることは誰の目にも明らかですが、そういう演劇的、役者的アプローチをアイドルソングにもしているようです。

逆に、舞台稽古では(意外にも)せりふ覚えが悪かったそうで、「イコラブでダンスしてたので、振りと一緒に覚えれば覚えやすいとわかった」と舞台『脳漿炸裂ガール〜人間動物園〜』の後のshowroom(2019/7/24)やHustle Pressのインタビューで語っていました。

 

イコラブというグループを初めて長期に離れてたった一人で参加した『脳漿炸裂ガール』は彼女を表現者としても人間としても大きく成長させたように感じます。

「不安だったけど、一番年下でかわいがってもらって、お芝居の話ができてアドバイスをもらったり意見の交換があって「これが舞台なんだ」と思った。」「今までイコラブの環境しか知らなかった分、外の世界に飛び出してというのを約一ヶ月間やった訳で、そういう経験は初めてだったので、外の世界を知ったという感じだった。」(同上showroomでの発言)

(主演の舞川みやこさんと)

その脚本を担当した川尻恵太さんは、イコラブの最初の舞台『けものフレンズ』の脚本・演出家で、メンバー全員をよく理解して演じる喜びを教えてくれた恩人と言える人ですが、「BUBKA」2019年3月号での舞香の復帰直後のインタビュー「再びステージに上がった理由」で「周りと戦う子というより、自分と戦う子というイメージ」と評していました(「表現に関する可能性をたくさんもっている女性なので、楽しんで活動して欲しいと思います!」とも)。それを聞いた舞香の「いやぁ、バレてたのか」という反応からも、的を得た鋭い観察だったのでしょう。 

 

「BUBKA」の同じ号には、瞳のグラビア&インタビュー(舞香と同じ聞き手)も載っていて、舞香に関することや自身の悩みも語っていて、いま読むと意味深な号です。

舞香さんは、本質的には単純直裁でポジティブな人なのでしょうし直観力にすぐれた透明な水のような冷静な人と思われるので、情熱的で火や太陽のような瞳と惹かれあい共鳴しあえるのは対照的で面白いところです(水は大の苦手のようですが)。

 

アイドル適性が高いのに「アイドル」をめざさない(のかもしれない)人・佐々木舞香が、いずれは声優・俳優の道に専念し、アニソンシンガーにもなるだろうというのは多くのファンが予想していることでしょう。

しかし、なぜ声優でなければならないのか? そのヒントのようなものが、ごく初期の単独インタビュー(週プレNEWS/2018年1月)にみられるかもしれません。

https://wpb.shueisha.co.jp/news/entertainment/2018/01/26/98648

アニメトークを饒舌にくりひろげるなかで、あまり学校には行っていなかったという話から、学校という枠組が嫌いで、「人前が苦手」「(皆が一斉に自分を見るような)視線が怖い」「指されて発表するのもイヤ」だったなどと語っています。

おそらく小学校半ばから中学も学校に行かないか、教室に入らず保健室で過ごしたようです。

 

私は同じような体質というか体験があるので理解できるのですが、かといって人前で話をしたり講演をしたりできない訳ではありません(しかし目線があわないとはよくいわれます)。

映画やテレビドラマの役者はカメラ(レンズ)から目線を外して演技しますし、舞台の役者も観客と視線を合わせません。しかし、アイドルはファンにできるだけレスを送るのが仕事でもあり、舞香さんにはそれが大変かもしれません(ファンからすればなかなか視線が合わないか、合っても自分を通り過ぎて遠くを見ているように感じられるかも)。

このインタビューを読んだ時から、観客の視線というものがない声優(みんなスクリーンを見ているので声優同士もお互い目を合わせることがない)を舞香がめざしてきた理由を理解できたような気がしました。(もちろん意識すれば視線は合わせられるものなので、握手会などで視線が合わないことはないでしょう。苦手とできないとは違うからです)

 

休養の理由はそういう問題ではなかったと思いますが、デビューから一年足らずで自分はアイドルに向いてないと(アイドルと必死に向き合おうとする仲間を見て)思ったかもしれない気持ちもわかるのです。

それでも、あなたは(たとえめざしていなくても)「アイドル」たるべき人なのです。

だから、自分なりの原則やルールをもちながらも、いま=LOVEのメンバーとしてアイドルでいてくれること、そして一度は辞めようと思ったのに復帰してくれたことに本当に感謝しています。

 

このとりとめのない文章の終わりに、

舞香が溺愛する樹愛羅ちゃん(舞香を「まいかちゃ」と呼びます)のtwitterを。