〔プレナスなでしこリーグカップ2012 第1節〕
2012年6月23日(土) / 13:00
ジェフ千葉レディース 0-0 浦和レッズレディース
*フクダ電子アリーナ/ 入場者数 679人
【浦和レッズレディース・メンバー】
GK/ 山郷のぞみ
DF/ 土橋優貴、高畑志帆、矢野喬子、堂園彩乃
MF/ 庭田亜樹子、柳田美幸、後藤三知(登録はFW)、安田有希(64分猶本光)
FW/ 荒川恵理子(78分柴田華絵)、吉良知夏
SUB/ GK池田咲紀子、DF岸川奈津希、DF和田奈央子
【ジェフ千葉レディース・メンバー】
GK/ 山根恵里奈
DF/ 高橋佐智江、細川元代、河村真理子、千野晶子
MF/ 筏井りさ(89分櫻本尚子)、花桐なおみ(25分清水由香)、
河村乃里子(76分山本菜桜美)、柳井里奈(90+3分小池快)
FW/ 深澤里沙
SUB/ GK船田麻友
(試合経過)
※時間は手時計目安なので、アバウトです。現地で見た瞬間を記したものですので、実際と合致しているかも不確かです。ご了承ください。
前半2分、浦和
FW荒川が、ペナルティエリア(PA)内で受けて、FW吉良に渡りシュート→ゴール枠上へ外れる。
浦和の1stシュート
10分、千葉
PA左にFW深澤が持ち込み、後方のMF花桐に渡しシュートは、ゴール枠上を外れる。
15分、浦和
DF矢野(orDF高畑?)から前線への縦パスに、FW吉良が出てシュートは力なく、GK山根が難なくキャッチ。
24分、千葉
MF保坂がPA右へドリブルで持ち込み、ゴール前へクロス→ファーポストでFW深澤がヘッドをあわせようとするが、MF柳田が対応し防ぐ。
42分、浦和
左DF堂園から前線への縦パスをFW吉良が受け、FW荒川に渡りシュートは、右へ大きく外れて行くグラウンダーのボールとなり、千葉DFがクリアした(!?)のか、右サイドラインを割って、浦和のスローインとなる。
その右スローインから、FW後藤が受け、DFを交わしてPA内に侵入→ゴール前へクロスを上げると、FW荒川がフリーでヘディングシュート→GK山根が荒川から見て右横へ飛び、シュートを弾いて防ぐ。(遠目でしたので、ポストに当たっていた!?か、どうか不明)
浦和、前半最大の決定機を逃す。
右からDF土橋とFW後藤がパス交換しながら上がり、ゴール前へのクロス→ジャンプするFW荒川と千葉DFの頭上を越え抜けて来たボールが、ゴール前フリーのMF安田の足元に落ちて来るが、後逸してしまう。
9分、浦和
FW荒川から、左へ開いたFW吉良に渡り、ゴール前へのクロス→FW後藤が右ファーサイドからヘッドで飛び込もうとするが、GK山根が先に出て防ぐ。
19分、浦和
MF安田からMF柴田へ交代。
MF柴田が右サイドハーフへ入り、右ハーフだったFW後藤は左サイドハーフへ。
33分、浦和
FW荒川からMF猶本へ交代。
この交代により、猶本がトップ下になり、4-2-3-1の布陣に変わる。
-----------吉良-----------
後藤-------猶本-------柴田
-------柳田---庭田--------
堂園---矢野---高畑----土橋
-----------山郷-----------
39分、浦和
左サイドでDF堂園とMF後藤が、パス交換から千葉陣内へ持ち上がり、中央のMF柴田→MF猶本と渡り、猶本のPA前からのシュートは、力なく千葉DFがカット。
40分、浦和
MF柴田が、持ち上がってPA右からセンタリング→ゴール前で受けたFW後藤が、ゴール右へ狙ったシュートを撃つが、GK山根が横に飛んで弾き出しクリア。
45分、浦和
MF柴田が、千葉DFの頭上を抜く浮き球のパスをゴール前右へ繰り出すと、MF柳田が抜け出し受けて、前に出て来たGK山根をかわす絶妙なループシュートを放つが、ボールは惜しくもゴールポスト左外へ外れる。
試合終了ー
4月21日のリーグ戦第2節でスコアレスドローに終わった同対戦。
浦和にとっては、千葉からいかに得点を奪う攻略ができるかが、最大のポイントとなる試合でしたが、前半から前回の対戦以上に攻めあぐねる状況が続き、大きなチャンスがうかがえません。
言い方は悪いのですが、観戦する者にとっては見せ場がなく、ただただ凡庸に時間が経過して行くような印象。
後半終盤に、選手交代と布陣の変更から活路を見出し、浦和は惜しいチャンスが続きましたが、時すでに遅かった感じは否めず、今回もスコアレスドローという結果に終わりました。
(千葉について)
ピッチの縦幅の全長約1/4~1/5ほどの狭い範囲に、千葉の4-4-2のラインが敷き詰められ、浦和のポゼッションに対峙します。
基本位置として、センターラインを挟んで千葉陣内にDFのライン、浦和陣内に入ったところにMFのラインが位置した高い状態を保っていることが多く、FWの深澤選手や花桐選手、途中出場の清水選手が、前線から浦和の後列めがけて勢いよくチェイシングを仕掛けます。
プレッシャーを受けて浦和が中盤からボールを戻せば、全体が呼応してきっちりとしたラインを形成しながら押し上げる。浦和がサイドへボールを振れば、ボールホルダーに対し、2、3人が素早く取り囲みサイドへ追い詰める、といった実に組織的な守備の連携が、前回の対戦以上に徹底されたものに見受けられました。
FW荒川選手に対してのマークは、DF高橋選手がマッチアップする機会が多く、強さを発揮していました。
フォローに入った選手と共同で対応し、荒川選手が受けてから前を向かせるプレーを容易に許さず、前回以上に抑えていたのではないでしょうか。
MF保坂選手は、元浦和の選手ということもあってか、パスコースに入ってカットする場面が目立ち、またスペースを突いて持ち上がる攻撃の起点にもなり、機敏に攻守のバランスを司る上手さを見せていました。
この試合、無失点に貢献したのは、187cmの長身GK山根選手の活躍によるところも大きいでしょう。
シュートに対して横に飛んでも、身体を十分に持て余して弾き出す余裕があるのは、女子サッカーでは驚異です。
ゴール前に入って来るハイボールは、段違いの高さでキャッチングし事なきを得ます。
競り合い時に身を挺してぶつかり合えば太刀打ちできません。
ゴール前に入って来る縦パスには、抜け出て来た浦和の選手が追いつく前に、大きなストライドで前に出て先んじられ、ことごとく防がれていたはずです。
ゴールキックは、おそらく抑え気味に蹴っている感じがしましたが、力強い軌道のボールがセンターライン付近まで楽々と飛んでいました。蹴り上げた時のインパクトの音が、ひときわ大きいです、パワーあります。
(※以前より、判断力のよさ、自信をもった所作がうかがえます。さらなる活躍が期待できるでしょう。)
千葉はボールを奪えば、手数を掛けずに縦に早い攻撃へ転換する、堅守速攻が徹底されている様子。
シンプルではあるがしかし、対浦和対策としては失点を許さない磐石の構えが確立されており、0-0でしのぎながら隙あらば得点チャンスを狙う、90分を通してほころびを見せない粘り強さがありました。
(レッズレディースについて)
試合経過の記載が少なかったように、それだけ印象に残るチャンスも少なかったということです。
序盤から、なかなか前に持ち運べず、膠着状態が続いていく状況。
村松監督から、”ボールを早く動かせ!”というゲキが飛びます。
最終ラインでパスを回し、隙をうかがいながら中盤とサイドへ入れるも、千葉のプレッシャーの前に戻すことが多く、今回も浦和が思うような展開を図れません。
結局、センターバックの矢野、高畑選手から、一気に前線へ出されるフィードが、陣地を切り開くのにもっとも有効な手段となっており、千葉DFの裏とGKの間へ抜けゴールを狙おうとする展開が目に付きます。
千葉の執拗なDFの前に中盤から先へ繋いで行くのは困難ではありましたがー
遮られはしましたが、右サイドに起用された後藤選手が身体を張って積極的に突破を計ったり、左サイドバックから堂園選手が得意のロングボールを繰り出してチャンスに結びついたり、なんとか局面を打開しようとする姿勢はうかがえました。
後半はじめには、サイドからPA内脇のニアゾーンへ通すパスに、FW荒川、吉良選手が攻め入りましたし、コンパクトな守備ブロックを敷いてくる相手に対して、苦戦の中、活路を見出そうと奮闘があります。
MF柳田選手の攻撃参加から、惜しいゴールの場面は、前節の福岡戦同様に見られました。後半なかばに、MF柴田、猶本選手が投入され布陣に変更がなされたことで、攻撃が活性化され始めました。
千葉が前がかりになった攻守の切り替え時に、すばやい反撃で攻め入る浦和。
千葉DFが付き切れずサイドが機能し、終盤は惜しいチャンスが続きました。
MF猶本選手を攻撃的に前で起用することは、前線へ繋ぐアクセントとして有効であり、パスを散らしてチャンスメイクする能力に秀でています。ボランチで後ろにいるよりも活かされていますし、2列目からのシュートも狙えます。
MF柴田選手ならではのアシストから、決定機が生まれました。
ゴール前の狭いスペースの中でこそ冴えを見せる、柴田選手の咄嗟の技量こそ、今のレッズレディースの大きな得点力といえます。
で、この2選手に共通してうかがえたのは、中央でボールを受けてからの球離れの早さ、的確な判断能力に長けているということ。
千葉の守備陣が、前半に比べて付き切れずプレッシャーが緩かったとはいえ、受けてからの「次」を見ています。柴田選手の場合など、受けるときの1stトラップで、DFを交わす方向を作っているので次が早く展開できる技量を備えていますし。
ボールを受けてから、ルックアップし、前に2、3回押し出しながらターゲットを探してるうちに相手に付かれ、横パスか戻すことが多い状況から(それが常とは言えませんが)、テンポを早めたパス交換、パススピードを共通意識とし、対峙する相手の中へ果敢に挑み展開して行くことを、これからの試合の中でミスを恐れずにトライしていければ、きっと見違えてくるのではないかと、思えます。
千葉のように、守備的に固めてくる相手では、今のままではこれからも苦戦しそうですから、今回の終盤に見せたような光明が、少しでも生かされてほしいと願いたいです。
ベガルタ仙台のパス回しを見ていて感じたことー
たとえ最後列の左右で行き交うパスでも、タッチ数が少なくパススピードが早いことが多いということ。
マークが付く中盤やサイドでは、さらに素早くはたいて交換しあいながら、じわりじわりと敵陣へと推し進める。
MF角田選手や中原選手らが、中へ割って入って受けるタイミングなど1つの起点から、全体が一気にテンポアップして行く。敵陣のゴール前まで迫る術がしっかり確立されている。
また、ポゼッションでは、ゆっくりとボールを回し、スローダウンさせ全体が休むことも、使い分けている。
(たとえ、埼スタの大ブーイングを食らおうとも・・)
などなど、私的に参考になることがありました。(浦和のトップチームを参考にしなくてゴメンなさい)
いまは4戦続けて、結果の出ない苦しい時。
実際、選手たちが勝てなくて辛いのでしょう。試合後のゴール裏への足取りも重く、なかなか挨拶に来てもらえませんでした。
そんな雰囲気になってしまっている、申し訳ない一端を感じています。
お客さんがまばらで閑散としたフクアリ、応援の数もどんどん少なくなってしまって気持ちは落ち込みますけど、でも苦手な千葉のアウェーで勝ち点1をゲットできたのですから、カップ戦予選リーグ突破へ向けては悪い出だしではないはず。
1日の鴻巣での福岡戦、8日には久々の駒場での新潟戦とホームゲームが続きます!
少しずつ試合を経るごとに、チーム状態が上がって行くことを望みたいです。