およそ1年ほど前、権威ある科学誌Natureのサイエンス・リポートに、
”歯の知覚過敏症に対する新しい治療法”が紹介された。

 

 

*この報告は、http://www.nature.com/articles/srep10884#f1にアクセスすることで全文を読むことができる。

 

 

知覚過敏症(以下、知覚過敏)は、むし歯もないのに冷たい飲食物や風、歯ブラシの毛先が歯に触れるとツキン(ズキン)と、染みるような痛みを感じる症状のことをいう。

 

知覚過敏の言葉自体は、最近テレビCMの中でも良く使われるようになったものの、
診療室で患者さんに説明をしていると、その実態を良く理解されている方は非常に少ないと感じる。

 

この知覚過敏については、あらためて別項で説明を加えたい。

 

 

さて、リポートで紹介された論文のタイトルを見ると、
迅速(rapid)かつ効果的(efficient)、そして手軽(facile)といった良いことずくめの冠がついた知覚過敏の改善法になっている。

 


知覚過敏発現の本体は、露出した象牙質への侵害的な外来刺激(冷温、酸、擦過刺激等)に対する歯の侵害受容反応である。
一般的な治療法(症状改善)としては、そのトリガーになっている象牙細管開口部(下図)を薬剤により封鎖させることによっている。

 

 

このたび報告されている治療法も、そのアプローチ法自体に大きな差異はなく、新たに使用した薬剤ならびにその著効データを披露している。

 

 

その薬剤名は、
タンニン酸第3鉄」。

 

 

前記事にて触れたように、

これは、鉄イオンの価数が異なるものの、お歯黒溶液に他ならない。

 

 

 

残念ながら、この報告中には「お歯黒(Ohaguro)」およびこれに類する説明は一切触れられていない…