残された時間を幸せに〜ダブルキャリアでエイズを発症した和 | 西東京市 地域猫の会 ~地域猫と愉快な仲間達~

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西東京市で地域猫活動をしている会です。
猫の事はもちろん、ボランティアの在り方を真剣に考えたりしながら日々活動しております。

※この記事には顔を怪我している猫ちゃんの写真がでてきます。ぼかしをかけている写真もありますが、予めご了承の上で閲覧をお願いいたします。

足あと

22年11月
だんだんと寒さが厳しくなってくる頃に、一件のご相談がありました。

「夏頃から庭にやってくる茶トラの猫がいます。ある日、別の子かと思うくらい変わり果てた姿になっていました。「助けて、お願い」と言うように鳴きながら近づいて、家の中に入りたさそうにしています」

緊急案件と判断し、実働担当がすぐに現場に駆けつけたところ該当の猫ちゃんの姿がありました。


鼻の傷が酷く、元気がない様子…。
すぐに保護して病院へ運びました。


鼻の傷は『鼻腔内腫瘍』と診断されました。

そして、ウィルス検査をしたところ、猫エイズ・猫白血病の陽性(ダブルキャリア)ということが判明しました。


少し分かりにくいですが白血病の陽性の印が薄ら出ています。

そして、猫エイズは発症している状態でした。

足あと

猫エイズは感染しても発症しなければ、天寿を全うできる感染症です。

血が出るほどの喧嘩や交配をしなければ他の猫に移ることもほとんどないため、当会でもエイズキャリアの子とノンキャリアの子が一緒のお家で暮らしています。

猫エイズはストレスが原因で発症すると言われており、ストレス過多のお外での生活が影響しての発症と考えられます。

足あと


診断の結果、7〜8歳くらいの男の子で、体重は2kg。

そして、この子に残された時間は1〜2ヶ月とのことでした。

猫エイズは『猫免疫不全ウイルス』の感染により、発症すると身体の免疫機能が破壊されます。


発熱や血液系トラブル、口内炎やリンパ節腫瘍など、さまざまな症状を併発していき、死に至ります。

治療の手立てはなく緩和療法を行い残された時間を少しでも穏やかに過ごすこととなりました。

足あと

そこで、問題になってくるのが『預かり先』です。

既にエイズ発症をしており血が出ている状態であること(猫エイズは血液で感染します)

また、猫白血病は感染力が強く、空気感染もするため猫との同室での同居は絶対NGです。

別室隔離をしたとしても、人が感染媒体にならないように細心の注意を払う必要があります。

当会の預かり宅にはみんな猫がいます。

隔離部屋を設けたり(冬なので暖房必須)、この子のケアをできるだけの時間の確保ができるお家…となると、対応できるメンバーが当会にはいませんでした。

 

預かり先がなければ病院で入院する選択肢もありますが、費用の問題がでてきます。

そんな中「この子を預かれる環境を提供できる」と預かりを引き受けてくれるメンバーが!

預かり枠の空きのタイミングや、エイズを発症して衰弱している猫の様子など、偶然が重なってのことでした。

そして、保護されてから1日後。


茶トラの男の子は『和』という名前をもらい、預かりさんのお家へお引越しをしました。

新しいお家に着いた和くんですが、環境の変化もなんのその。


食欲旺盛で病院から処方されたAD缶も、少し食べづらそうにしながらも、お腹いっぱい食べました!

トイレもちゃんとできるお利口さんです。

その後は預かりさんが毎日献身的なケアを続けてくれました。

目やにが酷く目の周りがガビガビになってしまうのを何度も拭いてくれたり、


少しでも調子が悪いと仕事をお休みして側にいてくれたり、

ウンチがでにくいときは調整剤を飲ませたり、ほんの少しの変化も漏らさないよう注意深く見守ってくれています。

足あと

栄養満点のご飯と暖かい室内で、不安なくぐっすり眠れる環境により、保護時よりも元気になった和くん。

それでも病気は確実に進行しています。


お鼻の壊死した部分の瘡蓋が取れてしまったり、肉球に穴が空いてしまい猫砂が入って痛がることも。

獣医さんやメンバーと相談しながら、傷を保護するパットを貼ったり、砂の種類を変えてみたりと試行錯誤しながら対応していきました。


和くんの顔には鼻と左の耳の下に腫瘍がありますが、日を追うごとに大きくなっています。

ご飯やお水を摂取する量も次第に少なくなってきており、調子が悪い時はご飯が食べられないことも。

そんな時は預かりさんも寝ずに和くんの様子を見守りケアをします。

悪くなったり、良くなったりを繰り返しながら、和くんが保護されてから1ヶ月が経ちました。


腫瘍はかなり大きくなり、左目はおそらくもう見えていないでしょう。

傷を痛がる様子がないのが何よりの救いです。


生きることを諦めていない和くん。
 

実は、預かりさんに抱っことナデナデをしてもらうのが大好きです。

残された時間を少しでも幸福なものにできるよう、預かりさんはありったけの愛情を和くんに注いでいます。

メンバーも和くんの様子を見守っています。

足あと


もし、和くんが生まれながらに家猫だったら…

きっと猫エイズにも白血病にも感染することはなかったでしょう。

私たちは猫が大好きです。

大好きだから、辛い思いをする子を1匹でも減らせるように尽力しています。


だから、日に日に弱っていく猫の姿を見るのは、言葉では言い表せられないほどの気持ちになります。

和くんに残された時間は、きっともう長くはありません。

どうか、見守ってください。

 

 

 

ご支援よろしくお願いいたしますハート

 

西東京市地域猫の会の『ペットのおうち』キラキラ


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