脳は腸から生まれた

 

人間の体は腸管内臓系で形成されています。

 

発生の過程で初めに腸管がつくられ、それが変化して様々な臓器になり、進化してきました。

 

「ヒドラには脳がなくてニューロンが腸の回りにちらばっていて、突起の先でつながっているだけである。

動物がヒル、ミミズなどに進化するにつれて、食道の周りにニューロンが密集する神経節があらわれ、大きくなってくる。

 

この神経節がさらに上方にと追加されて大きくなったのが脳である。

 

こんなわけで、脳はヒドラの腸を包むニューロンが、口のまわりで集合をはじめ、食道の周りに神経節をつくることによって、発達してきた。

『脳は腸から始まった』ということができるだろう」(藤田恒夫著『腸は考える』岩波書店)

 

 (中略部分: この著者である藤田恒雄さんは、西野塾生である順天堂大学客員教授酒井シズ先生と東京大学小川鼎三解剖学教室の同窓生です。)

 
 腸管内臓系では、脳は腸の子供という関係になります。その腸は当然、細胞からできています。腸から脳ができたのですから、心の原点は腸にあります。自己を守り、生きるために動くことが心の源泉としてありました。

 

 日本人は英語の ガッツ を主として根性と訳していますが、gutとはもともと腸を意味します。西洋の場合、ガッツとハート、メンタリティとスピリットに分かれ、ガッツをとても大切にします。

 

 日本の場合は、精神と心の二つがあります。日本人は往々にして精神と心が同じであると思っていますが、脳が腸から生まれたことがわかると、心の原点としての腸があり、さらに腸のニューロンから発展し、人生を考える器官として発達した頭脳が作り出す精神。この二つが渾然と混じりあっていることで、人間を形成していることに気づきます。

 

この二つを明らかに体感できるようにしたいものです。そのために腸管内臓系の活性化が大事なことが分かるのではないでしょうか。