先日の記事

『英国歯科スタッフ事情 歯科衛生士』

の最後の部分で触れた歯科衛生士不足の話を続けてみたい。

 

 

今日は、

意外と知られていない日本における歯科衛生士業務の確立、法整備の歴史からまず見てみることにする。

 

 

昭和22年、保健所法が改正され、保健所の業務に歯や口の中の予防処置を執り行う「歯科衛生」が導入された。

翌23年には、現在の医療提供の基本となる法律、すなわち医療法、医師法、歯科医師法、保健師助産師看護師法、そして歯科衛生士法が制定され、我が国における新たな有資格の職種である”歯科衛生士”が誕生した。

 

今から70年程まえ、まだ戦争の傷跡残るGHQ占領下の頃の話である。

 

 

歯科衛生士法第一条(昭和二十三年七月三十日法律第二百四号)は次のように記述されている。

 

”この法律は、歯科衛生士の資格を定め、もつて歯科疾患の予防及び口くう衛生の向上を図ることを目的とする。”

 

今も不変の歯科衛生士業務の根幹を示す条文である。

 

 

*画像、文は、電子政府の窓口e-Gov

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23HO204.html

より引用

 

法制定がなされた時の歯科衛生士の具体業務は、「歯科医師の直接の指導の下に,歯牙及び口腔の疾患の予防処置として“予防的歯石除去”と“薬物塗布” を行う」のみであった。

 

ここで歯科の診療台の上に寝た自分の姿を想像し、オヤっと思われた方もいるかもしれない。

これには、歯科医師の傍らで診療の補助を許可することが明記されていない。

 

法の制定当時、『診療補助』は、保健師助産師看護師法の規定によって、看護師の独占業務であり看護師・准看護師でなければできない診療行為の一つであった。

 

昭和30年の法改正により

 

”歯科衛生士は、保健師助産師看護師法 (昭和二十三年法律第二百三号)第三十一条第一項 及び第三十二条 の規定にかかわらず、歯科診療の補助をなすことを業とすることができる。”(第一条第二項)

 

が追加され、現在のように補助ができるようになった。

 

 

さらに平成元年には、歯科衛生士法第2条第 3項に「歯科保健指導」に関する事項が追加され、歯科衛生士業務の独立性がさらに増すことになる。

 

”歯科衛生士は、前二項に規定する業務のほか、歯科衛生士の名称を用いて、歯科保健指導をなすことを業とすることができる。”(第二条第三項)

 

 

一例としてあげれば、

各市町村で行われている保健所や保健センターで実施される歯科保健に関する事業。

妊産婦に対する歯科予防相談や乳幼児のブラッシング指導・フッ素塗布など、歯科衛生士の冠のもと、プロジェクト・プランナーとして事業企画・計画の立案を行い、実施することができる。

 

 

このように、現在、歯科衛生士の業務は以下の3つの大きな柱から成り立っている。

 

1)歯・口腔疾患の予防処置

2)歯科診療の補助

3)歯科保健指導

 

 

つづく

 

 

 

 

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