沖縄に関する為政者と朝日の欺瞞 その1-2 | ケンさんのブログ

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その1-1の続き

オスプレイ

オスプレイは、開発に60年も掛かり2006年にようやく量産が認められて本格的な配備することがかなった世界初の垂直離着陸可能な輸送機である。
軍用機ならば、みな戦闘能力を持たなければならないと、勘違いをしている人もいるが攻撃時の輸送機の役割は攻撃機などで制空権を確保したあとで地上部隊を送りこんで地上の制圧を完了するのが基本である。
荷物もたくさん詰めて速く飛べ、敵も攻撃できるといういう発想は、漫画の中でしか実用化していない。
輸送機と攻撃機では必要な機能が違い過ぎることを考えれば当然のことである。

輸送機は民間の需要とも近く、民間用のふわっと浮かんでビュンと飛んでく航空機としては、オスプレイを民間用にしたアグスタウェストランド社のBW609が型式認定世界初の最有力候補である。
広い飛行場の土地の確保が難しい割に国土が細長く島嶼も多い我が国としては、この手の航空機は利用価値が普通の国よりもずっと高い。
そのときに、先の読めない、またリスクをまともに理解できない人間が鉄道を遠ざけたおかげで寂れてしまった町の轍を踏まないように注意しなければならない。


横田基地日米友好祭(2014)でのオスプレイ


さて近未来性を全く感じさせない、こんな子供でも考え出せるようなヘリと飛行機のあいのこのデザインでも実用化までに60年も掛かったのには当然わけがある。
ひとつは、安全に効率良く飛ぶための新しい仕組みで、これより良いものを考え出せなかったことと(戦闘機のように非常脱出装置で全員逃げれば良いと気楽に考えられない)ヘリと飛行機では飛ぶための仕組みが全くといっていいほど異なるのを、空を安全に飛ぶものとして統合するのに、さらなる技術的な進歩が必要だったためである。

反対派の一部(ほとんど全部?)がわけもわからずに言うように、確かに当初は危険な乗り物である。
しかし、乳母車でさえも最初から安全なものなんてないのである。オスプレイは、技術的な困難さのために実用化に長期間掛かったのである。
開発に時間が掛かったからということと実用化した後のオスプレイが危険ということに合理的な根拠は無い。

ヘリは垂直に離着陸出来てホバリングも可能で小回りが利くという素晴らしい特徴があるが、それを除けば、燃費が悪く、速度が遅く、航続距離も短く、搭載量も少なく、高く飛ぶ能力も低く、騒音がひどい。おまけに自律安定性が無いため操縦がキチガイのようにむずかしいと、結構大変な乗り物である。
離着陸場所が狭いかホバリングが必要かどちらかが必須でない限りヘリを使わないのがふつうである。
ヘリのパイロットは慣れれば簡単だというが、並の人間のいう簡単さとはわけが違う。コレクティブピッチやスロットル、操縦桿を動かすたびにジャイロが付いていないヘリはクルクル回ろうとするのである。
命をジャイロのような電子デバイスに預けるには、十分な信頼性を獲得した後である。

昔はヘリに公共交通機関としての役割を期待していたが、今では、離着陸場所が取れなくて、他の交通機関がよほど不便でない限りまず使わない(香港からカジノのあるマカオのヘリの定期便は数少ない例外である)。

農薬散布が可能なドローンが普及したおかげでヘリのパイロットは仕事をたくさん失った。
実際に、低空を飛ぶ仕事は危険であり事故も多い。ドローンだとより低空を飛べるので農薬の散布も正確で農薬の被害も減らせる。
ヘリの会社とパイロット以外には良いことだらけである。

ふわっと浮かぶことができる航空機としては、最近話題になるマルチコプター(ドローンと良く間違われるがドローンは単に無人機全てを表わす)があるが、人が乗るものとしては、オスプレイと比べると見掛けはともかく技術的に実際に桁違いに危険である。


ヘリ(回転翼機)と飛行機(固定翼機)では、空に浮かぶ原理からして異なる。
ヘリの回転翼と飛行機の主翼では同じ翼という字を使っていても形状が似ているのは断面くらいでそれ以外の形状も使い方も全くと言って良いほど異なる。
制御方法もヘリはローターの慣性力を利用したジャイロ効果がメインだが、飛行機は主翼の形状と尾翼の配置を中心とした機体の形状を利用した操縦翼面の操作である。

ヘリに取って大きな揚力を生む飛行機の主翼は迎角と速度で揚力が変わるので、ローターの向きだけで、揚力と推力が変わるヘリに取って厄介なものである。
また主翼が重要な要素の飛行機から見れば、ローターは、空力的に、邪魔なものでしかない。

オスプレイの評価でよくある過ちは、単にヘリと飛行機を組み合わせたものだと思うことである。

 

オスプレイのローター兼プロペラひとつとっても、よく見ればヘリのローターとも飛行機のプロペラとも違う。

 

こんな狭いところにサイクリックコントロ―ル用のメカを詰めるのか疑問だったがキネマ航空CEO 『オスプレイってどんなヘリコプター?』 について考える。という知識の豊富なサイトの記事からどうやらその構造がわかった。

 

 

なぜローターとプロペラの兼用がこういう形状になったのかということまで理解しないと、ヘリモードと飛行機モードを単独で評価したとしても正解には辿りつくのは難しい。

さらに基本的な事項だが、ヘリモードと飛行機モードでは、適している飛行状態がことなる。
ヘリモードになるのは垂直離陸するときと、着陸する結構多くの場合とホバリングが必要な時だけで、巡航中は飛行機モードが原則である。
離陸のかなりの場合と、着陸の一部は遷移中の状態に近いプロペラを少し上に傾けた短距離離着陸モードである。

オスプレイを評価するときにヘリとしてだけ見たり飛行機としてだけ見たりする人が多い。
新しい仕組みを理解するのに困難を覚える人が多いのはしょうが無いことだが、自分の狭い知識だけで判断することは間違いのもとである。

自分のようないい加減な知識の持ち主でも、そうした指摘の間違いをいくつか指摘できる。
 

  • ひとつ目はオスプレイはオートローテイションが可能な飛行領域が狭いから危険であると言う指摘である。
    ヘリを操縦するには、もしエンジンが止まったときに備えて、高度と速度のエネルギーをローターの慣性力に蓄え、回転翼面として維持することでそれなりにゆっくりと降下させ最後は慣性力をピッチを戻すことでしばらくの間、揚力として使うと言う手品のような方法を死なない程度にマスターしなければ今でもヘリの免許は貰えないということは事実かもしれない。
    確かにロビンソンのようなシングルエンジンのヘリは、それ以外は少なくなったとはいえ存在し、シングルエンジン機ではエンジンが止まったときにオートローテーションができないと致命的になる。
    しかし、オスプレイはツインエンジンでふたつのローターはシャフトで直結しているので、最近では良くあるツインエンジンのシングルローターやツインローター機と同じで、オートローテーションを使わなければならない事態は両方のエンジンが同時に止まったときだけである。
    最近はエンジンの信頼性が高いのでツインエンジン機でこのような事態が起きた例は無いらしい。
    これがほんとのことかどうかは確認していないが、疑うならあとで述べる世界中の事故が乗っているサイトで調べていただきたい。
    もっとも「タンデムローターで双発のヘリがオートローテーションで緊急着陸をした事はありますか?」でググればYahoo!知恵袋で回答がいくつかのっている。
    1991年に自衛隊のV107が火山灰を吸い込んで両エンジン停止でオートロで降りていましたね。
    同じく指摘にあった2007年のベル412の例はまさしく燃料切れの場合で残寝量を確認しなかったのが直接の原因とある。国土交通省の事故調査報告書によれば、燃料切れによるエンジン停止でオートローテーションで降りたようであるが、高度も速度も足りず(重いバケットを吊り下げて飛んでいた。墜落前に切り離している)十分なオートローションができずに山の斜面に墜落し大破し唯一の乗員である機長が外傷性ショックで亡くなった。
    CH47のパイロットも回答をしてくれているが、オスプレイは固定翼機モードがあることを当たり前のように考慮している。
    いずれにしろ、最近のツインエンジン機では、オートローテーションの重要性が低下しているのは間違いない。
    特にオスプレイでは飛行機モードという一般的なヘリよりも安全性が高い飛行機モードで巡航するのが基本なので、離着陸時のときに2機ともエンジンが止まるというそれこそ滅多にありそうもな心配よりも、もっとありそうなことをsんぱいするのが合理的だろう。なおちゃんとしたパイロットならどう言う飛行領域でオートローションに入れるか、またオートローションが友好な領域で飛行するというのは当然持っていなければならない知識のようではある。
  • ボルテックスリングステート(高い降下率でローター外周での渦が発生し揚力を失うこと)に陥り易いという指摘は、ヘリとしてだけ使うことを考えれば重要なことかもしれない。しかし、大部分の巡航中はヘリよりもずっと広い飛行機としての安全な飛行領域を使えるのである。
    またどんなヘリでも守らなければならない飛行領域はある。
    後であげる資料のオスプレイの事故の記録を見れば、砂塵で視界が無くなっても着陸位置を打ち込めば自動で着陸する装置を追加する改善を加えたことが分かるが、こんなむずかしいことができるなら、危険な飛行領域の対策を思い付かないほどオスプレイの技術陣が愚鈍だと考える方に問題があると思った方が良さそうである。
    パソコンでさえもWindows98と比べたら最近のPCは安定性が格段に上がったのだから、米軍も苦労しながら電子デバイスの信頼性を実用にできるくらいは上げていると個人的には思っている。
    そしてその信頼性は、実際の運用で評価できるのである。


オスプレイの技術的な安全性に関するWEB上の記事は、良いのも悪いのもたくさん見つかる。
自分の生半可な知識より遥かにしっかりしたものも多いので探してもらいたい。ただし、反対派の意見は、最初からバイアスが掛かっていて、狭い了見だけで判断している場合が多い。

しかし、どちらにせよ、オスプレイが技術的に見てどれほどの危険性を持っているか正確に判断することは、関係者でもない素人にはむずかしい。
身も蓋もない話しかもしれないが、安全性の評価は、相当の知見を持つ人間が行なうことが鉄則であり、日本も含めた国際的に全ての工業製品の安全性評価の原則である。

そしてそれが正しいかどうかは、統計的手法を使って判断される。
この場合は製品の詳しい技術を知らなくても、問題の性格を統計学的に正しく見ることが出来れば良いのである。

オスプレイの安全性なら実際に起きた事故を検証すればすればいい。
注意しなければいけないのは、事故が発生する統計学的な特徴とか性格とかいうものである。
良くできたさいころの目の確立と、地震が発生する確率を同じように考えてはいけない。
地震の発生頻度はさいころの目の出方とは異なるが、それにプラス地震の場合は発生した時の影響も規模に応じて評価しなければならない。
乗り物の事故も、航空機のような事故の確率が低いものは、発生原因の発生の特性も含めて原因別に評価しないと役に立つ統計とならない。

世の中には、統計が満ち溢れているが、都合のいいようい解釈されたデタラメな場合が多い。

そもそも統計の取り方や分類が恣意的な場合も多い。

幸い航空機の事故の場合は重大な事故は再発を防止する安全上の科学的な立場から、原因を詳しく調べることが普通で米軍機の場合も基本的には同様で、公開が原則である。
そうでないと予算を決定する議会が承諾しないのが基本である。

さらに幸いなのは、オスプレイが日常生活において危険か危険で無いかを判断するには、かなり荒っぽい判定でも誤差に隠れてしまうほどの危険性しか持っていない。

統計の基本的なこととして確率を算定するには母集団という対象の選定が重要である。
また確率を求める事象が科学的な再現性や一意性を持っている必要がある。

幸せな人が何パーセントいるかを調べるのに、どういう人を対象とするかはっきりさせる必要がある。
日本国民なのか、しいたげられたどこかの「イダイ」な指導者のいる国の国民なのか、仕事を持っている人だけなのか、ぷー太郎も含まれるのかなどということをはっきりさせることが母集団を正しく選ぶ上での前提である。もしくは母集団をどのように選んだかが問題になる。
次に幸せという立場だけでなくそのときの気分でも変わるものをどのように質問するかなどの統計を取りたいものの一意性や再現性が問題になる。
質問の仕方や時間で回答が変わらないように注意する必要がある。

今の例は統計を取るのが難しい例だが、世の中には統計を取るのが難しいのに都合よく解釈して使う場合が多い。

幸いオスプレイの場合はむずかしくない。
「何が」「何に」「どのように」「どのような危険が」ということと、それが及ぼすメリットと比較するという単純なことである。

重大な事故に限れば航空機の事故は事例が非常によく記録が残っている。
交通事故の場合は日本国内とか県別でみればたくさんの事例があるので統計処理がしやすいが、航空機の事故は事例が少ないので、その原因によって、繰り返し易い事故か、対策が取れる事故かなど再発防止の点からの原因分析がしっかりしている。
交通事故の場合もいこの原因分析が重要なのは同じだが、あまりにも事故が多いので、対策が追い付かずに、不作為や現実的な対策が取れないと見做さないと車やバイクを使用禁止にしなければいけなくなってしまう。
それではメリットも殺されてしまうので対策もメリットとのバランスで行うことになる。

話しを簡単にするために重大事故の中の死者が出る場合だけを考えよう。
航空機の場合の方が事故が起きた時の死亡率は高いから、これで航空機に対して判断が甘くなることはない。

 

 

 

航空機事故の資料

航空機事故の資料を以下に示す。日本以外の資料やオスプレイに関するものは英語のものがしっかりしている。

 

 

 

日本の航空事故の公式な統計国道交通省運輸安全委員会航空事故の統計
1974年以降の運輸安全委員会が調査した事故で、国内の航空事故(航空法では自衛隊や米軍は適用外)で小型機やヘリコプター、超軽量機なども含まれる数少ない資料

Aircraft Accident in JAPAN
上記国土交通省の資料をまとめてくれているサイト。こちらの方が一覧になっているのでお勧め。

世界の航空事故=Aviation Safety Network
Aircraft Accident in JAPANからリンクされているサイトで、小型機から軍用機まで網羅されている模様。
知る限り最も詳しい航空事故のデータベース。

日本の航空事故騒乱
民間航空会社に的を縛った日本での事故の資料。残念ながら2007年8月までの資料で更新は停止しているが、2004年からは、軽微な事故まで記載されている。

ウィキペディア 軍用機事故の一覧
世界の軍用機の平時の訓練や航空ショーなどで起した事故の概要

ウィキペディア 日本におけるアメリカ軍機事故の一覧 日本におけるアメリカ軍機事故の一覧。返還前の沖縄県にて発生した米軍の航空機事故も含む。

オスプレイの主要な事故の原因については、Accidents and incidents involving the V-22 Osprey(英語版Wiki) に詳しい。 日本語版は、わかりやすいが原因が省力されているのがあるので英語版を見たほうがいい。

オスプレイに関しては、開発時から再発防止に向けた努力を伺うことができるだろう。
 

未亡人製造器 Widow Makerという言葉もオスプレイ反対派が自分たちの下品な発想で米軍でも危険だと思われていると言っているが、米軍機の画期的な機体の伝統的なあだ名である。
新しいタイプの飛行機の開発に参加する勇敢なパイロットのユーモアである。
こんな下品な使い方を知ったら新しい航空機を化初するために志願して亡くなったパイロットの遺族が怒ることに思いを馳せない恥ずべき言動である。

 

 

オスプレイの安全性 危険性の評価

前項の資料、特に国土交通省の資料を見てもらえばわかるが、航空機の事故は意外と少ない。
全世界で見れば多いが、日本のような航空機の安全にうるさい国では、民間航空機の事故で死ぬ確率は、交通事故で死ぬ確率より何桁も小さい。
個人所有の機体や報道で使っている機体で特にヘリの事故が目立つがそれでも交通事故と比べれば雲泥の差である。
それでは米軍や自衛隊の事故はどうだろう。
昔はしょっちゅう墜落していたが、最近の事故は民間の小型機とたいして変わらない。
訓練の厳しさや頻度から考えると実は軍隊は日常は安全の面でも良い成績なのである。
敵と戦う前に消耗しても、敵と戦っている最中に特攻で損耗すると勝てる戦にも勝てなくなる。

そして特に軍用機では注意しなければならないのは軍用機には一般人が乗ることは普通ないので、ましてオスプレイが危険だなどと思っている人がオスプレイに乗るのは人命救助のときぐらいだろうから搭乗時の事故は危険性から排除するのが公正な評価だろう。被害を受けるはずの無い被害に文句を言うのは詐欺である。

もちろん墜落などによって巻き込まれる場合は勘定に入れなければならない。

 

環境破壊や騒音による被害も考慮しなければならないが、車の方でもこの点は総量としては半端で無いので、航空機の広い範囲に騒音をまき散らすとかいう問題もあるが、評価方法が複雑になるので重大事故でも無いということで今回は取り上げない。
ないがしろにして良い問題ではないが、議論が長くなるので興味がある人は、どうか別途評価してもらいたい。
ただしその場合でも正しい評価方法を心がけなければならない。オスプレイの騒音は交通量の多い道路の騒音などと比較して公平に評価して片手落ちにならないように注意する必要がある。
騒音問題などはごね得に使われる場合もありそうなので、それに対応する視線が必要である。


なお比較対象にする交通事故なども事故に責任のない巻き込まれの事故だけにしなければならない。

軍用機の効果は立場の違いで善悪が大きく分かれるが、少なくとも軍隊のおかげで日本は攻撃や占領や防ぐことができるという意見の人がいるのは事実なのでそういう立場の人の意見も取り上げるのが民主主義の原則である。したがって0%や100%の効果と言うのはあり得ない。取敢えず詳細はあとで考えることにする。

ここまで書けば、思考力があればうすうす感付くと思うがオスプレイの危険など交通事故と比べて取るに取らない。本当に危険を減らしたいのなら他にやるべことが一杯あると気が付く人も多いだろう。

そういう人にとってはばかばかしいことかもしれないが、理解できない人や疑り深い人のために書くことにする。

さて、比較の対象としては日常に実際に存在する危険なら何でもいいが、明らかに交通事故が良いだろう。
オスプレイが日常生活にとって問題になるほど危険かどうかを比較するのに、旅客機の事故では対象が狭すぎて、日常生活を送る上で安全性を高めるという目的には役に立たない。
しかも交通事故は身近なものなので事故を減らすことを考える上で都合が良い。
オスプレイの危険を指摘することがただに嫌がらせで無く、無辜の民を救うことを本当に願っているなら当然不足は無いはずである。

日本での交通事故の死者は総務省や警察庁の資料をみれば最近は2000人前後まで減って来ている(交通事故自体はあまり減っていないが、死亡事故の減少はいっとき大幅に減った)。
このうち自業自得の自得の事故は除いて、死者に何の落ち度もない巻き込まれの貰い事故だけ抜き出したいが、平成12年度の資料しか無くそれによれば61%である(内閣府の 平成12年版 交通安全白書の概要)。
最近の資料は見つからなかったがそれほど大きく変わらないと仮定して50%程度の1000人前後と考えよう。
日本では、今でも毎年、無辜の民がこれだけ殺されているのである。

さて、それでは航空機によって殺された無辜の民の数はどうかというと、既に述べた航空機事故の資料を見てもらえばわかる。
これを見れば最近の航空機事故は、敗戦直後しばらくのやたら墜落事故が多かったときの印象と異なり、巻き込まれの事故も搭乗者の死傷事故も少なくなっていることが分かる。
巻き込まれの事故は、日本国内のすべての航空機事故のここ10年を調べると2015年の調布飛行場を離陸直後に民家に墜落した民間の小型機による搭乗者4名中の2人とともに犠牲となった一人だけである。

搭乗者の死亡事故は毎年数人起きているが、個人のグライダーや超小型機、ヘリコプターの技量不足によるものが目立つ。

軍用機も搭乗員の死亡事故を起こしているが、住民を巻き込んだ最後の事故は、1977年の横浜の緑区の住宅地に米軍の偵察仕様のファントムが墜落(パイロット2名は脱出済み)して子供二人がその晩に全身やけどで亡くなり、その母親は手術を繰り返して一命を取り留めたが数年後に心因性の病気で亡くなった計3名の親子犠牲になった痛ましい事故以来幸いにも起きていない。

沖縄では1966年の嘉手納で本土から来た会社員が空中給油機の事故に巻き込まれて亡くなったのが無辜の民が軍用機の事故で殺された最後である。
2004年の普天間の学校にヘリが墜落したときでも大学の図書館は夏休みで20人しかいなかった幸運があったとはいえ、住民は誰も怪我をしていないのである(乗員にも死亡者は出なかった)。
もっとも、このときは、事故後に勝手に大学を封鎖した「占領軍的体質」(?)などが大きな問題なのだろう。
昔の事故の多さから比べると確実に住民を巻き込む事故は減っている。

ただし、住民を巻き込んだ大きな事故は起きていないからと言って事故が起きないと思うのは間違いである。
事故は必ず起き得ると仮定するのが統計学上正しい判断である。
事実重大事故以外のヒヤリハットやハインリッヒお法則として知られるより小さな事故は、結構起きている。
住民に被害を与えないようにということがパイロットのトラウマになるほどの教育を受けてる自衛隊でさえも事故は起きているのである。
こういう事故を丹念に潰していくことが大きな事故を少なくすることに繋がるのである。
ただし、何でもかんでもやり過ぎると効率が悪くなって逆効果になる場合もあるので、事故の評価は合理性を持ってできるだけ正確に行うようにしているはずである。

さて、オスプレイが住民を巻き込んだ事故は世界中で0である。
交通事故の死者を沖縄だけに限っても70人前後なので巻きこれた無辜の民を半数の30人程度にしてもオスプレイが同じように危険な存在になるためには毎年30人前後の巻き添え死者を出すか、いっぺんに数百人の死者を作らない限り交通時事故対策を叫んだ方がよっぽど現実的に無辜の民の被害を減らせる。

もしオスプレイが危険だと主張する人に危険を減らそうと言う気持ちが本当にあるのなら、オスプレイの危険性を煽る以上に、酔っ払い運転や速度超過を厳しく取り締まるように主張し、また最近多い不注意運転による被害を防ぐために老人から免許を取り上げ、無謀運転する若者には懲役刑を科すなど厳しい取り締まりをするなど厳しく主張しなければならない。
このうちのどれか一つでも実施すれば、オスプレイの被害より遥かに多くの人を救うことができるのである。

全く言うのもバカらしいほどの単純な話である。

仮に搭乗員の事故まで余計なお世話を承知で加えようと、騒音や排ガスなどの問題を考慮しようとも、地上での交通事故と同じ程度の危険になるには桁違いの事故を起こすか、飛行回数を増やすなどしなければならない。
こんな単純なことがわからないほど頭の悪い人間ばかりとは信じがたいので、頭が悪いよりも、もっとタチの悪いオスプレイの事故をネタに、何かを得ようという欺瞞に満ちた人間と、それに載せられた素直か、考えることをしない人間が多いということだろう。
沖縄では為政者までもが加わってこの欺瞞を行っているのである。

 

 

 

 

自衛隊がオスプレイを導入した場合の危険性


さて、話しを単純にするために米軍だけが使用する前提で説明してきたが、実際には自衛隊もオスプレイの導入を検討している。
自衛隊が使用する場合を考慮するにはそれによって増えそうな危険を追加すれば良い。

自衛隊のリスクを加えても交通事故などと比べて危険が十分小さければこの方法で問題無い。微分や積分の証明で良く使う方法である。

さて、既に述べたように米軍だけが使用する場合の危険は交通事故と比べて桁違いに小さく、リスク管理としては、交通事故対策より優先させる根拠は全く無い。
自衛隊が導入した場合は、対象が沖縄だけでなく、全国に広がるので考慮する交通事故もその地域に拡大する必要があると考えれば良い。
したがって交通事故の被害を沖縄から全国の対象地域に広げれば良いのである。

自衛隊が使うと米軍より桁違いに危険が増えるとは自衛隊のこれまでの実績から考えられないので、この場合でも交通事故よりも桁違いに危険が小さいのは変わらず相変わらず桁違いの差があり、交通事故以上に自衛隊の王プレイを怖がる根拠はないということになる。

一方、自衛隊員は日本人であるから直接利害関係をもつ日本人がいること考慮した方が良いかもしれない。
ただし、救助などを除き、一般人が強制されて乗りこむことは無いので職業として使うので、仕事上の危険度として他の危険と同一に考えれば良い。

オスプレイの導入によってオスプレイを導入しなかった場合と比べて危険がどの程度増えるかを実際に乗る隊員やその家族、友人まで考慮した方が良いかもしれない。

この危険は0ではない。
しかし、自分が学生だった遥か昔に知り合いの海上保安庁の関係者が自慢していたように公務員の中では自衛隊は警察や消防と比べても一番安全だという話し(海上保安庁が危険な仕事だということを単に言いたかっただけのことだと思うが)は、少なくとも最近は真実ではないようだ。
実は訓練中の事故や災害派遣後の死亡が自殺よ過労も含めて結構多いらしい。
別にそれだから多くても良いというわけではなく、自衛官は思ったよりも大変な仕事だということを言いたかったのだが、他の職業でも職務上の死亡事故はあるので、それがオスプレイの導入で大きくなるとは思えないが、関係者としては増えないように関係部署に頑張って貰いたいと祈ることで納得できる程度にしか変わらないと思う。
実績が無いのであくまで予想だが、そうじゃないと理由も自分には思い付かない。
理由が思い付く人はどうか自衛隊に教えてリスクが減るようにしてもらいたい。


個人的な希望であるが、オスプレイの運用を整備を含めてしっかり行って、民間用のものが登場した時に安全に役立つことにつながることになればと期待している。

 

その2に続く予定