北欧に行ったら、ぜひ行ってみたいところがこちらの「コロニーヘーヴ」だった。
都市に住む人が郊外に借りる小屋付きの家庭菜園のことで、夏の間に農作業を楽しむ場所である。以前、園芸雑誌で見かけて、町の名前をメモしていたのだが、デンマーク滞在中にその町の名前を探し出し、Googleマップを丹念に眺めていて、ついに見つけたのだ!
コペンハーゲンから電車に乗って小1時間、小さな駅を降りて小雨の中を歩いて15分ほど、鮮やかなグリーンの芝生を横目に歩いて到着した。
滞在型市民農園「コロニーヘーヴ」
コロニーへーヴ(kolonihave)は、17世紀後半、困窮した住民への貧困対策として貴族の土地を住民に分け与えたことから始まった。
そして19世紀末からの産業革命によって都市の人口が激増し住環境の悪化を背景に労働者たちが「コロニーへーヴ」運動を起こした。第一次、第二次世界大戦中には食料調達の手段として活用され、人々の生活が豊かになってからは余暇の一つとなって今に至る。
デンマークらしいなあと思うのが、当初は貴族の慈善事業であったものが、労働運動の結果、勝ち取るものになり、1908年には利用者の権利を守るため、デンマークコロニーへーヴ連盟が設立された。
そういった背景から、単なる「市民農園」ではなく、労働組合や政治政党への影響もあるという。
現在も多くは利用者により自治的に運営されている。
現代では、食料が手軽に入手できることもあり、畑作業は程々にガーデニングを楽しみながら週末や7週間の夏休みに滞在してリフレッシュするために利用する人が多い。
行政もコロニーへーヴを福祉の一つとして位置付けており、2001年に制定された「コロニーガーデン法」で緑地として保存されることになっている。
自宅近くの体験農園で、細々と畑での作業を楽しんでいる私だが、年々減少する農地の保全とコミュニティ活性化のツールとして盛り上げたい。