■プレナスなでしこリーグ2011 第6節
2011年05月03日 13:00キックオフ
INAC神戸レオネッサ 2-0 浦和レッズレディース
(前半0-0)
得点;
51分大野 忍 (INAC神戸)
59分中島 依美 (INAC神戸)
会場/ホームズスタジアム神戸
観客数/1403人

<INAC神戸レオネッサ>
GK; 海堀 あゆみ
DF; 甲斐 潤子、 田中 明日菜、近賀 ゆかり、 那須 麻衣子
MF; チ・ ソヨン(→76分高良 亮子)、澤 穂希、川澄 奈穂美 (Cap.) 、大野 忍、中島 依美
FW; 髙瀬 愛実(→後半開始 米津 美和)
SUB; 久野 吹雪(GK)、クォン・ウンソム(MF)、櫨 まどか(MF)
<浦和レッズレディース>
GK:小金丸 幸恵
DF:土橋 優貴、矢野 喬子 (Cap.)、西田 明美、安田 有希
MF:熊谷 紗希、堂園 彩乃(→66分竹山 裕子)、岩倉 三恵(→62分柴田 華絵)、柳田 美幸
FW:吉良 知夏、後藤 三知(→73分岸川 奈津希)
SUB:池田 咲紀子(GK)、坂本 理保(MF)
◆試合経過;
(浦和を主に、応援しながらメモしたので不確かな部分多々あります。ご了承ください)
前半12分頃;
INACのMF川澄が、浦和陣に入って左遠めからのシュートを放つ→GK小金丸は余裕あったものの、このライナー性のシュートを、ゴール前でしっかりキャッチできずファンブルしヒヤッとするが、事なきを得る。
(このシュートが、両チームを通じゴールの可能性があった最初のもの)
15分頃;
浦和・FW吉良が、ペナルティエリア(PA)前付近からグラウンダーのシュートも、力なくGKがキャッチ?orエンドラインを割った?のいずれかで終わる。
(浦和の、まともな1stシュートだったと思います)
20分頃;
INACが、左コーナーキック(浦和ゴールに向かって左側のコーナー)からシュートに至る→GK小金丸がパンチングで防ぐ→INACのMF田中がルーズボールを押し込もうと飛び込むが、GK小金丸が先に反応し防ぎ切る。(この場面は不明点が多いですm(_ _)m)
22分頃;
浦和左MFの堂園が、ゴール左前からのシュート→GK海堀がゴール左前で難なくキャッチ。
33分頃;
浦和、左(岩倉?)からPA右前で受けた堂園がシュートも、右上に大きく外れる。
34分頃;
浦和・FW吉良が、INAC陣でボールを奪いシュートも、至近のDFに当たり防がれる。
36分頃;
浦和右DF土橋が、右サイドラインをオーバーラップし持ち上がり、センタリング→中で受けたFW後藤が、INACDFに阻まれコーナーに。
その右コーナーキックをMF柳田が蹴り上げると、ゴールポスト二アから飛び上がったFW吉良がヘディングシュート→ゴールバーをかすめるように上方へ外れる。
(前半最大のチャンスでした)
38分頃;
INACのカウンターから、浦和DFとGKの間を突いたパスをフリーで受けたINAC・MFチソヨンが、PA手前ライン付近まで前に出たGK小金丸と1対1→チソヨンはとっさにループをかけたボールを放ち、至近の小金丸の頭上を越えたボールはゴールへ向かってバウンドしていく→DF矢野が懸命に戻り、ゴール手前でなんとかクリアーする。
(前半最大のピンチでした)
クリアーボールはINACのコーナーキックとなり、防ぐ浦和はINACとの攻防から2度(!?)のコーナーをアゲインされるが、ゴールを許さず凌ぎ切る。

後半に入りー
48分頃;
浦和MF熊谷が、INAC陣中央をドリブルで上がる→INACのDFをじゅうぶんに引き付けてから、左サイドのフリーのスペースにひかえていたFW後藤にパス→後藤は左サイド深く持ち上がり、センタリング。ボールは、ゴール前右にフリーのMF岩倉に直接渡る→ゴール右前で、岩倉がGK海堀と1対1。思い切り振り抜いたシュートは、しかしゴールバー上方を越えて行き、絶好のチャンスを逃す。
51分頃;
INACが素早い展開から、浦和をほんろう。
MF中島から、ゴール右手前で完全フリーのMF川澄にパスが渡り、シュート→川澄のシュートをGK小金丸がなんとか弾くが、ゴール左前に転がっているボールをMF大野が押し込みゴール。
INAC神戸先制、1-0。
56分頃;
INACのGK海堀が、PA内から右横へパスを出すも、ボールが弱すぎて浦和FW後藤が至近でインタセプト→後藤は、角度の無い位置から、すかさず狙い済ましたコントロールショットを放つも、巻いていく弾道のボールはゴール右ポスト外を抜けて行き、惜しくもゴールならず。
59分頃;
INACのMF米津から、ゴール前のMF中島にパス→中島のシュートが決まる。
2-0。
(後半はINACの素早い攻撃に、何度も決定機を与えていた浦和。2失点目の流れも、致し方ない展開ではありました。)
71分頃;
浦和MF柴田が、INAC陣を右サイドから中へドリブルで抜け出し、右前方へパス→PA右で受けたFW吉良が、間髪入れずシュート→前に出ていたGK海堀は一歩も動けずも、ボールはゴールポスト外をすり抜け、惜しくもゴールならず。
~その後は、PRIDE OF URAWAとアレ浦和を熱唱のため、記憶・記録に留めず。試合終了~
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スタジアム入場時に配布されたINAC神戸のM・D・P(マッチデー)には、以下のスタメン予想が図解で載っていました。

攻撃的MFで代表入りも果たした田中明日菜選手がセンターバック??
田中選手と中盤を組んでいた那須選手は左サイドバックに、大野選手はトップ下の2列目??
なんとも理解しがたい予想だと思っていましたら、実際の布陣がそっくりそのままで驚きでした。
ただ、攻撃については、新たな布陣の意図が試合を経過するにつれ、わかる思いがしました。
1トップの高瀬選手は、位置を下げサイドライン付近でもくさびとなり、フィジカルを発揮したボールキープをこなす。前を向いて自らが持ち込むより、周囲に渡して新たな展開の起点となる役割といえるでしょうか。(この試合、高瀬選手はシュート0)
これにINAC神戸得意のサイドアタッカー陣である川澄選手や米津選手、中島選手がドリブルで切れ込み、あるいは中島選手は右から精度の良いクロスを繰り出すなど、ゴールに迫る形は従来どおり。
新たに加味されたのが、トップ下シャドーである大野選手とチソヨン選手の前線への飛び出し。
浦和陣のDFとGKの間のスペースを狙った後方からのロングボールや、DF陣の隙間を突いたスルーパスに、浦和DFラインとのタイミングを見計らって、裏から飛び出そうと再三試みていました。
スタッツを見ますと、浦和の間接FKの総数が13とあります。
つまりそれだけ、INAC神戸のオフサイド数が多かったことが見受けられます。
今年元日の全日本女子選手権決勝でのINAC神戸戦のときは、間接FK数が2ですから、大野選手らの脚力を活かした戦術への変化がうかがえます。
実際、中盤の深い位置から澤選手が、ベレーザ時代のように大野選手を狙ったロングボールを繰り出し、右サイドバックの近賀選手や左サイドバックの那須選手らも、対角の前線へ向けたロングクロスを蹴り上げていました。
浦和はDFラインの裏を何度か脅かされましたが、その都度センターバックの矢野と西田が割って入りパスカットし、寸前のところでピンチを防いでいた貢献がありました。
GK小金丸も、迫り来る大野選手・チソヨン選手のプレッシャーには負けずに、前に出ては落ち着いてボール処理を行っていました。
正GK山郷が負傷し、INAC神戸との大事な一戦にゴールマウスを任されることになったとはいえ、久しぶりの実戦というブランクを感じさせないパフォーマンスに見受けました。
序盤は緊張からかぎこちない感じがしましたが、試合経過につれ守備機会が増えていくと存在感を示していきます。
タイミングよい飛び出しとポジショニングの的確さがなかったら、0-2よりさらに点差をつけられていたはずです。セットプレイ時の安定感も以前より増しています。
もともと能力の高いGKが、さらに山郷の下で6年間培ってきた成長がうかがえます。
山郷の離脱がもし長引いたとしても、小金丸にじゅうぶん任せられるはずです。
前半の、攻めあぐねて守勢に引かされた状態が続いたときのほうが、しっかり跳ね返す守備力がありディフェンシブな綻びをみせない浦和に見受けました。
後半序盤に浦和が決定機(岩倉のシュート)を迎えたあたりから、攻守の入れ替わりが活発な展開になると、速攻でスペースを突いた攻撃力に優るINAC神戸が、対応が後手に回った浦和DFの綻びを突いて次々と決定機を迎え2得点に至った、そんな印象でした。
もどかしく思えたのは、INAC神戸が一気呵成に攻め上がるのと同様に、浦和にもボールを奪ってからの攻撃チャンスが何度もあるも、じゅうぶんに活かし切れなかったことです。
ドリブルで攻め上がる→PA前付近でスローダウンしパスを出す味方をさがす→時間を掛けているぶん、帰陣されシュートに至れない、ボールカットされ逆襲を受ける。
繋いでいく意識は練習から培われているのでしょうが、パターンどおりだけではない臨機に応じて自らが決める積極性をみせてほしかったのではないかと。
リードされた後には、特に大事に繋いでいこうという消極的な意識にも受け取れられ、もったいない感じを受けました。。
こういう言い方は悪いかもしれませんが、この試合での相手GK海堀選手は調子がよかったとは見えなかっただけに、遠めからでもシュートを撃つことで可能性は広がったのではないかとは、思うところです。
もちろん、選手たち個々には懸命にがんばっているのでしょうがー
とはいえ、随所にマッチアップする選手どうしには、見応えがありました。
浦和の右サイドでは、サイドバックの土橋とINAC神戸MF川澄選手との対決。ここはお互いが決して譲らない熱い攻防をいつも見受けるのですが、この試合でも川澄選手の速い突破に必死に食い下がり対応する土橋という構図の、高レベルでの闘いを見ることができました。
左サイドでは、サイドバックの安田が持ち上がり、INAC神戸DF近賀選手との対決。対峙し駆け引きから、安田があの近賀選手を抜き去ったときには、応援席からどよめきが起きました。
左サイドハーフの堂園も勝負し、しかし近賀選手にきっちり奪われていましたがー
存在感を示していたのは、やはりINAC神戸の澤選手でした。
浦和のFW吉良が、澤選手を抜けばゴール前までフリーになるチャンスがあり、ドリブルで抜きかかった場面がありました。
澤選手と対峙し左にステップを切るや、すっと足元からボールを失う。澤選手があっさりとインタセプトを果たし、事も無げな表情で攻撃へ繋げていきました。
中盤の後方から、前後を見遣り指示を送りながら、全体のバランスを司ろうとする澤選手には、代表では心強いですが敵となると脅威をおぼえます。
DFが手薄なぶん澤選手が補う部分は多く、この試合での課題も残ったでしょうが、後方で安定感を示す存在がいることは頼もしく、とくに攻撃陣にとっては思い切りよく前線へ出て行くことができるのではないでしょうか。
2-0でリードした後のINAC神戸は全体的にペースダウンし(疲労ではなかったはず)、澤・大野・近賀選手がベレーザにいた頃と同じに、受けて立つ余裕のある対応に切り替えていた感じがしました。
攻撃的なMFチソヨン選手を下げ左サイドバック(SB)高良選手を投入→左SBの那須選手はセンターバック(CB)に移り→CBだった田中選手をボランチに上げ澤選手と2枚になり、守備的にシフトしたところにも以前にない変化がうかがえました。
(那須選手がボランチに上がり、田中選手はそのままだったかもしれませんー)
試合後の選手あいさつ後、とある選手が応援のもとに引き返し、サポに対し頭を下げ涙を浮かべていました。
方々から励ましの声があがり、長らく聞き入っていたその選手は、うなずきながら笑顔を浮かべ引き上げて行きました。
曇天の下、無得点の敗戦。閑散とした浦和レッズレディースサポーター席、ホーム側の客席からは歓声が聞こえ、昨年秋に同じホムスタを訪れたときより寂しい思いがしました。
でも、前評判で最強とうたわれたINAC神戸相手に、現新チームができる手応えは随所にみせており、今後に希望は抱けましたし期待したいです。
この試合でいちばん印象に残ったのが、INAC神戸にリードを許した後、ボランチの熊谷紗希が必死の形相でドリブルで持ち上がり、しかしカットされ潰えた場面でした。
何とかしたい思いはあれど、でももっと皆で立ち向かう姿勢なり気持ちを共有し表現できるのなら、チーム全体として活性化された変貌をみせるのではないか、と思うところはあります。
今のレッズレディースこそ、はげまし応援しがいがあるとも、思えます。