台風が接近していた日曜日のお昼、八尾市高安にある出丸師匠のご常連=Nさんご夫妻の別宅で、「高安寄席」が開かれ、出丸師匠とともに5人の生徒が出演しました。
近鉄大阪線「高安駅」で12時に待ち合わせ。少し早く着いた私は、駅前を散策。家を出た時は本降りの雨でしたが、こちらは山沿いにもかかわらず小雨模様。傘もささずにぶらぶら歩いていると、パチンコ屋の裏に「うどん屋」を発見、腹ごしらえをすることに…。昆布うどんを注文。気さくな店のお母さんと台風の話で盛り上がりながら、うどんを一気にかきこみました。
に:「ごちそうさま」
店:「あら!もう食べたん?」
に:「ええ、12時に駅で待ち合わせしてまんねん」
店:「日曜日やのにお仕事?」
に:「いや実はね、お昼の2時からこの近くのお宅で落語会があって、それに出ることになってるんですわ」
店:「いやぁ、ほんだらお兄ちゃん落語家さん?」
に:「ええ、素人ですけどね…(笑)」
店:「修行中なんやね」
に:「まぁ…(笑)」
店:「頑張ってね(笑)」
に:「おおきに。ごちそうさまでした」
駅の改札口に戻ると、程なく未来さんが到着。そのあと続いて師匠をはじめ坊瑠さん、歩成さん、掛御飯さんが到着。駅前でNさんが車で待っていてくれました。
N:「雨降ってますし、ここから会場までお送りします」
ありがたいことです。席亭はやはりこれぐらい気が利かないと務まりませんわ。
八尾自動車教習所の南側にNさんの別宅があります。
「高安寄席」の会場となるお部屋は3階。趣味で集められた高価な陶器がずらりと並べられていました。
ビールケースで作ったという高座は、Nさんお手製の見台膝隠しが置かれ名ビラ台もありました。もう本格的な感じ。これまでに笑福亭遊喬さんらプロの方が出演されています。
しかし、すごいお家です。1~3階まで、各階におトイレがある。一つひとつのお部屋が広い!そして、落語会後の打ち上げ会場として用意されているお部屋は、私の家が何個もスッポリ入りそうな広さ。本物のレース用バイクが飾られていて、出丸師匠お手製の大きなスピーカーが部屋の両隅にデンと置かれ、とても座り心地のいいソファーがおかれていました。
本当に豪華な造りに見惚れていました。フカフカのソファーに座りながら、師匠がつくったスピーカーから流れるモダンジャズを聞き、おにぎりと出し巻き卵をいただいて…。ディスプレイされているNさんのさまざまなコレクションに見惚れて…。これでは、落語をする気になってきません。みんな本当にリラックスしてしまいました。
しかし、時間のたつのは早いもので、気がつくともう開演30分前。私、今日まだこちらへ来てからネタ繰りしてません。前座だから一番に出ないといけないし、着物も着なくっちゃ…。
一人控えの部屋に戻り着替え。ネタ繰り。今日はなんだか、今までみたいに緊張しません。直前にリラックスさせてもらったせいでしょうかね。結構すらすらネタが出てきます。落ち着くことって大事ですね。
程なく開演。Nさんのごあいさつの後、つづいて師匠があいさつ。そして、私の出番。
■■「第5回高安寄席」■■
☆と き:2011年5月29日(日) 午後2時開演
☆ところ:高安亭(八尾自動車教習所南側)
☆演目と演者(敬称略)
「道具屋」 菱乃家東二
「ちりとてちん」 と金亭歩成
「酒の粕」 桂出丸
「替り目」 玉子亭掛御飯
「平の陰」 米酢亭坊瑠
「崇徳院」 かがやき亭未来
私は、密室の中、緊張のあまり「笑え!笑え!」という脅迫のような口調でまくし立て、ストックホルムシンドロームのような笑いはあったものの、おけいこ不足がたたって受けませんでした。実は、控室と会場は階が違うので、演者やお客様の声があまり聞こえてこないのです。それにICレコーダーの録音も忘れていました。ですので、今回寸評はお休みします。
私が高座から降りると…。
出:「大坂屋はな子さんがこっちに向かってるので、ボヤボヤしてんと早よ着替えて、連絡とって駅まで迎えに行ってください」
落ち込む暇もなく着替えを済ませ、連絡を取り…。徒歩で駅へ。外は、雨風が強くなっていて、さしている傘をしっかり支えないと持って行かれそうになりました。
駅前商店街を歩くはな子さんを発見。
に:「雨の中をホンマにlすんません」
は:「いえいえ、行くつもりにしていたんですけど、今日は台風やし、やっぱりやめとこと思ってたんですが、師匠から電話いただいて…」
に:「そうですか。すんません」
二人で、会場に戻ると歩成さんの「ちりとてちん」中。師匠の出番前にはな子さんに客席に入っていただきました。
師匠は、自分の出番が終わると手早く着替え、姿が消えたと思うと、片手にビール片手に枝豆を持ち、私たちにもすすめながらビールを飲みだしました。
出:「高座で打ち上げまで一滴も飲まないと言うた以上、飲んでなくてどうするんですか…(笑)」
意味不明の理屈を聞きながら、私ものどが渇いていたので、すすめられるがままに一気にあおり、みんなで6本(ロング缶)開けてしまいました。出番前の坊瑠さんも一気飲み。その間にも、掛御飯さんが「替り目」をやってはるわけです。さすがにトリで長講の未来さんはこの時一滴も飲まれませんでした。
出:「テレビつけましょか」
この日は折しも「日本ダービー」がありました。東京競馬場は、大きな雨粒がカメラに写るほどの本降り。そんな不良馬場のなか、オルフェーヴルが皐月賞についで二冠にかがやきました。最終直線で他の馬を大きく引き離しての堂々の一着でした。
そんなこと言うてる場合やないんです。まだ坊瑠さんが「平の陰」やってはるんですわ…。それに未来さんの「崇徳院」も…。なんかみんな出番が終わったらすごくリラックスしてる…。
坊瑠さんが終わって控室に帰ってこられると
に:「お疲れさまでした。オルフェーヴルが2冠ですわ」
坊:「おお。そうですか」
プロもこんな感じやねやろうなぁ。私は緊張しすぎてアカンのでしょうね。
未来さんの「崇徳院」は、私も一応持ちネタなので、会場入り口でこっそり聞いていました。テンポよく流れるような運び。最後の棟梁のタテ弁もよかった。
会が跳ねて打ち上げ。「ボタン鍋」をはじめ、サラダや焼き豚、はてはシュークリームまで。なにからなにまで美味!それにお酒が最高においしかった。
この日いただいたウイスキーは、ディスプレイに記念に飾ってあったものの中の一本で、飲まんといてねとNさんから言われていました。しかし、師匠がその中の一本の封が切られていることを発見。それじゃ飲みましょうとなったものでした。みなさん水割りで飲んでおられましたが、私は少量をロックでいただきました。シングルモルトの深みのある味。
掛御飯さんは、「京都でコントの練習がある」ということで中座。まぁ、打ち上げも1時間半居てはったんやから、しこたま飲んで、たらふく食ってはりましたが…。
この日いただいた「ボタン鍋」は、お客様としてこられていたTさんが猟で仕留めたイノシシを鍋にしたものです。今は猟期ではありませんが、新鮮なので独特の臭みも少なく、Nさんの奥さんに上手に鍋をこしらえていただいたので、とても美味しくいただきました。Tさんからは、鹿猟から少年時代の鶏のパクり方の話まで楽しく聞かせていただきました。御歳七十ウン歳。白いおひげを蓄えながらまったくお歳を感じさせない立派な紳士でした。またゆっくりお話聞きたい。
師匠が正体不明になってきていたので、お開きとなりました。
なんやかんやで、Nさん宅を出たのが、10時半すぎ。6時間以上も飲んでいたんですねぇ。駅まで雨の中を歩いて電車に乗ったのが、11時前。未来さんは無事に宇治にお帰りになられたんでしょうか…。師匠も大丈夫やったんでしょうかねぇ…。
近鉄大阪線「高安駅」で12時に待ち合わせ。少し早く着いた私は、駅前を散策。家を出た時は本降りの雨でしたが、こちらは山沿いにもかかわらず小雨模様。傘もささずにぶらぶら歩いていると、パチンコ屋の裏に「うどん屋」を発見、腹ごしらえをすることに…。昆布うどんを注文。気さくな店のお母さんと台風の話で盛り上がりながら、うどんを一気にかきこみました。
に:「ごちそうさま」
店:「あら!もう食べたん?」
に:「ええ、12時に駅で待ち合わせしてまんねん」
店:「日曜日やのにお仕事?」
に:「いや実はね、お昼の2時からこの近くのお宅で落語会があって、それに出ることになってるんですわ」
店:「いやぁ、ほんだらお兄ちゃん落語家さん?」
に:「ええ、素人ですけどね…(笑)」
店:「修行中なんやね」
に:「まぁ…(笑)」
店:「頑張ってね(笑)」
に:「おおきに。ごちそうさまでした」
駅の改札口に戻ると、程なく未来さんが到着。そのあと続いて師匠をはじめ坊瑠さん、歩成さん、掛御飯さんが到着。駅前でNさんが車で待っていてくれました。
N:「雨降ってますし、ここから会場までお送りします」
ありがたいことです。席亭はやはりこれぐらい気が利かないと務まりませんわ。
八尾自動車教習所の南側にNさんの別宅があります。
「高安寄席」の会場となるお部屋は3階。趣味で集められた高価な陶器がずらりと並べられていました。
ビールケースで作ったという高座は、Nさんお手製の見台膝隠しが置かれ名ビラ台もありました。もう本格的な感じ。これまでに笑福亭遊喬さんらプロの方が出演されています。
しかし、すごいお家です。1~3階まで、各階におトイレがある。一つひとつのお部屋が広い!そして、落語会後の打ち上げ会場として用意されているお部屋は、私の家が何個もスッポリ入りそうな広さ。本物のレース用バイクが飾られていて、出丸師匠お手製の大きなスピーカーが部屋の両隅にデンと置かれ、とても座り心地のいいソファーがおかれていました。
本当に豪華な造りに見惚れていました。フカフカのソファーに座りながら、師匠がつくったスピーカーから流れるモダンジャズを聞き、おにぎりと出し巻き卵をいただいて…。ディスプレイされているNさんのさまざまなコレクションに見惚れて…。これでは、落語をする気になってきません。みんな本当にリラックスしてしまいました。
しかし、時間のたつのは早いもので、気がつくともう開演30分前。私、今日まだこちらへ来てからネタ繰りしてません。前座だから一番に出ないといけないし、着物も着なくっちゃ…。
一人控えの部屋に戻り着替え。ネタ繰り。今日はなんだか、今までみたいに緊張しません。直前にリラックスさせてもらったせいでしょうかね。結構すらすらネタが出てきます。落ち着くことって大事ですね。
程なく開演。Nさんのごあいさつの後、つづいて師匠があいさつ。そして、私の出番。
■■「第5回高安寄席」■■
☆と き:2011年5月29日(日) 午後2時開演
☆ところ:高安亭(八尾自動車教習所南側)
☆演目と演者(敬称略)
「道具屋」 菱乃家東二
「ちりとてちん」 と金亭歩成
「酒の粕」 桂出丸
「替り目」 玉子亭掛御飯
「平の陰」 米酢亭坊瑠
「崇徳院」 かがやき亭未来
私は、密室の中、緊張のあまり「笑え!笑え!」という脅迫のような口調でまくし立て、ストックホルムシンドロームのような笑いはあったものの、おけいこ不足がたたって受けませんでした。実は、控室と会場は階が違うので、演者やお客様の声があまり聞こえてこないのです。それにICレコーダーの録音も忘れていました。ですので、今回寸評はお休みします。
私が高座から降りると…。
出:「大坂屋はな子さんがこっちに向かってるので、ボヤボヤしてんと早よ着替えて、連絡とって駅まで迎えに行ってください」
落ち込む暇もなく着替えを済ませ、連絡を取り…。徒歩で駅へ。外は、雨風が強くなっていて、さしている傘をしっかり支えないと持って行かれそうになりました。
駅前商店街を歩くはな子さんを発見。
に:「雨の中をホンマにlすんません」
は:「いえいえ、行くつもりにしていたんですけど、今日は台風やし、やっぱりやめとこと思ってたんですが、師匠から電話いただいて…」
に:「そうですか。すんません」
二人で、会場に戻ると歩成さんの「ちりとてちん」中。師匠の出番前にはな子さんに客席に入っていただきました。
師匠は、自分の出番が終わると手早く着替え、姿が消えたと思うと、片手にビール片手に枝豆を持ち、私たちにもすすめながらビールを飲みだしました。
出:「高座で打ち上げまで一滴も飲まないと言うた以上、飲んでなくてどうするんですか…(笑)」
意味不明の理屈を聞きながら、私ものどが渇いていたので、すすめられるがままに一気にあおり、みんなで6本(ロング缶)開けてしまいました。出番前の坊瑠さんも一気飲み。その間にも、掛御飯さんが「替り目」をやってはるわけです。さすがにトリで長講の未来さんはこの時一滴も飲まれませんでした。
出:「テレビつけましょか」
この日は折しも「日本ダービー」がありました。東京競馬場は、大きな雨粒がカメラに写るほどの本降り。そんな不良馬場のなか、オルフェーヴルが皐月賞についで二冠にかがやきました。最終直線で他の馬を大きく引き離しての堂々の一着でした。
そんなこと言うてる場合やないんです。まだ坊瑠さんが「平の陰」やってはるんですわ…。それに未来さんの「崇徳院」も…。なんかみんな出番が終わったらすごくリラックスしてる…。
坊瑠さんが終わって控室に帰ってこられると
に:「お疲れさまでした。オルフェーヴルが2冠ですわ」
坊:「おお。そうですか」
プロもこんな感じやねやろうなぁ。私は緊張しすぎてアカンのでしょうね。
未来さんの「崇徳院」は、私も一応持ちネタなので、会場入り口でこっそり聞いていました。テンポよく流れるような運び。最後の棟梁のタテ弁もよかった。
会が跳ねて打ち上げ。「ボタン鍋」をはじめ、サラダや焼き豚、はてはシュークリームまで。なにからなにまで美味!それにお酒が最高においしかった。
この日いただいたウイスキーは、ディスプレイに記念に飾ってあったものの中の一本で、飲まんといてねとNさんから言われていました。しかし、師匠がその中の一本の封が切られていることを発見。それじゃ飲みましょうとなったものでした。みなさん水割りで飲んでおられましたが、私は少量をロックでいただきました。シングルモルトの深みのある味。
掛御飯さんは、「京都でコントの練習がある」ということで中座。まぁ、打ち上げも1時間半居てはったんやから、しこたま飲んで、たらふく食ってはりましたが…。
この日いただいた「ボタン鍋」は、お客様としてこられていたTさんが猟で仕留めたイノシシを鍋にしたものです。今は猟期ではありませんが、新鮮なので独特の臭みも少なく、Nさんの奥さんに上手に鍋をこしらえていただいたので、とても美味しくいただきました。Tさんからは、鹿猟から少年時代の鶏のパクり方の話まで楽しく聞かせていただきました。御歳七十ウン歳。白いおひげを蓄えながらまったくお歳を感じさせない立派な紳士でした。またゆっくりお話聞きたい。
師匠が正体不明になってきていたので、お開きとなりました。
なんやかんやで、Nさん宅を出たのが、10時半すぎ。6時間以上も飲んでいたんですねぇ。駅まで雨の中を歩いて電車に乗ったのが、11時前。未来さんは無事に宇治にお帰りになられたんでしょうか…。師匠も大丈夫やったんでしょうかねぇ…。