本当に中国は脅威(きょうい)か?
「現状変更の試み」って何?


 「8月29日河野太郎防衛相は、米領グアムでエスパー米国防長官と会談した。中国の海洋進出を念頭に、東シナ海や南シナ海の力を背景とした一方的な現状変更の試みに反対するとの考えで一致した。新たなミサイル防衛の構築に関し、日米が連携して対処能力強化に取り組む方針も確かめた。」(日経新聞電子版2020/8/29 18:15)


          米領グアムでの河野・エスパー会談
 
 何で「米領グアム」なのか?・・・グアムはアメリカの占領地、植民地。そこへ日本の防衛大臣が出かけて行って、アメリカの国防トップと会談する。アメリカのミネアポリスで白人警官によってジョージフロイドさんが殺害された事件を契機に、人種差別とその根源である植民地主義に反対する運動が世界的に広がる中、アメリカの植民地グアムで米日がミサイル防衛の強化を喧伝する・・・。これは世界の平和運動への威嚇ではないのか?
 「一方的な現状変更の試み」というが、「現状」とは何なのか?それは第二次世界大戦終結以降、アメリカが築いてきたソ連や中国を標的とする対共産圏包囲網に他ならない。戦後アメリカが結んだ日米安保条約はじめ米比相互防衛条約、米韓相互防衛条約、米華相互防衛条約、ANZUS条約などがそれだ。そしてこの対中国包囲網の網の中で、アメリカは朝鮮侵略戦争、ベトナム侵略戦争を引き起こした。これが「現状」ではないのか?
中国の14億の民が、太平洋への玄関口である東中国海、南中国海の制海権、制空権を握ろうとするのは当然だろう。国家の独立と主権の問題だ。玄関先に太平洋の向こう側からやってきた強盗がウロウロしている状態は終了させたいと思うのが当然ではないか?「現状変更の試み」とは歴史的に、植民地主義に反対し、国家の独立と民族の解放を目指す戦いの一貫だ。

 日本のマスコミは、南中国海の南沙諸島は、ほとんど全部を中国が占領しているように報道している。しかし、台湾、フィリピン、マレーシア、ベトナムはすでに岩礁に滑走路などの軍事施設を建設済みであり、最近中国が「ジョンソン南礁」などに土砂を投入して滑走路を作ったというのは、一番あとになってのことである。
現在実行支配している小島の数は、ベトナムが12、フィリピンが7、台湾が1、マレーシアが5、中国が7である。しかしこの地域の軍事バランスを考えるならば、沖縄、横須賀、韓国、グアム、ハワイを拠点とする米軍、米太平洋艦隊の圧倒的な軍事力を無視できないことは言うまでもない。
 南沙諸島は、日本軍が台湾を植民地にしていた時代は台湾の一部として占領し、戦後はアメリカが中華人民共和国との国交を回復するまでは中華民国領として認めてきたものである。ベトナムの宗主国であったフランスが占領した時期もある。中国との国交を回復したアメリカや日本が、中国が南中国海諸島の領有を主張したとしても、それにケチをつける歴史的な根拠はない。だから「現状変更の試み」としか言えないのだ。
 今日本に住む我々がすべきことは、米軍の後ろから「中国の脅威」を煽ることではなく、日米安保条約と日米地位協定によって主権を奪われていうる日本の現状をこそ、変更することだ。(いんば)