■プレナスなでしこリーグカップ2010 準決勝第一試合
8月14日(土)16:00キックオフ
西が丘サッカー場
(試合結果)
浦和レッズレディース 3-2 INAC神戸レオネッサ
(前半2-2)
(得点)
浦和;4分 北本、32分 柳田、85分 岩倉
INAC;16分 田中、29分 那須
(メンバー)
◆浦和レッズレディース
GK/小金丸
DF/土橋、矢野、森本、西田
MF/岩倉、庭田(76分藤田)、窪田(81分熊谷)、柳田、岸川(66分荒川)
FW/北本
◆INAC神戸
GK/1海堀あゆみ
DF/3坂井優紀、5柳井里奈、16小野鈴香、18角田英子
MF/6那須麻衣子、8田中明日菜(70分小川 志保)、9川澄奈穂美、25澤井理恵(74分米津 美和)
FW/10高瀬愛実、11櫨まどか(58分中島 依美)

負けられない試合。
ここで敗退と、22日のファイナル決勝の舞台に立てるのでは大きな違い。
22日、オールスター戦後の衆目を浴びる場で、様々なメディアからも注目される中で、浦和レッズレディースのサッカーを披露したい。
なかなか世に知らしめる機会の少ない女子サッカーでは、勝ち進まないかぎり認められないことが多い。
巡って来たチャンスはモノにしたい。
それは、INAC神戸も同じ気持ちを抱いているところはあるでしょうかー
同日夜、豊田で名古屋戦を行うトップチーム。
選手たちを励ますために、現地へ参戦するサポたちには出来るだけL旗を持参するようにというお知らせを方々で目にしました。
この日は西が丘でも、ゴール裏の応援場所にはL旗の数がいつもより明らかに多く見受けました。
掲げる旗が、やや強い向かい風を受けます。
試合開始早々、小さく見える反対側のゴール前で、北本が押し込み先制した様子です。
あっさり先制、それから後にもゴール前で攻勢、何度かシュートが惜しく外れている。
絶好の追加点のチャンスを逃し、少し嫌な予感がしました。
前半は時間の経過とともにペースを握ったINAC神戸が、こちらのゴール側に迫って来る機会が多くなります。
INACの8番田中明日菜が、ペナルティエリア前で浦和のDFをひとりふたりとかわし、それほど狙った様子には見えなかった感じの遠めのシュート。
ボールがすーーーっと眼前のゴール左端に静かに迫って来て、ポストとGK小金丸が伸ばす手の先の間のわずかな隙間を、ふっ…と抜けた感じに見えました。
横倒れた小金丸の背後、こちらの眼前のネットにボールが軽く弾んでいて、「えっ!?」という一瞬何が起きたんだろうという違和感。
喜びに沸き引き上げていくINACの選手たちを見遣り、同点にされたんだという実感をようやく得ました。
その後もINACの優勢からー
こちらから見て浦和陣左側でINACがフリーキックを得ました。
ゴールまで30mぐらい、左前に浦和の壁が形成され、GK小金丸が壁位置に指示を出しOKのサイン。
キッカーは6番那須麻衣子。
そのフリーキックの精度は、6月の早稲田とのトレーニングマッチに8日のベレーザ戦でも目の当たりにしていました。
壁越しに、放たれた高い弾道のボールが迫って来ました。
GK小金丸が、やや目測に躊躇いを見せた後、先ほどと同じ左端下方へ手を伸ばし横に飛びます。
横倒れた背後、こちらの眼前のネットにボールが弾んでいて…まるで先ほどのデジャブーを見ているような感じでした。
すーーーっと伸びて落ちて来たボール、今まで見た那須選手の弾道とは異なる、見事なゴールでした。
向かい風をうまく利用出来たでしょうか、この2本のゴールには、拠るところも影響はあったかと思えました。
やや引いた全体からでも、浦和が前に出て来るところに喰らい付き奪いにかかる。
6月に見たINACの猪突猛進気味より、先週8日に平塚でベレーザ相手に見せた様子に見受けます。
ゴールまでは遠くはなるが、しかしポゼッションは一段と高まった様子。
奪い返せない浦和、INACのFW高瀬が強い上半身を誇示し切れ込む。左からINACの川澄が上がって来るところを、土橋がサイドでしっかり対応していました。
早く前半が同点のまま終わって仕切り直してほしい、風上にも立ちたい。
そんな思いを抱きました。そして前半がなんとか凌いだ印象で終わりました。
後半は風が横向きに。
アドバンテージを見込んだ向かい風が来なくなりました。
浦和陣で展開することが前半より多くなり、反対側のゴール前で防戦する場面が続きます。
こちら側に浦和の攻撃が向かって来ません。
フリーキックやコーナーキックのピンチのたびに祈るような思い。
小さく見受けるゴール前へ応援コールを飛ばし続け、浦和のチャンスが無いまま時間は過ぎて行きます。
契機は、後半途中に入って来た荒川でした。
西が丘の後半出場の荒川、
以前、緑のユニフォームを着ていたときには脅威そのものでした。
浦和の出足が鈍って来たときに、あの大きなアフロ頭がドリブルで迫って来る。止めを刺す仕事を完遂する。
しかし、今回は味方なのです。
荒川が近づいて来るたびに、それは浦和の好機となりました。
スピードは無いが奪われない懐深いドリブルが、空いたスペースで有効に活きました。
DFラインを抜けて来る。
INACの選手が追従するも、ゴール前へ。
右横にパスを出した、
でもそこに大野忍は、いなかった…そんな以前やられたイメージがダブりました。
再び左からアフロ頭が迫って来た。
今度は浦和の岩倉が右にいる、ゴール前でパスが渡る。
思い切りよく振り抜かれた右足から、GK海堀が手を伸ばす右上部を抜けたボールが、迫力満点にネットに突き刺さりました!
INACの攻勢に耐え、残り時間も少ない時、大げさかもしれませんが起死回生のゴールに思えました。
その後決定機を与えず、マイボールキープで時間を使い、タイムアップ。
なでしこリーグカップ決勝進出を果たしました。
「しっかり攻撃するときは全員で攻撃しろ!守るときは全員で守れ!」
試合時間も残り15分も過ぎた頃だったか、傍らにいた仲間が、ピッチに向かって吠えました。
後に聞けば、思いが募っていたその一言を、応援の合間を見計らって、どうしても発したかったし、励ましたかったと。
声は、ピッチにいる浦和の選手たちに届いたかはわかりません。
でもその思いは、決勝ゴールをもたらしたとも言えなくもないかもしれません。
準決勝第2試合、ナイトゲームとなった日テレベレーザと東京電力マリーゼの試合を前半だけ見ました。
前半の36分に、ベレーザ伊藤が右サイドから蹴ったフリーキックが、弧を描きゴール左隅上に直接決まり決勝点となりました。
マリーゼのGK天野が伸ばした手の先が届かない、絶妙なコースを突いていました。
天野美咲は、2007年だけレッズレディースに在籍していたことがあります。
キーパー技術を学ぶための練習生として、山郷のいる浦和で指導を受けていました。
山郷の愛弟子である小金丸と、天野にとって、互いにフリーキックからの失点という受難の日となってしまいました。
天野は、先日の浦和とのナイトゲーム後に、自分のプレーを悔いて目を潤ませインタビューに応えていたのを、マリーゼHPの動画から見ました。実直に受け答えする、責任感の人一倍強そうな姿勢がうかがえます。
それだけに、ベレーザ戦は頑張ってもらいたかったのですが、残念な思いがしました。
今回のカップ戦の悔しさをバネに、また一段と成長することでしょう。期待したいですー
トップチームからは、久しく実感出来る勝利の喜びが訪れていません。
ふたたびいつの日になるのかは、未だ喘いでいる状態からは見当付きませんが。
しかし、今を乗り越え思いが叶い、より大きな喜びとなって返って来る日を信じたいです。
大きな目標を抱く浦和レッズに立ち戻れますように。
今日こそ、勝てよーーー!参戦します!