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安藤梢選手と田中明日菜選手が所属するドイツ・1FFC フランクフルトは、2月22日・女子ブンデスリーガ第11節の試合を、昨年リーグ王者のヴォルフクブルクと対戦。
結果は、0-0のスコアレスドローに終わりました。
安藤選手はスタメンからフル出場、攻守に健闘しました。
明日菜選手はベンチ入りしましたが、出場機会はありませんでした。
2014年2月22日
【女子ブンデスリーガ 第11節】
1 FFC Frankfurt 0-0 VfL Wolfsburg
会場/ Stadion am Brentanobad (Frankfurt)
観客数/ 2710人
(Frankfurt line-up)
01 D. Schumann (シューマン)
23 B. Schmidt (シュミット)
27 P. Kuznik (クツニック)
11 S. Laudehr (ラウデア)
21 A. Crnogorcevic (クロノゴルチェビッチ)
14 K. Ando (安藤)
07 M. Behringer (ベーリンガー)
10 D. Marozsan (マロジャン)
18 K. Garefrekes (ガーレフレーケス)
19 F. Alushi (アルーシ)
09 C. Sasic (シャジッチ)
90分 F.Alushi→17 J .Wich (ウィッヒ)
【第11節ヴォルフスブルク戦・フル動画】
2013-14女子ブンデスリーガは、昨年の12月21日を最後に(ポツダムvsエッセン戦)、ウィンターブレイクを経て約2ヶ月ぶりの再開となりました。
安藤・明日菜選手が所属するフランクフルトにとっては、昨年12月15日(ドイツ杯ブレーメン戦)から試合が無く、またリーグ戦ではさらに12月8日以来、2ヵ月半ぶりになります。
リーグ戦再開となる今年初めて試合から、昨年リーグ戦・カップ戦・女子チャンピオンズリーグの三冠を達成したヴォルフスブルクとの対戦となりました。
リーグ戦首位を行くフランクフルトに、勝ち点差2で追う3位ヴォルフスブルクの首位攻防戦。どちらも絶対に負けられない一戦が、フランクフルトのホーム・ブレンタノバットシュタディオンで繰り広げられましたー
さて今節のフランクフルトのフォーメーションはこんな感じでした。
4-3-3ですが、中盤センターのマロジャン選手が、シャジッチ選手のトップ下といえる攻撃的な高い位置に陣取り、そのやや後方左右の中盤に、ベーリンガー選手と安藤選手がボランチを形成する格好。
後方の中盤となると強豪ヴォルフスブルク相手には、主に守備的な役割を担う機会のほうが多くなるのですが、攻勢時には左右いずれかから加勢して攻撃を盛り立てて行きます。
試合は序盤から、やはり双方譲らない激しい球際の攻防が続いていきました。ドイツ女子は、攻撃側が速くてやや距離のある縦パスを、ピッチ幅を大きく使って積極的に入れて行くのが特徴だと思いますが、その縦に入れて受けた後のせめぎ合いが、上位チーム同士の対戦ともなると、一段とヒートアップするように見受けられます。
必然的にいずれかの選手が倒され(あるいは両方とも)、笛が鳴る機会も多くなる。後半も時間が進みスタミナを損なうと、それでも意地は張り合うぶん、さらにあからさまなファウルも増えて行く。ドイツ女子のファイティングスピリットは特に凄まじいです。
この試合でも、同様の経過を辿っていったのではないかとうかがえました。
今回特にフランクフルトのプレッシングには勢いがあり、ヴォルフスブルクのDFラインからのビルドアップに、シャジッチ、アルーシら前線の選手が鋭く食い下がって行きます。
プレッシャーを受けながらヴォルフスブルクDFがパスを入れて行くところ、さらに2列目の選手たちがDFラインを押し上げてコースを塞いで行き、ボールホルダーを執拗にチェイスして複数で囲み、ボールがサイドラインを割るケースも多かったでしょうか。グループワークで徹底して攻撃の芽を摘んで行くことが、ひじょうに機能していたという印象です。
フランクフルトは、休み明けのヴォルフスブルク戦に備えて、トレーニングを積んで来たのではないでしょうか。とてもオーガナイズされていたと見受けました。
ただそれでもヴォルフスブルクは、連携を寸断されながらも遠目からキック力あるクロスやフィードを入れ、フィジカル強くゴール前を脅かしていたのは凄いところです。
フランクフルトは、高い位置からボール奪取し速攻から、何度かチャンスを形成していた前半でした。後半は運動量が落ちて行くことで、前線から追えず間延びもあり付け入る隙を与え、中盤から繋がれ攻勢を許したのは致し方ないところではありましたが。
センターFWのシャジッチ選手には前線で受けてから自在に動ける抜群の強さがありますし、マロジャン選手は卓越したボールキープ力から、チャンスを広げるスルーパスを展開できる。
ガーレフレーケス選手の懐の深さと高さを生かしたポストプレイ、2列目からはベーリンガー選手がペナルティエリア後方からのミドルシュートを狙う。
クロノゴルシェビッチ、シュミットといった両サイドバックの選手も、攻勢時には積極的に上がって来る。
フランクフルトの攻撃陣の層の厚さは、タレント揃いで見応えがあります。
とはいえ、欧州一のDF力(今季リーグ戦11試合7失点)を誇るといっても過言ではないヴォルフスブルクのゴールをこじ開けるのは、容易ではありません。
自陣でショートカウンターを受けて展開されても、ゴール前だけは身体を張ってしっかり守り切れる1対1の強さ、特に高さがある。GKの能力も、判断の早さ・ハイボール処理等ひじょうに高いと思います。ゆえにセットプレイ時は鉄壁です。
ボールポゼッション優位に持ち運んで崩しに行っても、布陣が整ったDFブロックの前では押し返され圧力に屈してしまう。むしろ相手にボールを持たせ、高い位置からプレッシャーをかけ続け、パスを引っ掛けたら2ndボール奪取から一丸となって、相手のDFが整うより素早く攻勢に転じ方がチャンスになる。
最近は、より高い位置から網を張ってプレッシングを仕掛けて来るのが、海外の女子のクラブでもずいぶん浸透して来ている、そんな印象を覚えます。
フランクフルト・ポツダム・ヴォルフスブルクといったトップチームも、どこも同じような進化を遂げて来て成果を上げているように見受けられます。
相手をどれだけ自陣内に押し留めておくことができるのか、それを可能にするのは誰一人怠ることのないハードワークの継続を要しますがー
さて今節の安藤選手ですが、ウィンターブレイク前からコンバートされていた守備的MFのポジションでの起用となりました。
状況に合わせたフリーランニングで上下動を繰り返し、それでいて実際のボールタッチの機会は少なかったとうかがえ、中盤の激しいポジションで味方のフォローや繋ぎに徹するぶん、けっこう疲労したのではないかと察せられました。
ヴォルフスブルクの攻撃をいかに凌いでいくのかというところで、ボールホルダーに対して執拗に食い下がり進撃を妨げ、安藤選手がボール奪取できなかったとしても加勢に入った味方が掠め取る場面、あるいは逆のパターンも含めて、扶助し合う守備の連携が何度か見受けられました。
またサイドライン付近の攻防では、とにかく相手の攻勢を断ち切るためのセーフティ1stといえる、サイドラインを割るクリアーに徹底していた様子です。
優勝を争う強豪との対戦では、チームとしてのディシプリンをどれだけ忠実にこなしていけるのか、そんな真摯な姿勢がうかがえたでしょうか。
ドイツ女子の名門チームだからとはいえ、強者揃いの選手たちの中で起用され生き残って行くためには、やはり自分を変えていかなくてはならない。どれだけ実績を残してきたとしても、そのプライドに頼らない柔軟性が求められるでしょう。
安藤選手がチームとしてベストの選択に組み込まれ、与えられた作業を忠実にこなしているということへの評価は高いはずです。
(ゲームハイライト:安藤選手の絡む惜しい場面あり。クリックで動画へ)
フランクフルトのこの試合でのもっとも決定的なチャンスは、前半20分にクロノゴルシェビッチ選手がゴール前に入れたクロスボールを、安藤選手が相手DFの前で身体を張って受け落とす→居合わせたシャジッチ選手にとっては絶好のシュートチャンスとなるボールがバウンドして来て、シュート→しかしゴールの左をかすめてグラウンダーが外れて行きました。惜しい場面でした。
この時、安藤選手は上がって来ていて、シャジッチ選手より前に入りペナルティエリア内で構える→クロスが入って来て、くさびとなり潰れることで相手DF2人を引き付けゴール前が開ける→シャジッチ選手にとっては最高のお膳立てとなりました。
状況に合わせて攻撃に加担しようと上がって来ても、実際ボールが巡って来る機会は少ないながらも、しっかりと決定機を引き出しているのには、安藤選手ならではの献身的なプレイの継続に拠るところでしょう。自身の得点機会は減ったとしても、珠玉の一場面が印象深い安藤選手は、今やチームを後方から支える不可欠の存在感を示しています。
なでしこジャパンでも、来月のアルガルベカップでは、一段とたくましくなった安藤選手が披露されることに期待ですーー第11節を終えての順位ですー
首位フランクフルトが引き分けに終わり、勝利した2位ポツダムが勝ち点差1まで迫ってきました。
リーグ後半戦も、上位3チームによる優勝争いが、僅差を保ち終盤の佳境に向かうにつれ一段と激しさを増していきそうです。
◆岩渕選手の所属するホッフェンハイム(Hoffenheim)は、第11節にUSV Jenaと(イエナ)対戦し1-4の敗戦。岩渕選手はベンチ入りしましたが、出場機会はありませんでした。ホッフェンハイム11位、降格圏を抜け出したいところ。
◆永里亜紗乃選手が所属するポツダム(Turbine Potsdam)は、Bayern Munchen(バイエルン)と対戦し2-1の勝利。永里選手は後半の38分から途中出場しています。
◆柴田里美選手が所属するデュイスブルク(Duisburg)は、Sindelfingen(ジンデルフィンゲン)に3-0で勝利。柴田選手は後半36分から途中出場しています。
多分ですいませんが私の覚えでは、女子ブンデスリーガ1部では初出場を果たしたことになったはずです。(Woman Soccerway
のデータでも1試合出場となっています。)
これからもっと出場機会を増やして活躍を期待ですね!
MSV Duisuburg オフィシャル、柴田里美選手のプロフィール画像
フランクフルトの次節は、3月2日の日本時間19時より、リーグ8位のフライブルクとの対戦となります。
3月5日からポルトガルのアルガルベカップに、代表として参加する安藤・明日菜選手は次節登録されるのかは不明ですが、出場機会があればがんばってもらいたいですね!
あっすーも、次節は出場機会を!