にしなか歯科クリニック歯科衛生士の
 長田 です。
みなさんは「力」の存在を感じたことがありますか?
 
私たち歯科衛生士が治療中の患者さんに
「力を抜いてくださいね。」と、声をお掛けすることは珍しくありません。
口を大きく開けようと思うあまり、顎に力が入り過ぎ逆に開きにくくなってしまったり、舌に力が入ることでタービン(歯を削る器具)に接触しそうになるので、安全確保のためにバキューム(お口に溜まる水や唾液を吸引する器具)で押さえても押さえても、驚くほどの力で押し返してこられたり・・・。
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「歯医者に来ると肩が凝るわあ。」なんておっしゃいますけど、そんだけ力を入れてりゃ当たり前でしょ!!
ちょっと力を抜いてくれたら喧嘩腰で押さえ込まなくていいので、患者さんも歯科衛生士もずっと楽になるのに。
歯科治療に限らず、スポーツをする時も、日常の何気ない動作だって余分な力を抜いてた方が断然楽だし、パフォーマンスだって上がると理解していても
どうして力を抜くことができないのでしょうか?
 
そもそも人間の動きは、基本筋肉が収縮することで骨が動いて起こります。
「筋肉の収縮」イコール「力を入れる」ということなので、ただ立っているだけ、座っているだけでも筋肉を収縮させているのだから、人間はもともと力を抜くことよりも、力を入れる方が得意ってことなのかもしれません。みんな無意識に余分な力を使い続けているみたい。
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「力」はとても大切だけど、入れっぱなしは問題あり‼️
「力」は身体のあちこちに様々な不調を引き起こします。痛みとして現れるだけでなく、血液の循環が悪くなることで集中力の低下やイライラ、頭痛、消化不良なども
「力」が原因となっていることもあるのです。
 
力を入れる(筋肉が収縮)
                     ↓
           筋肉が固くなる
                     ↓ 
     血液の循環が悪くなる
                     ↓
    疲れやすい・痛みがでる
 
誰でも経験したことのある「肩こり」を思い出してもらうとイメージしやすいと思います。
 
この「力」はまた、私たち歯科衛生士の最大のライバルと言えるかもしれません。
皆さんの想像以上に力持ちな患者さんたちの舌を相手に日々悪戦苦闘しているからだけではありません。「力」はお口の中でも様々な症状を引き起こします。
 
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50代以降の日本人が歯を失う原因は
1位  歯周病、2位  虫歯、3位  破折となっています。子供の頃の破折は、転んで歯をぶつけてしまったりすることが主な原因ですが、大人になってからの破折は、過剰な「力」で噛みしめたり、歯ぎしりしたりすることによるものがほとんどです。
やっかいなのが、歯周病にかかってしまっている歯に対して過剰な力が加わると、さらに症状を悪化させてしまうこともあること。
患者さんの大切な歯をより良い状態で1本でも多く、1日でも長く残したいと毎日頑張っている歯科衛生士は、歯周病菌や虫歯菌だけじゃなく「力」とも戦い続けているのです。
 
この「力」のやっかいなところは、患者さん自身に「力を入れすぎている」という自覚がまったくない場合が多いこと。
たとえ自覚があったとしても自分でコントロールするのが難しいこと。
 
 
ある日突然大切な歯が真っ二つなんてことにもなりかねませんのでご注意を!!
 
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