高市首相の「台湾有事は存立危機事態」発言の撤回を求める緊急記者会見
村山首相談話を継承し発展させる会
12/8、“村山首相談話を継承し発展させる会”による「高市首相の『台湾有事は存立危機事態』発言の撤回を求める緊急記者会見」が開催された。前日に開催された“国際アジア共同体学会”でご一緒した日中労働者交流協会会長の伊藤彰信さんより緊急記者会見の資料をお送り頂いた。緊急記者会見のYouTube動画とあわせてご覧ください。
(伊関)
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高市首相の「台湾有事は存立危機事態」発言の撤回を求める緊急記者会見 次第
2025年12月8日
主催 村山首相談話を継承し発展させる会
1.「緊急声明」について
藤田高景(村山首相談話の会・理事長)
2.呼びかけ人からの発言(御出席の学者・文化人・弁護士)
田中宏(一橋大学名誉教授)
東郷和彦(元外務省条約局長)
羽場久美子(青山学院大学名誉教授)
権上康一(政治経済学者)
岡本厚(雑誌『世界』元編集長)
竹信三恵子(和光大学名誉教授・ジャーナリスト)
杉浦ひとみ(弁護士)
足立昌勝(関東学院大学名誉教授)
前田朗(東京造形大学名誉教授)
川村範行(名古屋外国語大学名誉教授、日中関係研究所代表)
栗松聡子(ピースフィロソフィーセンター代表)
伊藤真信(日中労働者交流協会会長)
●呼びかけ人(本日は所用にて欠席)
田中優子(元法政大学総長)
前田哲男(軍事評論家)
古賀茂明(政治経済評論家、元経済産業省官僚)
高山佳奈子(京都大学教授)
山田朗(明治大学教授)
金平茂紀(ジャーナリスト)
纐纈厚(山口大学名誉教授)
井原誠(東北大学名誉教授)
飯島滋明(憲法学者、名古屋学院大学教授)
3.質疑応答
以上
2025年12月8日
記者会見メモ
伊藤彰信(日中労働者交流協会会長)
1 日中労働者交流協会(略称:日中労交)は、初代会長である市川誠(元総評議長)が侵華日軍南京大屠殺遇難同胞紀念館の開館式に出席するにあたって表明した「日中不再戦の誓い」の精神を継承し、現在は「和解から友好へ」をスローガンに日中平和友好活動をしています。日中共同声明が国家間の政治的・外交的和解とするならば、民間交流による相互理解を通して和解を促進し、民を以て官を促したいと思っています。
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誓 い われわれは、1931年および1937年を契機とする日本軍国主義の中国侵略戦争を労働者人民の闘争によって阻止し得なかったことを深く反省し、南京大虐殺の犠牲者に対して心から謝罪するとともに、哀悼の意を表し、ご冥福を祈ります。 われわれは、日中不再戦、反覇権の決意を堅持し、子々孫々、世々代々にわたる両国労働者階級の友好発展を強化し、アジアと世界の平和を確立するため、団結して奮闘することをあらたに誓います。 公元1985年8月15日 抗日戦争及びファッショ戦争勝利40周年記念日 |
2 今回の高市首相の「台湾有事は日本の存立危機事態である」という発言は、中華人民共和国の領土の不可分の一部である台湾において日本が軍事行動を行うという宣戦布告の予告にほかなりません。「相互不可侵」、「内政に対する相互不干渉」などの平和五原則の基礎の上に「両国間の恒久的な平和友好関係を発展させ」、「相互の関係において、すべての紛争を平和的手段により解決し及び武力又は武力による威嚇に訴えない」とした日中平和友好条約第1条に反するものであり、日中共同声明、二度と戦争をしないと誓った日本国憲法に反するものであり、断じて許すことは出来ません。発言の撤回を強く求めます。しかし、高市首相は「従来からの政府見解を変えるものではない」と述べており、発言を撤回するだけでは収まらない大きな問題があると思います。
3 私が2015年12月に訪中したとき「安保法制の成立を阻止することができませんでしたが、日本国憲法第9条が改正されないよう頑張ります」と述べたら、「日本は日本国憲法第9条を改正しなくても戦争ができる国になったのではないですか」と言われました。
4 今回、中国政府は国連憲章第53条の「敵国条項」を指摘しています。日本国憲法第9条第1項は、国連憲章第2条第4項の「武力による威嚇又は武力の行使を(中略)慎まなければならない」を引用したものであり、「慎む」よりも踏み込んで「永久にこれを放棄」したわけです。第9条第2項は、国連憲章第53条を態度で示すために、戦力の不保持、国の交戦権の否定を謳ったわけです。日本は、日本軍国主義の中国侵略戦争の反省を、国連憲章よりもさらに平和主義に踏み込んだ日本国憲法を制定することによって、平和国家への道を歩んできました。
5 「抑止力による平和」という考え方は誤りです。「抑止力」とは「武力による威嚇」にほかならず、留まることなくエスカレートするものです。武力で平和は創れません。日本国憲法にも国連憲章にも反する考え方です。
6 私は、「台湾有事」での日本の軍事介入のシナリオは、一般的にいわれている「米中戦争巻き込まれ論」ではなく、「自衛隊仕掛け論」ではないかと考えています。「中国が攻めてきた」と言って、武力攻撃事態による反撃を行うのです。1931年の柳条湖事件、1937年の盧溝橋事件も日本軍国主義が仕掛けたものでした。
7 日本は戦争への道を歩んでいます。以前「政冷経熱」という言葉がありましたが、今は「経済安全保障」が語られる時代です。軍官民一体の体制がつくられようとしています。「中国の脅威」を煽ることによって、「戦う決意」を持たせようとしています。マスコミ、教育がその先陣を担っているわけです。九州に長射程ミサイルの先行配備、南西諸島のミサイル基地化、民間港湾・空港の軍事利用、防衛産業強化がすすめられています。防衛関連産業で働く労働者の賃金は大幅に引上げられました。今、日本の労働組合は「産業報国会」化しています。単に意識のレベルだけではなく、社会経済を含めた総力戦を戦う体制が出来上がろうとしています。まさに「戦争前夜」です。自国の首相が「戦争をするぞ」と言っているわけですから、主権者たる日本国民は、「戦争をするな」、「高市首相発言を撤回しろ」の声をあげるべきだと思います。
以上
*このメモは、日中労働者交流協会の組織的な声明ではなく、私の個人的な意見です。