◆2010年8月29日(日)
15:00キックオフ・西が丘サッカー場
<試合結果>
日テレ・ベレーザ 0-3 浦和レッズレディース
(前半0-0)
(得点)
56分西田、70分北本、75分藤田
(メンバー)
◆日テレ・ベレーザ
GK/松林美久
DF/須藤安紀子、豊田奈夕葉、近賀ゆかり、岩清水梓
MF/原菜摘子、小林弥生(55分南山千明)、木龍七瀬、伊藤香菜子
FW/大野忍、岩渕真奈(75分永里亜紗乃)
SUB/GK曽山加奈子、DF中地舞、MF有吉佐織
◆浦和レッズレディース
GK/山郷
DF/土橋、 矢野、 森本(68分熊谷)、 西田
MF/庭田、 窪田(86分松田)、 藤田、 柳田
FW/北本、 荒川(75分後藤)
SUB/小金丸、 堂園
警告; 40分近賀(ベレーザ)、90分[+3分]土橋(浦和)
入場者数:1813人
浦和レッズレディースが西が丘サッカー場で日テレベレーザに勝つことに、ついに立ち会えることが出来ました。
これまで何度も挑んで乗り越えられなかった壁、女子サッカーの歴史を紡いできた西が丘で、本拠地として無敵の強さを誇って来たベレーザに勝つことは、今まで応援して来た宿願でもありました。
2005年、物見遊山でベレーザ戦を西が丘へ初めて見に行った時、ほとんど浦和陣内のハーフコートでサッカーしていました。
反対側のゴール前で防戦一方のレッズレディース、圧倒的に攻め続けるベレーザ、数十分こちらに攻め上がって来れない…そんな感じでした。
2006、07年がいちばん悔しかった時期。
06年、リーグプレーオフで1位2位のベレーザ・浦和が西が丘で最終決戦。
浦和が勝てばベレーザに勝ち点で並ぶが、得失点差が28もあり、29点を取りに猪突猛進のイレブンと後押しの応援は見事に砕け散り、0-3惨敗。
翌07年、10月のリーグ戦。
ふたたび0-3負けを喫し、この時点で勝ち点差を大きく広げられ(たしか10ぐらいだったような)残り7試合を残し優勝は絶望的となりました。
リベンジに燃えた年末の全日本女子選手権準決勝、返り討ちにあい、三たび0-3の完敗となり元日国立決勝の夢絶たれました。
最後まで歌い続けたPride of URAWAと、試合後の柳田キャプテンがサポーターへの泣きながら詫びる姿が印象深いです。
08、09年は、他会場や駒場ホームゲームでベレーザに勝利出来るまでになりましたが、どうしても西が丘では勝てず、両年ともに1-1の引き分けで終わりました。
(09年年末に、全日本女子選手権準決勝でINAC神戸と西が丘で対戦し3-2の勝利。これが西が丘での浦和レッズレディース初勝利となりました。)
前半は、浦和がサイドと荒川のポストを軸に攻撃を仕掛けるのを、ベレーザが次第に高い位置から圧力を増して凌駕し、ペースを握りポゼッションを有利に運んでいきます。
折り返しや縦パスを前線に入れるとリバウンドを拾われ逆襲される、攻勢に転じてもサイドで孤立して奪われるなど、押し上げられない、なかなか思うような展開を築けない状態。
ボールホルダーへのプレスから、パスの出し所を狙いインタセプトに、受け手がトラップを弾いたところを掻っさらう巧みさを備えているベレーザ。
球際にきついから、競り合い時には双方にファウルが導き出されることも多いです。
ベレーザのボール回しには、密集の中でもくさびになる受け手がスーッと中央に現れ、ここを経由して縦にゴール前ダイレクト、もしくはサイドのオープンスペースへ流れる、そんな連動したパターンがこの試合でも見受けました。
くさびと交差して縦に侵入しフィニッシュに至る、あるいは中盤の選手がダイアゴナルにペナルティエリアに入って行くなど、連携のバリエーションは豊富です。
FW大野、岩淵がそんな役割の一翼を担い、何度かチャンスメイクしていた様子でした。
浦和陣ペナルティエリア(PA)周囲で縦横無尽に動き回り、いつもの貪欲なアグレッシブさを発揮。
大野は逆襲時には、左サイドから縦に抜けようと何度か試みているのが目に付きました。
たびたびオフサイドに引っ掛かったり、浦和DF陣が突破を食い止めていたものの、隙をうかがう姿勢で脅かしていました。
序盤、ベレーザのセットプレイから、ゴール・ファー右から飛び込んだDF岩清水のシュートがサイドネット脇へわずかに外します。
前半の20分位!?でしたか、PA右のやや至近から、大野が強烈なシュートを見舞うも、GK山郷が上方に見事に弾き凌ぎました。(前半で、このシーンがいちばん決定的でした)
岩淵、大野が、PA前からのシュートを枠外に外していました。
(試合を通して、ベレーザ全体にミドルシュートの精度を欠いていたのは浦和にとって救いでした。)
またはこの2人が、持ち前の推進力でゴール前に迫るのを、DF西田、矢野、GK山郷が防いでいました。
前半の40分過ぎ位か、浦和が反撃に出た後、ベレーザがパスの出し所を見出せずしばし後方で停滞しました。
それまでの攻勢から転じて、穏やかな凪を迎えたように静まった時間帯、流れが変わった様子にも感じ受けました。
後半序盤、ベレーザが立て続けに2本のシュートを放って来ました。
GK山郷がゴールポスト際で対応、シュートを阻みます。(1本は直接外だった!?)
ゲームが再開して落ち着かないうちから、ベレーザは攻勢を仕掛けて来ている様子でしたが、その後潰えます。
後半10分すぎ、柳田の右コーナーキックから流れて来たボールを、西田がゴール前でしっかり合わせて先制。
先制後、大野(←木龍です…)だったと見受けましたが、浦和陣右PA前で抜け出そうとしたところを、GK山郷が前に出て来て、その前に矢野!?(←後から動画見ましたら土橋でしたm(_ _)m)が立ちはだかり何とか食い止めていました。
22日のカップ戦決勝では、後半の先制からほどなく同じような場面を迎え、GK小金丸が前に出て来て大野に抜かれ同点を許していました。
北本が追加点を決めるまでにベレーザの反撃を凌げたことが、勝利を大きく導きました。
追加点の5分後には、藤田の狙いすましたシュートがゴール左に決まり、3-0。
藤田の凄いのは、カップ戦決勝では、ゴール右の角度の無いところから右足で左隅に決めるスキルがあり、今回は左足で鋭いシュートも撃てるところ。
ハーフタイム中のシュート練習で、きっちり枠隅に何本も決める様子を見ていましたが、実戦の中でもしっかりと活かされてました。
時間の経過とともに、出足が鈍り、攻撃が単調になっていくベレーザに比べ、途中交代で入った左SBの熊谷、FW後藤、松田が活性化させる浦和。
ベレーザ左SBの須藤がサイドで振り切られ苦しそうな表情を浮かべ、MFの伊藤がサイドラインを出るボールにあと一歩追い切れず、うつむく…辛そうです。
疲労感ありありのベレーザに、零封を成し得ました。
以前の西が丘では、浦和が前半に勢いよく攻勢に出て、時間の経過とともにじわりじわりとベレーザのペースに飲み込まれ、疲弊し、失点を重ね成す術なく完敗するパターンを繰り返しました。
一昨年、昨年と年々実力が伯仲し、そのようなことはなくなって来てはいましたがー
結果的に、これまでとは立場が入れ替わった勝利を、浦和は収めることは出来たと思います。
しかし、先制されていたのなら、どう局面は変化していたでしょう!?
同点を狙って逆に追加点を許していたかもしれない。お互いのパワーバランスが似通っているだけに、紙一重の攻防が、これからも繰り広げられるでしょうかー
8月14日から3週連続で応援し続けた西が丘は、かつてない経験であり、毎週いろんな表情がうかがえました。
最終週のこの日は、強い日差しの西日が応援席を照らし独特の陰影を形成して、穏やかな表情を映し出している印象を受けました。
真夏決戦のフィナーレに祝福を賜れたような、そんな感じを抱きました。
前日鹿島戦で、前半45分と後半終わりに歌い続けたPride of URAWAに、結果は伴いませんでした。
同点ゴールに、自分も含めて周囲は一様に落胆し言葉を失いましたが、それでも取り直して歌い続けたことを大事にしたいです。
07年の暮れに、西が丘でベレーザに0-3負けの後半40分過ぎを思い出します。
あの時、数十人で歌ったPride of URAWAの悔しい思いが、ようやく実りました。
浦和を応援出来ることを幸せに思います。
次につながるのだからー
最後まで読んでいただき、ありがとうございました(*^ー^)ノ