国連安保理、初の「議長声明」を採択
 
 5月6日に開催された国連安全保障理事会で、「ウクライナの平和と安全の維持」という議題で討論した結果、グテーレス国連事務総長は理事会を代表して次の声明を発表した。


(ウクライナ情勢をめぐる国連安全保障理事会の会合で発言するグテーレス国連事務総長=5日、米ニューヨーク、国連ウェブTVから)

 安保理は、ウクライナの平和と安全の維持に関して深い懸念を表明する。
 安保理は、すべての国連加盟国が国連憲章の下、平和的手段により国際紛争を解決する義務を負っていることを想起する。
 安保理は、平和的解決を探求する事務総長の努力に強い支持を表明する。
 安保理は、事務総長に対し、この声明の採択後、適切な時期に安保理に状況説明を行うよう要請する。

 この会議の議長国はアメリカ、声明文を起草したのはメキシコとノルウェーの国連大使。
 この「声明」を全会一致で採択できた背景には、国連のグテーレス事務総長が4月末にロシアとウクライナを訪問し、プーチン大統領、ゼレンスキー大統領と相次いで会談したこと。
 また国連と赤十字が協力しマリウポリ周辺から民間人の避難を進行させていることがある。
 この議長声明は、非常に重要なことを言っています。2項目目の「安保理は全ての加盟国が国連憲章の下で平和的手段により国際紛争を解決する義務を負っていることを想起する。」という点です。ロシアもウクライナもアメリカも日本も、すべての加盟国は「平和的手段により国際紛争を解決する義務を負っている」のです。これは日本国憲法の精神でもあります。ロシアはただちに撤退するべきだし、NATO、アメリカもウクライナに軍事支援して戦争を煽るべきではありません。
 議長声明には法的拘束力はありませんが、しかし各国の行動の規範を示した点、それにどこの国も反対しなかった点に大きな意味があります。声明を起草したメキシコの国連大使は「きょうが第一歩である。2か月以上かかったが、きょうがその始まりの日であってほしい」と述べました。またグテーレス事務総長は「安保理は初めて、ウクライナの平和を求める声を一つにした。私は平和の道を見いだすための努力を惜しまない」とのコメントを出しました。
 この議長声明を生かすには、平和を願う世界中の人々が声を上げることが必要です。自国の政府に「平和的手段によってウクライナ戦争を解決する行動」を要請することが急務です。それは決して「敵基地攻撃能力」を高めたり、軍事費の増額をやることではありません。平和憲法を生かした外交こそが、国連憲章の精神でもあり、戦争解決への一番の近道です。(いんば)



ブラジル大統領候補ルラ氏が主張
「ゼレンスキー氏にも責任ある」

 
 ブラジルの大統領候補で元大統領のルラ氏は5日までに米タイム誌のインタビューで、ロシアからの侵攻を受けているウクライナのゼレンスキー大統領について、ロシアのプーチン大統領と「同様に責任がある」と主張した。


 ルラ氏は10月の大統領選に出馬する見込みで、世論調査では現職のボルソナロ氏を抑えて支持率首位を保っている。
 
 ルラ氏は「プーチンはウクライナを侵攻するべきではなかった」としながらも、ゼレンスキー氏も「戦争を望んだ。そうでなければもう少し(ロシアと)交渉をしたはずだ」「戦争においては誰か一人に責任があるわけではない」などと述べた。また「米国や欧州にも責任がある」と非難した。
(共同通信より)



ローマ教皇、「NATOの吠(ほ)え声がロシアの反応につながった」・・・プーチン大統領との会談を希望

 ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇は、ウクライナにおける平和の達成のためモスクワを訪問し、ロシアのプーチン大統領と会談することに意欲を示した。伊紙「コリエーレ・デラ・セラ」が伝えた。
 コリエーレ・デラ・セラの報道によると、フランシスコ教皇は現時点ではウクライナを訪問する意向はないとし、枢機卿2人をウクライナへ派遣したと明らかにした。そのうえでフランシスコ教皇は次のように述べている。「まずモスクワを訪問し、プーチン(大統領)と会わねばなるまい。私は聖職者として何ができる?できることをするのだ。プーチンが扉を開いてくれるのなら」
 フランシスコ教皇はこれまで、ロシアの侵攻について「極めて残虐な行為」で止めなければならないと強調していた。今回は「NATOの吠え声がクレムリン(ロシア)の反応につながった可能性がある。怒りを誘発したというのか、原因となったのだろう」と述べた。(HY)